エンジン+3基のモーターでトータル581馬力!
新型ホンダNSXのパワートレインは、左右前輪にそれぞれ1基ずつ、後輪用として1基の計3基の電気モーターを3.5リッターV6ツインターボエンジンに組み合わせるという特徴的なハイブリッドシステムを採用している。それぞれの単体での出力は、V6エンジンが507ps、前輪用電気モーターが37ps×2基、後輪用電気モーターが48pSで、総合出力は581psだ。
V6エンジンは2座席のキャビン後方に配置されたリチウムイオンバッテリーの直後に縦置きにマウントされており、9速デュアルクラッチ式トランスミッションがその後方、そしてエンジンとトランスミッションの間に後輪用電気モーターが挟まれている。また、前輪用電気モーターはそれらとは分離されており、左右前輪の中間の位置に2基を横並びに置くレイアウトを採る。
静止状態からの発進では、まず電気モーターが瞬時に駆動力を供給。それと同時にクランクシャフトに直結された後輪用電気モーターは、瞬間的に発生する大トルクでターボラグによるエンジンの出遅れをもサポート。その後、安定した巡航状態に移行したところでエンジンからのパワーがメインになり、電気モーターの出力は必要に応じてその補助とヨーコントロールに用いられる。
V6エンジンのバンク角はあまり一般的ではない75度とされているが、これは、車両後部に縦置き搭載する都合上、エンジン幅を抑えてリアサスペンションの設計自由度を確保するためには小さい角度の方が都合がいいが、全長をなるべく短くして小型化と低重量・低重心化を実現するためにはある程度は角度を大きくする必要があり、その最適なバランスを求めて決定されたようだ。もちろんヘッドもブロックも軽量な、そして冷却性にも優れるアルミ製としている。
また、コンパクトなヘッド構造とするため、吸排気とも可変カムタイミング機構(VTC)を備えたバルブ駆動系にはスイングアーム式が採用されており、ロッカーアーム式に比べて22%のサイズダウンと慣性重量低減を実現しているという。加えてエンジン搭載位置を低くするため、オイルパンをエンジンから分離してオイルを強制循環させるドライサンプ式も採用されている。
最大1.05barのツインターボシステムには、過給圧を素早く立ち上げて細やかにコントロールすべく電子制御ウェイストゲートを装着。最近、採用例の多いツインスクロール式ではなくシングルスクロール式とされたのはタービンそのものを軽量化できるためとのことだが、瞬間的なトルク供給を電気モーターで補えるハイブリッドスポーツの利点がその背景にはあるのかもしれない。
吸排気系では、左右バンク間のトルク変動を抑える2-1インテークマニフォールドとツインスロットルボディ、各バンク独立レイアウトのステンレス製エグゾーストなどが採用された。また、吸排気系の両方にサウンドコントロールシステムが備えられているのもおもしろい。
吸気側のインテークサウンドコントロールは、吸気マニフォールドに設置されたパイプを利用して吸気マニフォールドからの高圧吸気を低圧音波に変換するというもの。走行モード切り替えで「クワイエット」モードを選ぶと音圧が25dBも低減されるとのことだ。
排気側には、ふたつの電動バルブによって音量や音質をコントロールするアクティブエグゾーストバルブシステムを搭載。単純に排気音量を高めるだけにとどまらず、シフトアップ時にはポップ音、シフトダウン時にはブリッピング音を奏でて気分を高めてくれる。
ツインターボのV6エンジンと3基の電気モーター、そして吸排気音の両方を演出するサウンドコントロールシステムの組み合わせはいったいどんなサウンドを聴かせてくれるのだろうか。実際に耳にできる日が待ち遠しい。
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