2048年までにタイヤ原材料の80%を持続可能な物質に。リサイクル率も100%に
自動車メーカー以上に環境問題に熱心なタイヤメーカーだが、その背景には石油を主原料とするゴム材料を長く使ってきた歴史がある。今後はそうした石油由来の安価な原料が使いにくくなり、天然ゴムを主体にバイオ由来の原料へとシフトしていくことになるが、その分野でのタイヤメーカー同士の競争が激化する動きも見えてきている。
そんな中でミシュランが環境問題への取り組みを強調した長期戦略を発表。30年後の2048年までにタイヤ製造材料の80%を持続可能な物質に置き換え、使用済みタイヤのリサイクル率を100%とする方針を明らかにした。現在、ミシュランが製造するタイヤは持続可能な原材料(主にバイオ由来)の使用率は28%で、この比率はどのメーカーも大きくは変わらない。これを80%まで持っていくことは簡単ではなく、コスト増に加えて天然ゴムの使い過ぎ(森林資源の枯渇など)にも配慮する必要がある。
またリサイクル率に関しては、ミシュランのこの数字は廃タイヤの燃料への使用は含んでおらず、現時点は50%程度にとどまっている。日本においても燃料(熱利用)を含めばリサイクル率は9割を超えているが、再生加工利用となると2割以下になってしまう。そう考えると100%という目標達成には、かなり高いハードルを超えなければならない。
80%を持続可能な原材料に置き換えるミシュランの計画にはリサイクル原料の再利用も含まれているが、そのひとつの解として提示しているのが、リサイクルタイヤから得られる高性能微粒子ゴム粉末(MRP)だ。ミシュランはこのMRPの製造企業である米リーハイ・テクノロジー社を’17年に買収し、積極的なMRPの活用へと舵を切りつつある。この先、天然ゴムの収穫にも限度があり、その相場上昇で調達コストも高まる中、MRPの活用は新たな方向性を示していると見ていいだろう。
ミシュランは’18年だけで約10億本の使用済みタイヤが発生すると試算しており、効率的なリサイクルシステムの構築は待ったなしの状況にある。発表された計画は30年と長期に渡るが、その影響でタイヤ製造の流れが変わることになるのか。ウォッチしていく価値はありそうだ。
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