遠藤イヅルが自身のイラストともに1980年代以降の趣味車、いわゆる”ヤングタイマー”なクルマを振り返るのがこのコーナー。振り返ってみると極端に英国車の少ないこの連載ですが、今回は王道ロータスの……エクセルですヨ!
ボクらのヤングタイマー列伝第21回『ルノー21』の記事はコチラから
エクラ、エリートもお忘れなく!
現在もなお魅力的なスポーツカーを輩出し続けているロータス。現行車でもエンスージァズムに溢れている点も嬉しいところです。セブン、エラン、ヨーロッパ、エスプリなど名車と呼ばれる車種も数知れず、特にスーパーカー世代にとってヨーロッパやエスプリは永遠の憧れです。そんな中、当時ひっそりとスーパーカーカタログの隅に載っていたとあるクルマを、幼少ながら既に天邪鬼だったボクは、大好きでした。それが『ロータス・エリート』です。
車名的には2代目エリートとなる1974年に登場した4シーター・ロータスは、後方に伸ばされたルーフとしっかりとしたリアシートで高い居住性を誇る、豪華で高級なGTカーでした。ところでなぜライトウエイトスポーツカーを趣旨としていたロータスが、高級GTのエリートを生み出したのでしょうか。それは、いかにロータスがスポーツカーメーカーとして発展してきたといえどもそこはイチ企業、成長や新しい分野へのチャレンジが必要だったからです。ロータスはエラン+2でつかんだ”2+2スポーツカー”路線を、彼らの商品展開拡大、高級スポーツカーメーカー転身への手段として選んだのでした。結果としてそれは決して幸福な路線ではなかったのですが……。
……と前置きがいつもより一段と長いですね(笑)。というのも今回取り上げた『ロータス・エクセル』は、元をたどればこのエリートに行き着くモデル。エリート発売後ロータスは、エリートのボディ後半をファストバックスタイルにしてスポーツカーらしいフォルムを得たバリエーションモデル、『エクラ』を1975 年に追加しましたが、さすがにスタイルがエキセントリックに過ぎたためか生産終了はエリートの方が早く、エクラだけが残ることになりました。そのエクラは1982年秋、『エクラ・エクセル』に発展。エンジンや基本設計はエクラと同じながらも、Cピラーの角度やリアサスペンションなどが改められリフレッシュし、当時提携していたトヨタのパーツが用いられるなどした廉価版モデルでした。
1985年になると車名が『エクセル』に改められ、1992年までロータスのカタログにラインナップ。ですがエリート、エクラ、そしてエクセルも一貫して常にロータスの中では陰に入りがちなクルマたちでした。でも個人的に、エクセルはボクが憧れに憧れたあのエリートの面影や設計を強く残すモデルとして大好きなのです! このコーナーでも以前フェラーリ・モンディアルを好きと公言しましたが、やはりどうも4人乗れるスポーツ(スーパー)カー、主役になれなかったモデルに惹かれてしまうみたい(涙)。というわけで、エクセルもいつかは手に入れてみたい1台です。
この記事を書いた人
1971年生まれ。東京都在住。小さい頃からカーデザイナーに憧れ、文系大学を卒業するもカーデザイン専門学校に再入学。自動車メーカー系レース部門の会社でカーデザイナー/モデラーとして勤務。その後数社でデザイナー/ディレクターとして働き、独立してイラストレーター/ライターとなった。現在自動車雑誌、男性誌などで多数連載を持つ。イラストは基本的にアナログで、デザイナー時代に愛用したコピックマーカーを用いる。自動車全般に膨大な知識を持つが、中でも大衆車、実用車、商用車を好み、フランス車には特に詳しい。
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