ロータスのエレトレ、エヴァイヤに続く新生ロータスの第3弾が4ドアGTのエメヤだ。最上位グレードには、最大出力918psというハイパワーのデュアルモーターを搭載。ここでは、エメヤの気になるファーストインプレッションを早速お届けしよう。
乗り心地や静粛性も最上級の仕上がりだ!
スロットルペダルをひとたび踏み込めば背中がのけぞるほど強烈な加速Gが全身に襲いかかり、ステアリングをかすかに切り始めた瞬間、ノーズの向きが急激に変わってすさまじいヨーモーメントが立ち上がった……。
まるでスーパースポーツカーのような出で立ちをしたロータス・エメヤの姿を見て、そんな第一印象を抱いたと想像された方もいるだろう。けれども、現実は正反対。高性能版のエメヤRであれば最高出力は918psにもなるが、それでもドライバーが意図していない過剰なダッシュ力を示すことは皆無。おとなしく走りたいと思ってスロットルペダルを踏み込めばすっと流れるように発進するし、素早く追い越したいと思って右足に力を込めれば、0→100km/h加速2.8秒のタイムに見合った俊敏さで速度を積み重ねていく。
しかも、もしもアウトバーンの速度無制限区間(今回の試乗コースには、これが実に多く設定されていた)でスロットルペダルを踏み続ければ、まるでストレスを感じさせないまま200km/hに到達。さらにその状態を維持すれば、易々と最高速度の256km/hに達したのである。これは別途試乗した最高出力612psのエメヤSでも同様で、こちらは何の苦もなく最高速度の250km/hをマークしてみせた。しかも、その際の高速直進性は素晴らしく、乗り心地や静粛性も最上級の仕上がり。エメヤが掲げる“ハイパーGT”というキャッチフレーズはやや大げさだけれど、最新4ドアGTとして文句なしのパフォーマンスと快適性を備えているのは間違いない。
ハンドリングも見事な仕上がりだった。エメヤSでオーストリアのワインディングロードを走ると、減速時には穏やかなノーズダイブを起こして前輪の接地性をしっかり確保。そこからステアリングを切り込めば、ほとんどロールすることなく、実にスムーズなターンインを示してくれる。しかも、その際のレスポンスは、過敏でもなければ遅すぎることもなく、まさにドライバーが狙ったとおりの反応。おまけにロードホールディング性が良好で安心感の強いコーナリングが楽しめる。文字どおり、人馬一体の感触である。
ジーリーに買収されたロータスが「完全EVメーカーを目指す」と宣言したとき、私は落胆し、失望した。ロータス特有の軽快なハンドリングをEVで実現できるとは、とても思えなかったからだ。「ジーリーはロータスの名を使ってEVを売ろうとしている」そんな疑念さえ抱いていた。しかし、今回エメヤに試乗して、その考えを改めた。
たしかに、エリーゼやエキシージとエメヤはまったく別のクルマだ。しかし、ドライバーの意思に正確に反応するという点において、これまでのロータスとエメヤは深い部分で結び着いているように感じられたからだ。
ご存知のとおり、CO2排出量に応じて重税が課せられるようになったヨーロッパでは、比較的廉価なホットハッチはすでに絶滅の危機に瀕している。ロータスも、これまでと同じようなクルマ作りをしていたら、早晩、立ちゆかなくなったはず。その意味でいえば、ロータスに新たな息吹をもたらしたジーリーは、コリン・チャップマンが生み出したブランドの救世主という見方もできるだろう。
Q.エメヤの充電が早いってホントですか?
A.ドイツの急速充電では30分間で50kWh以上の充電が可能でした。
【SPECIFICATION】ロータス エメヤR
■全長×全幅×全高=5139×2123×1459mm
■ホイールベース=3069mm
■車両重量=2590kg
■モーター形式/種類=-/交流同期電動機
■モーター最高出力=918ps(675kW)
■モーター最大トルク=985Nm(100.4kg-m)
■バッテリー種類=リチウムイオン電池
■バッテリー容量=102kWh
■バッテリー電圧=800V
■一充電航続可能距離(WLTP)=435km
■サスペンション形式=前後:マルチリンク/エア
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前:265/40R21、後;305/35R21
問い合わせ先=エルシーアイ 0120-371-2227