ガルウィングはないけれど
3ヶ月ほど前(2023年8月)、フルモデルチェンジにより新型が発表されたメルセデスAMG GTは、メルセデス・ベンツがメルセデスAMGブランドで展開する高級スポーツカーだ。件の新型は2024年前半の発売予定とされているため、現在(2023年11月)のところは初代モデルが現行型ということになる。
メルセデスAMG GTは、メルセデス・ベンツSLS AMGの後継車として2014年10月に発表された。高級であると同時にスパルタンなスポーツカーでもあり、ロングノーズ・ショートデッキのボディを持つ2シーターという古典的な成り立ちは引き継がれているが、SLS AMGの特徴であった、かつての300SLを思わせるガルウィング・ドアは、もう採用されていない。同時にボディサイズも若干小さくなり、ポルシェ911などが競合相手ということになった。
全長4546mm/全幅1939mm/全高1287mm、ホイールベース2630mmのボディは、張りのある曲面に包まれた力強いスタイリングをまとう。後退角の付けられたヘッドライトは後方に吊り上がり、大型のフロントグリルと相俟って精悍な表情となっている。レイアウトはもちろんFRで、専用のV8エンジンを搭載。エンジンはフロントミッドシップに配置され、トランスミッションをリアアクスル側に置くトランスアクスル方式を採用、重量配分の最適化が図られた。
新開発されたエンジンはM178と呼ばれるもので、V型8気筒DOHCにツインターボを装着、排気量は3982cc。最高出力/最大トルクは462ps/600Nmであったが、高性能版のGT Sでは510ps/650Nmまでアップグレードされている。トランスミッションはAMG製の7速デュアルクラッチミッション、サスペンションは前後ともダブルウィッシュボーン。GT Sには電子制御式LSDが採用されているのも、ベースモデルとの違いだ。
以後のバリエーションについては、細かな限定モデル・特別エディションの類はおいて、大きな変化のみ拾って簡単に述べていこう。2016年には、「公道走行可能なレーシングモデル」とも言われるGT Rを発表、翌2017年に発売している。これはエンジンの最高出力を510psからさらに75psアップさせ(585㎰)、4輪操舵システムの導入により操作性も向上させたものである。外観では、かつての300SLレーシングを彷彿とさせる「AMGパナメリカーナグリル」と、アジャスタブルリアウィングスポイラーが特徴だ。
2017年には、Rの発売からすこし遅れてマイナーチェンジも実施された。ベースモデルなどにもパナメリカーナグリルが装着され、エンジンもパワーアップ。462ps仕様は476psに、510ps仕様は522psにと、それぞれ最高出力が向上している。また、Rをいくぶんマイルドにした仕様であるGT Cも登場。このCには557psのエンジンが搭載されていた。
同年には、オープントップモデルであるロードスターを、ベースモデルとCに追加。トップは完全電動式で走行中にも開閉できるアコースティックソフトトップとなっており、フロントグリルはやはりパナメリカーナグリルが装着されている。ロードスターおよびCロードスターのエンジンは、クーペのベースモデルおよびCと共通の仕様であった。
2019年には再度マイナーチェンジを実施。エクステリア、インテリアともにアップグレードされたほか、Rをベースにサーキットでの性能をより重視したRプロを追加している。このプロは、エンジンなどはRと変わらないものの、セッティングをサーキットに応じて調整できるという、AMGコイルオーバーサスペンションを採用していたのが特徴であった。
ドイツレベルはベースモデルで、タミヤはGT3でプラモ化
さて、そんなメルセデスAMG GTであるが、プラモデルの世界では3つの製品化がされている。ドイツレベルの1/24と1/43、そしてタミヤの1/24だ。ドイツレベルの1/24スケールは初期のベースモデルを、1/43スケールはRを、それぞれ再現している。一方タミヤの1/24というのはレース仕様、GT3のことで、公道仕様のモデル化ではない。
ここでお見せしているのは、ドイツレベル1/24の、素のメルセデスAMG GTを制作した作品である。このキットには、対応するディテールアップパーツがサードパーティよりリリースされていたりもし、またRやCさらにはロードスターなどに改造するというのも夢のある話だが、作例はキットをほぼ素組みしたものだ。とは言え、細部にはちょっとした修正や工夫を織り込んでいるので、制作過程の写真に注目していただけると面白いだろう。
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