映画の中の色調イメージを優先
アオシマの『トラック野郎』シリーズから、映画1作目『トラック野郎 御意見無用』の一番星号を作っていこうという企画、第2回目である。
前回は全体の仮組みを行ったので、今回はキャビン周りをメインに進めていこう。前回の記事(下の『関連記事』参照のこと)で書いたように、このキットは専用のパーツがふんだんに盛り込まれた贅沢な製品なのだが、それでもごく一部に、やむを得ず省略したであろう部分が見受けられる。パーツをどれだけ金型に彫り込めるか、成型に使うプラスチックをどれだけ増やせるか、あるいはパーツとしてそもそも再現できる部分なのか、または再現できるほどに映像からディテールが確認できるか、そういった問題のせめぎ合いからキットの内容は決定されているのであろう。
そうした事情を考慮すれば、このキットは非常に良心的な内容を持っているので、非難するような意味ではないことを念頭に置きつつ、以下お読みいただきたい。さて、キャビン周りをよーく観察すると、映画の中に確認できるディテールで、キットの中に見当たらないものとして気が付く装備がある。ドア周りのバイザーである。これは左右ドアの開口部にメッキのバイザーが付いているのだが、さらにドアのウィンドウにも小さなバイザーが付いている。この小バイザーは、運転席側ドアのみの装備である。
こうした部分を作るには、薄い金属板から切り出し、曲げて自作するというやり方も考えられるが、今回はそれではそこだけシャープになりすぎるのではないかとも思い、プラペーパーを使って自作した。ドアウィンドウのバイザーはパーツとして作り、あとで取り付けることにしたが、ドア開口部のバイザーはそういうわけにはいかない。色々考えた末、塗装前に取り付けてしまった。あとで塗り分けるか、糊付きアルミ箔でも貼るか、それはまた考えることとしよう。
デカールの保護もありクリアーコートは省略せず
そのほか、一番星号としては不都合なディテールを修正したうえで(これは画像キャプションをお読みいただきたい)、ボディを塗装、デカールを貼り、クリアーコートすることとなる。キャビン上側は、キット説明書ではただのイエロー(Mr.カラーC4)で指示されているが、映像では青みと白みが入っているように見受けられたので、そのように調色した。以前に他のキットを作った際の調色済み同系色をベースとしたので、レシピは不明な部分が多く、省略させていただきたい。
下側のシルバーもやはり青みが強いようなので(ということはつまり、上のイエローともども、映画中では空の青を映し込んだ色あいになっているということだろう)、シアンを混ぜて塗装してみたのだがこれは少々失敗、青みというより緑みが出てしまった。バイオレットも入れた方が良かったのかもしれない。ただし、このおかげでスパンコールのデカールの銀色と違いが出たようになり、その意味では悪くなかったようである。
映画に出てくるクルマは、青空の下のシーンが多いか曇天あるいは雨かで、ボディカラーが大分違って見えてくる。映画自体の色調も、撮影の際のフィルターの使用や編集段階のカラコレなどによって特定の色に寄せたり、彩度を上げたり落としたりしてルック(作品の見た目)をコントロールしているので、車両の色がそのまま映されているとは思わない方が良い。作中のイメージを優先するか車両そのものの色調に寄せるか、劇中車の模型を作る際にはそうした部分も気にしたほうがいいだろう。この映画はDVDで観る限り、作品全体の色のトーンはニュートラルなように思われた。
この頃の自動車の塗装ではクリアーをかけていないことが多く、作中の一番星もそのように感じられたのだが、デカールを貼ることなども考慮するとクリアーなしという訳にもいかないので、模型としての仕上がりを優先してクリアーコートと研ぎ出しを行い、デカールの段差をなるべく消している。キットのデカールは厚みがあり、また、奇妙な形につながっているので、この作業には難儀することとなった。
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