【海外試乗】「ボルボV60クロスカントリー」厳冬の地で育まれた極上のコンフォート!

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走りもデザインもスカンジナビアン濃度100%

新型V60の日本発売開始はまだ記憶に新しいが、本国ではそのクロスカントリーモデルが早くもリリースされ、現地で感触を確かめる機会を得た。日本にフレンドリーなサイズ感な上、アクティブ派も満足できる走破性は、日本のユーザーのツボを押し当てた、満足度の高い一台だ。

新型のボルボV60クロスカントリーの国際試乗会がスウェーデン北部の港町、ルレオで行なわれた。1月の最低気温はマイナス20℃にも達するといわれるこの街は、面したボスニア湾が氷結し、沖合にある島々は氷上の道で繋がれる。この地がいかに雪深く、厳しい寒冷地であることは想像つくだろうが、見方を変えれば、未舗装路をも走破するRV資質の「クロスカントリー」の本領を試すのにはもってこいのステージとも言える。
ルレオ空港からショーファー仕様のXC90エクセレンスの後席に乗り、ボスニア湾の孤島、グラスジャロレン島へ渡り、待ち受けるV60クロスカントリーと対面した。
60/90系コードのモデルは新世代プラットフォームSPAを擁し、ベースとなるV60から全長は24mm、全高は64mmサイズアップされ、最低地上高は65mm嵩上げされている。前後バンパーアンダーガードや樹脂製のフェンダーエクステンション、サイドスカートが備わることで、よりマッシブな味付けとなっているが、昨今のボルボが得意とする削ぎ落としとシンプル化によるデザイン文法は崩れることなく、佇まいはあくまでも美しいエステートだ。
今回のV60クロスカントリーは、“初試乗が雪上および氷上”ということもあり、大もとのクルマで基準点を体に叩き込む意味でも、直前にV60 (試乗車はT5インスクリプション)を借りて、国内のワインディング路や高速道路を十分な時間走らせた。V60クロスカントリーとはエンジンもトランスミッションも同じだが、大きな違いは、同じT5でもV60はFFでV60クロスカントリーがAWD。

田舎道を走るV60クロスカントリーの姿を外から観察したが、高められた車高によりアプローチアングル、ランプアングルともに十分な余裕を確認することができた。

V60の好印象な部分はそのまま引き継がれている

おさらいをして、あらためて好印象だったのは、V60の滑らかな足さばき。さらに言えば、単に滑らかなだけではなく、ギャップを越えた後の上下動も適切に抑え込み、常にフラットな乗り味をもたらしてくれた。ハンドリングも正確無比。むしろスポーティと讃えたくなるほど。それがクロスカントリー専用のサスペンションや駆動方式、路面環境によって、どのような印象へと変化していくのか——。ちなみに、冬のスウェーデン、特に北部ともなるとスパイクタイヤが積極的に装着されるそうで、試乗車も「ミシュランXアイス・ノース4」を履いていた。
まず、各国のメディア陣がコンボイ走行で一般路へとロードインしたが、氷上のグリップ力は別モノ。日本でのスパイクタイヤは、飛び道具中の飛び道具なだけに履くことはないが、午後から夜間にかけての試乗だったこともあり、このタイヤで強烈なアイスバーンへの不安を取り去ることができた。
ルレオ中心地から郊外へ走り出して素直に感じたのは、上質感のある身のこなし。これにお世辞はない。日本を基準とすれば、今回は特殊な環境下での試乗なだけに、断定するのは避けたいが、ナチュラルなロール感や滑らかな乗り心地、正確なハンドリング性能はベースモデルと比べても勝るとも劣らない。19インチタイヤ&ホイールとスパイクタイヤの影響は少なからずあったとしても、ハナマルの出来栄えだと思う。この上質さは、V90とV90クロスカントリーの関係性と一緒なことは、会場にいたスポークスマンから言質を得たが、V60とV60クロスカントリーの関係の方が「90よりも車重が軽い分、より良くなった」、つまり「60の2台の差はほとんどない(どちらもすごくいい!)」、ということもコーヒーブレークのときに聞くこともできた。

リポート:佐藤 玄/G.Sato(本誌) フォト:ボルボ・カー・ジャパン ル・ボラン2019年4月号より転載

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