なんと30件以上もの土地に足を運んで見つけた理想の地で、インテリアまでこだわり抜いた家に住まう
1984年にデビューしたトヨタ ハイラックスサーフ。1983年にアメリカではいち早く「4ランナー」としてデビューしていたRVで、現在人気となっているSUVの元祖といえるモデルである。そんなアメリカンな黒いハイラックスサーフが停車しているのが、ご覧のこれまたアメリカンなガレージハウス。ガレージ内にはカワサキのW650にサーフボード。そんな素敵なガレージハウスを紹介させていただこう。
理想のガレージに合う土地探しからスタート
大学生の頃から憧れていたガレージハウスを手にしたのは、クラシック・フォルクスワーゲンやジュークボックスの販売業に携わるNさん。お子様が小学校に通う年齢になったことがきっかけでガレージハウスの建築に至ったのだが、その過程にはいろいろなストーリーがあったという。実は2012年に一度、ガレージハウスの相談でメーカーにアポイントを入れたのだが、なかなか条件のいい物件が見つからずに断念。しかしやはりガレージハウスへの夢が諦めきれず、2018年頃から再びネットで土地を検索する日々が始まったという。
気になった物件を見つけては、休日のたびに家族で土地を見に行く日々。勤務地と奥様の実家の位置関係から希望の地域は絞られていたほか、何より「ガレージハウスを建てたい」という条件により、40坪前後の土地がマスト。さらに周辺の環境をチェックし、1件1件メモを取りながら土地を探していった。その中で候補としていた土地がタイミングよく値下がりしたのを見つけて、直接交渉。すると希望の金額まで下がったことで、土地の購入を即決したのだそうだ。
上物は以前から気になっていた「マルナカホーム」の見学会に足を運び、理想とする家を予算内で建てることができないかとプランニングを重ね、2021年2月に念願のガレージハウスが竣工した。それまでに実際に足を運んだ土地は、なんと30件以上! 粘り強くいろいろな土地を探した結果、現在の約37坪の土地、しかも人気の神奈川県横浜市に出会えたのだという。最寄駅まではバスでのアクセスとなってしまうが、クルマで移動するにはインターが近くて便利な場所。クルマ、オートバイを所有するNさんにとっては最適な場所だった。
【写真24枚】ガレージのほか、BBQのできる広々バルコニーなどこだわり満載のN邸。
ただ広いだけではない、理想の「土地」とは?
土地を探すには、値段とともに駅までのアクセスなど利便性を特に意識してしまいがちだが、実は本当に重要なのは、周りの環境。近所に学校やスーパーがあるか? 近所には昼も夜も人が変わらず滞在しているか? など値段だけでは見えてこないことも少なくないため、昼と夜に候補地に足を運んで確認すべきところ。
造成地などの場合は、地盤も気になるところ。河川のそばだけれど地盤沈下などは大丈夫か? 地盤改良が必要なのか? または悪臭などはないのか? 値段を優先して実地のチェックをつい忘れてしまいがちなポイントは、プロに相談しながら実際に現地に足を運んで選べば後悔することはないだろう。
そして、Nさんがガレージハウスを建てる上で大切にしたのが、2012年に土地探しをスタートしたときから綴ってきた備忘録的なノートだ。見せていただくと、チェックした土地の印象や気になったこと、担当者からのアドバイスなどが、びっしり時系列で整理されている。中には、ビルドインガレージやラップサイディングにホワイトの窓枠、芝生が映えるリゾートガーデン、暖炉がある大きなリビングなど、アメリカンな家のスクラップが何枚も貼られている。この1冊のノートには、Nさんと奥さま、2人の新居に対する想いが、こと細かく書き込まれていた。
夢を描き続けた、1冊のノート。おかげで具現化できたガレージハウス
見学会でモデルルームを見たときに担当者と話したのは、やはりビルドインガレージのある戸建でサイディングの外観、カバードポーチがあって、芝が植えられた庭にはヤシの木がそびえ立っているリゾートのようなイメージ。
これらNさんの外観の希望に加え、奥さまのほうではキッチンやサニタリースペースなどの要望があったのだという。ビルドインとなる1階のガレージサイズは、建物面積の制限の中で最大限のサイズを設定。ガレージのサイズを確保しつつ、奥さまの洋室や子供部屋、主寝室の広さを取るために、なるべく共用部分を減らす工夫が施されたのが、1階のレイアウトだ。
ハイラックスサーフを入れるとガレージはクルマで埋まってしまうため、現在のガレージは、カワサキW650やクロスバイク、ヴィンテージステレオ、サーフィンの道具などを収納するスペースとなっている。仕事が休みの日に、お気に入りのLPレコードを聴きながらバイクを整備するのが、至福の時間だという。
2階のリビングには無垢材を採用しているが、床暖房も入っており、素足でも気持ちいい空間になっている。キッチンの壁面には淡いブルーのタイル、そしてカウンター下には革のような素材のブルークロスを貼るなど、色使いの統一感で飽きのこない空間を目指した。キッチンにはLIXIL製アレスタのシステムキッチンを選び、高さを調節するなどオーダーならではの細かな調整を施した。
広いリビングのTVボード側の壁面は石張りにし、遊び心あふれるアクセントをつけた。リビングから続くバルコニーは、なるべく大きなスペースにして、水場も設けることで、バーベキューもできる団らんの空間にできるよう仕上げたという。
ガレージハウスが竣工して約6か月が経過するいま、最近ではガレージ前のファサードに小さなドライガーデンを施工するなど、新たな楽しみを見つけているNさん。曰く「自宅ができてからはTVを見る機会が減り、家族での会話が増えました」とのこと。
将来はもう一度クラシックなフォルクスワーゲンを手に入れ、このガレージに納めることも視野に入れているそうだ。
◆Planning Data
竣 工:2021年2月
家 族:3人
敷地面積/ガレージ面積:125.153平米/15.11平米
構 造:木造軸組工法
外装仕上げ/内装仕上げ:ラップサイディング/クロス、一部石張り
愛 車:1986年式トヨタ・ハイラックスサーフ、2000年式カワサキ・W650
設 計:株式会社マルナカホーム
◆Owner’s Check
・ここがお気に入り
ガレージからシューズクローク、玄関を通って室内に入れることは、予想以上に便利でした。荷物の出し入れはもちろん、整備するときにシャッターを開けなくても往来ができるのがラクチンです。
・ちょっと失敗
省エネを考えてオール電化にしましたが、浴室乾燥機や床暖房の性能が、現状これまで(ガス)よりも劣ってしまいました。
・これからの夢
ガレージの壁面を上手にディスプレイすることと、ガレージの前に芝を植えて、フェンスを活かしたアメリカンなガーデンを整備したい。
・読者へのアドバイス
単なる車庫や物置きとならないよう、愛車だけでなくガレージもこまめにメンテナンス、整理・清掃を心掛けましょう。
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