ドライバーの思い通りをサポート
日産自動車は1月3日、ドライバーの脳波を測定し、運転を支援する先駆的な研究を発表した。
ニッサンの脳波測定による運転支援技術(Brain-to-Vehicle=B2V)は、ドライバーの反応時間を早め、ドライビングをよりエキサイティングなものにし、ドライバーとクルマの関係を再定義する。この技術は、人とクルマのコミュニケーション、社会とクルマとの関わり方を変えていくことを目指す「ニッサン インテリジェント モビリティ」における最新の成果だという。
「将来の自動運転社会では、人間はクルマをコントロールしないと考える人が多いかもしれません。しかし、この技術はその反対です。ドライバーの脳波を活用して、ドライビングをさらにエキサイティングで楽しいものにしていくのです」と副社長のダニエレ・スキラッチはコメント。「ニッサン インテリジェント モビリティの取り組みのもと、自動運転や電動化、コネクテッドカーなどの技術により、私たちはよりよい社会を実現していきます」
ニッサンのこのブレークスルーは、脳波測定技術を適用する研究の成果で、ドライバーが行なう次の運転操作のタイミングやドライバーが持つ違和感を把握する。ドライバーがステアリングを回す、アクセルペダルを踏むなどの操作をする直前に、脳の行動準備電位を検出し、ドライバーが操作を開始する前からシステムが操作を開始することで、ドライバーの反応の遅れをカバー。ドライバーが思い通りの運転をできるようサポートするのだ。一方、自動運転時に、脳波からドライバーの違和感を検出し、ドライバーが違和感を持たない自然な制御の自動運転にカスタマイズすることを可能にする。
B2V技術の研究をリードしているニッサンのルチアン・ギョルゲ シニア・イノベーション・リサーチャー(SIR)のコメントはこうだ。
「拡張現実(AR)を活用することでドライバーの視線の先にある車内環境を調整したり、よりリラックスできる環境をつくり出すことも可能になるかもしれません。この技術の適用には大きな可能性があります。この研究が触媒となり、将来、より多くのイノベーションが日産車にもたらされるでしょう」
ニッサンのB2V技術は、世界で初めて、ステアリング操作などの運転操作に関連する行動準備電位のリアルタイム検出。また、ドライバーが思い描いた運転と、実際に行なわれている運転が違うと感じるときのエラー関連電位(Error Related Potential)を計測可能としている。さらに、この技術はドライバーがヘッドセットを着用することで計測された脳波をシステムが解析・判断し、自動運転に適用。そして、マニュアル運転時には脳波によってドライバーの意思を把握すると、ドライバーが操作を開始する0.2~0.5秒前にクルマが運転操作を開始する。このことにより、ドライバーはシステムのサポートを意識することなく、スムーズに走行することができるようになる。
なお、ニッサンはこの技術を、米国ラスベガスで1月9日から開催される「CES(インターナショナル・コンシューマー・エレクトロニクスショー)」に出展し、ドライビング・シミュレーターを用いてB2V技術のデモンストレーションを行なう予定だ。
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