9月にマイナーチェンジが行なわれるホンダ・シビック。その際、追加されるのが初代シビックにも設定されていた由緒あるスポーティグレードの「RS」だ。今回はプロトタイプで確認したその出来栄えをリポートしよう。
絶対的な“スピード”より走りの“愉しさ”を追求
今年1月の東京オートサロンにて公開されたホンダ・シビックRSが、9月にいよいよ発売となる。そのプロトタイプモデルをひと足先にクローズドコースで試乗することができた。
RSグレードの追加に合わせてボディカラーには新色の「シーヘッドブルー・パール」が追加される。従来グレードではメッキパーツだったドアモールやフィニッシャーはグロスブラックに変更され、スポーティで引き締まった印象を与える。
ご存じの通り、ホンダにおけるRSは「ロード・セーリング」の略で、初代シビックで採用されたスポーツモデルのグレード名。現行シビックには最強のスポーツモデルとして既に「タイプR」が存在するが、そのタイプRとベースモデルの間を埋める、“ちょうどいい”スポーツモデルとして、この新型シビックRSは企画されたという。
インストルメントパネルのデザインは従来グレードと共通。インフォテイメントシステムは先日デビューしたアコードに続いてGoogleをベースとしたものに変更された。
そのシビックRSの大きな特徴は、MT専用グレードであるということ。現状でもガソリン車グレード(EX、LX)合計でのMT販売比率が50%を超えていることもあり、今回のマイナーチェンジでRSはより魅力的なMTモデルとなることを目指したという。
搭載されるエンジンは182ps/240Nmを発揮する1.5L直4ターボだ。
早速試乗してみるとそのフィーリングはかなり進化していた。特に驚いたのはアクセルレスポンスの良さだ。これは新開発の軽量フライホイールが効いており、慣性モーメントは従来モデルより30%もダウンしている。さらにはシフトダウン時に回転数を自動で合わせるレブマッチシステムも採用。あらゆる状況でも正確無比なシフトチェンジが行なえ、“操っている”感を高密度で味わえる。
6速MTのシフトは剛性感があり、コクコクと決まる。
足回りも進化している。サスペンションはスプリングとスタビライザーの剛性を高めたほか、フロントのブッシュは従来の液封からソリッドラバー化。ステアリングのトーションバーレートも60%アップし、さらにはダンパーも専用品が……と、変更箇所は多岐に渡る。その結果コーナリング中の接地感が向上し、終始一体感のあるハンドリングが楽しめた。
走行モードには従来型のECON、NORMALに加えてSPORT、INDIVIDUALが追加。INDIVIDUALモードではエンジンレスポンス、パワーステアリングの特性、メーター表示をそれぞれユーザーの好みに設定できる。
タイプRほどの過激さはないけれど、下道でも十分に楽しめるキャラクターはまさに「ロード・セーリング」。肩ひじ張らずに走りを楽しみたい人にはまさに“ちょうどいい”1台だ。
シート素材はスエード。カラーはブラックの1色展開でアクセントとして赤色のステッチが入る。
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