ヴァカンスのお供はコレ! 嶋田智之のルノー・カジャー試乗記

 

パワートレインは十二分
シャシーも意外にタフ

 そうなると扱いやすさに加え、ある程度以上の力強さを持つアシの長いパワートレーンが欲しいところだが、カジャーはルーテシアなどでお馴染みの1.2リッター直4ターボを最高出力131ps/最大トルク205Nmへとチューニングして搭載している。トランスミッションは、メガーヌと同じ7速のデュアルクラッチ式だ。車重はルーテシアより190kg重い1410kgという数値だが、そのエンジンとトランスミッションの組み合わせはカジャーを思いのほか活発に走らせてくれたのだった。

 発進直後から豊かなトルクを発揮してくれるエンジンの美味しいところを、マネージメントのかなり賢いトランスミッションが常に拾い続けてるような印象で、街中のみならず高速道路やワインディングロードも含め、力不足でじれったい想いをするようなことはなかった。高回転まで引っ張って走ることもできるが、低中速域で充分に満足できる車速の上がり具合を見せてくれるから、さほど回そうという気にならない。街中での相棒や休日のロングドライブのためのクルーザーとして考えたら、適切なセットアップだと思う。

 

 足腰はどうかといえば、高速道路ではフラットライドを味わわせてくれて、とても気持ちよかった。ワインディングロードでは足が綺麗に伸び縮みして路面を粘り強く掴み続け、SUVとしては適度にシャープでスポーティともいえるハンドリングを楽しむことができた。砂利道を走ってみても足元は乱れず、予想より遙かに快適だった。サスペンションの動きそのものはかなり良好で、しっかりとルノーらしいのだ。が、タウンスピードで路面の荒れた箇所を通過するときに、その荒れ具合をわりと正直に身体へと伝えてくるところがある。日本仕様のカジャーは19インチのホイールと225/45サイズの扁平タイヤを履いていて、それが理由なのだろうと思われる。あるいは試乗したクルマが走行距離400kmでアタリがついてない状態だったから、それが理由なのかも知れない。本国には用意のある17インチ仕様や、もっと距離を走った状態であらためて試してみたいな、と感じたのが正直なところだ。というのは重箱の隅にある問題で、快適なのか快適じゃないのかと問われたら概ね快適だったと素直に答えられる部類ではあるけれど、フレンチらしい乗り味をハッキリと持っているクルマなだけに、そこをもっと追求してみたいという気持ちが湧いてきたのだ。 

 

 ちなみにオフローダーではないことを承知の上で、握り拳ぐらいの石がゴロゴロ転がっている凸凹道にも、おそるおそる侵入してみた。それこそ普通の日常生活の中ではまず出逢うことのない路面だが、最低地上高200mm、アプローチアングル18度、デパーチャーアングル28度という下回りが、足首をくじきそうで歩きたくはないようなその道を、あっさり何事もなくクリアさせてくれた。これくらいの逞しさがあれば、大抵のアクティヴィティには悠々と応えてくれるだろう。

 フレンチ風の長いヴァカンスに出られる身分ではないけれど、このクルマでちょっとした旅に出てみたいな、と思った。

 

充実の安全装備

直感操作ができる「R-Link2」システム

【Specification】ルノー・カジャー・インテンス■全長×全幅×全高=4455×1835×1610mm■ホイールベース=2645mm■車両重量=1410kg■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ターボ/1197cc■最高出力=131ps(96kW)/5500rpm■最大トルク=205Nm(20.9kgm)/2000rpm■トランスミッション=7速DCT■サスペンション(F:R)=ストラット:トーションビーム■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク■タイヤサイズ(F:R)=225/45R19:225/45R19■車両本体価格=3,470,000円※■ルノー・ジャポン:http://www.renault.jp/
※ブランナクレ・メタリックのボディカラーは21,600円高

 

フォト&ムービー:宮門秀行 H.Miyakado

注目の記事

「ル・ボランCARSMEET」 公式SNS
フォローして最新情報をゲット!