VWがグループ再編計画を発表

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世界の地域ごとのリードブランドを制定。全固体電池の開発などEV戦略積極化も

フォルクスワーゲングループ(VW)が世界的な組織の再編を進めている。ここにきてその戦略のひとつが発表されたが、世界の各地域にリードブランドを決め、意思決定や車種展開を迅速に進めようというもので、日本が属するアジア太平洋地域(中国は除く)はアウディが担当。アウディだけでなくフォルクスワーゲン、ポルシェ、ベントレー、ランボルギーニ、ブガッティもそれぞれ正規インポーターが輸入販売する日本だが、その統括をアウディグループが行うという、素人目にはちょっと分かりにくい展開となるようだ。

ただ、今までは各地域の状況をドイツのVWグループ中枢に一度報告し、それから意思決定をして再び各地域に戻す形で、ある程度の時間的ロスを見込まざるを得なかったという。新たなリードブランド制ではその時間的ロスを減らし、より迅速な業務遂行が可能となり、それだけライバルに対するアドバンテージを保つことができるという利点もある。

地域ごとの担当ブランドを見ていくと、北米、南米、サハラ砂漠より南のアフリカはフォルクスワーゲンブランドが担当し、北アフリカはセアトブランド、アウディブランドは前述のアジア太平洋に加えて中東を担当し、ロシアとインドはシュコダブランドといった棲み分けとなる。VWにとって最も重要ともいえる巨大成長市場の中国は、VWグループが直接担当する。

この再編によりVW中枢はグループ全体の重要な案件に集中的に取り組むことができ、効率も高められるとしている。販売台数世界一の座に君臨するVWは、一方でアウディグループの総帥がドイツ当局に逮捕されたり、あるいはディーゼル排ガス不正の代償の支払いなどネガティブ面も抱えている。

一方で全固体電池の量産に向けて出資提携を進めて電気自動車の取り組みを強化したり、商用車分野では米フォードとの提携に踏み切るなど、多方面の積極的なアプローチも目立っている。積極姿勢により株価を保つ狙いもあるのだろうが、世界最大級の自動車メーカーとして次世代を担っていく覚悟が垣間見られる。グローバルメーカーの頂点に君臨する、VWの存在感がさらに高まっていくことは間違いないだろう。

田畑修
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