タイヤの磨耗度が同等ならテスト結果にも変化はあっただろう
PORSCHE 911 CARRERA4 GTS
●制動距離:37.0m(★★★★☆)
フロントタイヤはほぼ新品状態だったので、ステアリングの効きは十分満足できた。100km/hで半径40Rの旋回路に進入し、フルブレーキングと同時にステアリングを操舵。このときカレラ4GTSは正確にライントレースし、制動力も大きかった。991型のABSはブレーキを踏んでからステアリングを操舵すると、制動力を少し弱めてステアリングが効きやすくなる制御が採用されている。一般的にはステアリングを先行させてからブレーキを踏むと、ABSは滑りやすい路面と勘違いして、かなり制動力を弱めてしまうが、ポルシェのABSはドライバーの意思を正確に汲み取り、操作がバラついてもロバスト性は守られている。基本性能と電子制御の勝利といえるだろう。
PORSCHE 911 CARRERA S
●制動距離:47.5m(★★★☆☆)
シャシー性能が進化したことはハンドリングでも確認済みだが、ウェット旋回ではタイヤの摩耗度が影響して、予想した結果は得られなかった。リアタイヤの摩耗は911カレラ4GTSと比べて1mmくらいしか減っていないが、問題はフロントタイヤのショルダーブロックの偏摩耗の大きさ。ハイドロプレーニングでは、PSM(ポルシェ・スタビリティ・マネージメントシステム)も効果を発揮しきれなかった。急ブレーキを踏みながらステアリングを操舵するが、路面に対してタイヤが完全に負けて曲がる気配はなし。2回目のテストではステアリングをやや早めに操舵するが、ライントレース性は満足できなかった。タイヤの摩耗で20%もウェット性能が悪化したのだ。
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