ミシュランのスタッドレスであるX-ICE 3+の登場から3年。同社が満を持して投入する最新作が、このX-ICE SNOWだ。今回の試乗ステージは北海道の士別。その実力はすこぶる高かった!
凍結路にも積雪路にも強く公道での走りやすさも格別
今シーズン、ミシュランの新スタッドレスタイヤとなるX-ICE SNOW(以下スノー)が投入される。従来のX-ICE 3+(以下3+)は、凍結路の性能で高い評価を得ていた。その特徴を向上させながら、スノーというモデル名の通りに積雪路の性能も強化している。
技術的には、新コンパウンドのエバー・ウインター・グリップコンパウンドを採用。剛性の高いポリマーベースの材料を練り込むことで、凍結路や積雪路での高性能化を実現。一般的に、凍結路では減速時にABSが介入しがちになるが、スノーはタイヤがロックする寸前の状態をペダル操作で保ちやすいから、ABSの機能を保険として残しておける。ベースコンパウンドと配合物の摩耗差により生成されたトレッド面の微小な凹凸が、水膜を破り接地性が確保された効果といえる。
加速時も同様で、3+のようにアクセルを踏んでもいきなりトラクションコントロールが介入することがない。作動してもトルクの絞り込みはわずかで、スリップしてもその度合いが少ないということ。なおかつ、摩耗が進んでもトレッド面の凹凸が再生され続けて、性能が長く持続することもスノーの特徴だ。
積雪路では、定常円旋回でコーナリングの限界を試す機会があった。狙った走行ラインからアウト側にふくらみそうになるのに合わせ、ステアリングを切り足すことが可能なので安心感がある。さらに切り足すと横滑り防止装置が作動し少しイン側に巻き込むような挙動を示すものの、リアの追従性が高いので危なっかしい事態には至らない。トレッド面の凹凸により、雪をつかんで蹴り出す雪柱せん断効果が発揮されたからだ。
それだけに、スノーは公道での走りやすさが格別だ。積雪路でも信頼感につながる接地性が確かめられ、ステアリングやペダルの操作に対する応答性も正確だ。新開発となる2種類のサイプを採用し、深く刻まれた極細の溝が倒れこみを防ぎ雪にしっかり食らいつく実感もある。したがって、限界に至るまでの奥行きも見積もりやすい。スノーのこうした特徴は、新世代Vシェイプトレッドパターンも効果をもたらしている。しかも、見た目にデザインがスポーティなことも魅力だ。
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