アストンマーティン・レーシングが「ヴァンテージ GT3」と並行して開発・製造した、新規技術とパートナーシップの恩恵を享受した一台
アストンマーティンは、先ごろ好評を博した新型「ヴァンテージ」ロードカーと「ヴァンテージ GT3」レーシングカーの発表に続き、新型「ヴァンテージ GT4」を発表した。
パートナーであるレーシングチームや熱烈なサーキットファンをターゲットとしたヴァンテージ GT4によって、アストンマーティンの強力なGTラインアップが完成し、サーキット走行からF1まで、ブランドのモータースポーツへのコミットメントが明確に示されている。
新型ヴァンテージ GT4は、先代のヴァンテージ GT4の卓越した実績に基づいて開発されており、GTレースのジュニアカテゴリーでの即戦力になると見越している。最新の新型ヴァンテージ GT4は、新型ヴァンテージ ロードカーに採用された性能および技術面の向上の恩恵を受け、シャシー、エアロダイナミクス、ドライブトレイン、効率性能などに多くの改良が加えられ、アストンマーティンの最新マシンの競争力をかつてないレベルに高めた。
厳しいレギュレーションにより、ヴァンテージ GT4は市販の兄弟車と非常に近い装備を備えており、レースカーはロードカーの構造およびメカニカルアーキテクチャの約80%を共有している。その中心となっているのがボンデドアルミニウムシャシー(接着アルミニウムシャシー)で、ボディワークが取り付けられる前に、厳しい安全要件を満たすために完全にカスタマイズされたロールケージが装着される。
4.0L ツインターボV8エンジンとトランスミッションは、いずれもヴァンテージ ロードカーのコンポーネントをベースにしており、主な変更点は電子制御システムだ。前者にはボッシュモータースポーツ製ECUとAMRが開発した特注のソフトウェアが、後者にはZF/AMRモータースポーツ・ソフトウェアが搭載され、市販車標準のオートマチック・トランスミッションを制御する。
特注のソフトウェアは、8速トランスミッションをオートモードなしの6速パドルシフトに「変換」し、巡航速度での燃費向上のために装備された、公道走行可能なオーバードライブ・レシオの7速と8速をロックアウトする。
電子制御システムの変更は、主にエンジンの管理とターボ制御システムを正確にコントロールし、GT4選手権の主催者が定める厳格なBoP(性能調整)の基準を満たすために行われる。また、こうした変更が行われたおかげで、ギアシフトを最適化し、モータースポーツ特有のトラクションコントロールを作動させることもできる。ヴァンテージ GT4のコックピットには、ロードカーの計器表示に代わる最新のボッシュ製DDU 11ディスプレイも搭載された。
シャシーの改造もレギュレーションの影響を受けた。インボードサスペンションの取付位置は市販車と同じだが、サスペンションリンケージに若干の変更が認められる。こうした措置は、レーシング用途に適切なキャンバーの範囲を確保するためであり、また、新型車に装着される21インチホイールよりもかなり小さい、18インチ径のホイールとタイヤのパッケージに適合させるためでもある。ヴァンテージ GT4には、AMR仕様の特注鍛造のアルミホイールが新たに採用されている。
ダイナミックパッケージで注目されるのは、AMRと有名なサスペンション・メーカーとの技術提携の一環として提供された、新たな2ウェイ調整式KWダンパーだ。過去6年間にわたるドライバーからの膨大なフィードバックに基づいて開発された新型車は、そのドライビング・ダイナミクスを通じて、より正確でコントロールしやすい感覚を呼び起こす一方で、従来のヴァンテージ GT4がドライバーから好評を博していた扱いやすさや操作性も維持している。
デザインについてはレギュレーションによりわずかな変更しか認められていないため、ヴァンテージ GT4の外観は、素晴らしいデザインの新型ヴァンテージに酷似している。よって、GT4のエアロダイナミクスパッケージの最適化には、数値流体力学(CFD)が用いられた。アストンマーティンのデザイン部門からの意見に基づき、こうした変更のすべてが最終デザインに確実に反映された。
徹底した開発プログラムを完了した新型ヴァンテージ GT4は、先月アメリカ・フロリダ州で開催された「ロレックス・デイトナ24時間レース」の「IMSAミシュラン・パイロット・チャレンジ」で国際レースデビューを飾った。現在、生産は順調に進んでおり、すでに数台のマシンが顧客チームのもとに届いているほか、AMRは2024年シーズン中に40台以上のオーダーを受注生産するために多忙を極めている。
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