球状のタイヤは360°回転可能
11月下旬、アウディは「Google Lunar XPRISE」への挑戦に向けて開発中の月面移動車「Audi Lunar quattro(アウディ ルナ クワトロ)」の進化型という位置付けの、「Rover II」についての情報を公開した。Google Lunar XPRISEはGoogleがスポンサーとなって開催している民間初の国際宇宙開発レースで、2017年末までに月面に探査車を送り込んで500m以上移動させ、指定された高解像度の画像や動画を地球に送信できたチームには優勝賞金2000万ドル(約22億7000万円)が贈られる。
アウディはドイツから唯一このレースに参加している「Part-Time Scientists」に2015年から技術および資金面で協力しており、今回は実際にGoogle Lunar XPRISEを戦うAudi Lunar quattroの進化版としての「Rover II」を、アウディ コンセプト オートモーティブ デザイン部門に所属する2人のデザイナーが描き起こしたものである。
4輪を球状にデザインしたモデルはシニアデザイナーのラーモン・セラーズ・サーベントによるもので、人の腕のような動きをさせることができ、垂直にそびえる岩の間でも移動可能というコンセプト。「月面走行に適したグリップがあり、効率的に最高で、なおかつ技術的にも進化したクワトロの姿を思い描きました。4つのホイールは360°回転し、人の腕のように自由に動かせます。両側を岩の壁に囲まれて地面から高く浮いたところでも移動が可能で、極限的な条件下でも走行できます」とサーベント氏は説明している。
また、もうひとりのデザイナー、スベン・フォルハイツによる地球外惑星装甲車のコンセプトは、ドライビングと作業のふたつの走行モードが設定され、移動車から外に出ることなく惑星のサンプルを収集できるようにデザインしたという。後輪を支えるアームを立てて前傾姿勢を取り、まるで生き物のように地表サンプルをかじりとることができる設計になっている。
Audi Lunar quattroは、2016年末までに最初の試験走行を完了する予定とのことだ。アウディでは、厳しい月面環境に適応するAudi Lunar quattroの開発によって得られた技術が、将来のアウディ市販モデルに活かされることを期待しているとしている。
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