【国内試乗】「シトロエン・ベルランゴ」新しいカタチの新しいミニバン

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遊びの幅を大きく広げるゆとりのラゲッジスペース、開口部が広くて乗り降りしやすく使い勝手の良いスライドドア、そして、シトロエン流に磨き上げられたドライビングプレジャー。デビューエディションは即完売という、ベルランゴの魅力とは?

人気なのにはワケがある

オンラインで行なわれた最初の予約注文が瞬く間の完売となり、続けて行なわれた追加分の予約もすぐに埋まってしまったという、話題のシトロエン・ベルランゴ・デビューエディションがついに上陸を果たした。沸騰する人気に応える仕上がりとなっているのか、早速チェック開始である。

PSAグループの新世代プラットフォームEMP2を採用し、軽快で力強いドライビングパフォーマンスを発揮する。アクティブセーフティブレーキやレーンキープアシストなど先進のドライビングパフォーマンス機能も充実。

2列のシートと広大な荷室を備えた背の高いミニバンもしくはMPV。しかもフランス産まれとなれば、当然視界に入ってくるのがルノー・カングーだ。しかしながら実際のベルランゴは、パッケージングも走りも装備も、間違いなくそれとは違った個性を持ったクルマとなっている。

シトロエンとしては初搭載となる最新世代の1.5Lクリーンディーゼルエンジン。エンジン特性を引き出す最新世代の8速ATと組み合わせられる。

まずサイズは全長4403mm×全幅1848mm×全高1844mmで、カングーと較べると全長が120mm長いなど全方位に大きい。しかもリアドアはスライドドア、テールゲートは跳ね上げ式と、言ってみればよりミニバン的。リアゲートはかなり低いところから開くので開口時にはスペースを取るが、ガラスハッチだけを独立して開けることも可能だ。リアシートは3席が独立したタイプ。つまり中央席もクッションとホールド性はしっかりしている。荷室容量は、これにトノカバーを付けた状態でもVDA数値で597L。背もたれが前倒しになるだけでなく同時に座面が沈み込むリアシートを全部倒せば2126Lに広がり、助手席背もたれを倒せば2.7mの長尺物も飲み込む。これで足りないという人は、そうはいないだろう。

運転席は見切りもよく取り回しもしやすい。リアシートは3座独立式を採用し、大人5人がくつろげるゆとりの空間を提供。室内にはルーフの大半をガラスとするパノラミックルーフと収納スペースを融合させた小物入れをはじめ合計28もの収納スペースを用意する。ルーフアーチ中央部には調整可能なムードライトを装備。

容量が大きいだけでなく、普段使いに重宝する収納が豊富に用意されているのも特徴。ルーフのフロント側、パノラミックルーフの中央を通るアーチの部分、荷室の天井の荷物スペースに、ドア内側やダッシュボードのポケット等々その数、実に28カ所。普段使いでも、あるいは遊びに出かけるのでも、大いに役立ってくれそうだ。
1.5Lクリーンディーゼルエンジンに8速ATを組み合わせたパワートレインもセールスポイントと言えるだろう。走らせると、やはり300Nmの最大トルクは強力で低回転域からグイグイ加速していく。人や荷物を満載していても、これなら困ることはない。

乗り心地も期待を裏切らない。柔らかく優しいタッチで路面を捉え、かつ姿勢は常にフラットというシトロエンらしい乗り味、しっかり味わうことができる。
一方、エンジンフィールや絶対的な車重、重心の高さなどもあって、それこそワインディングロードが待ち遠しくなるような、走りそのものを楽しむという感じのキャラクターではない。そのあたり、カングーと較べるとより同乗者やファミリーのことを考えた設定と言うこともできるかもしれない。

先進運転支援装備も充実している。完全停止機能付きのACC、歩行者も検知する緊急自動ブレーキ、レーンキープアシスト、ステアリング操作を自動で行なうパークアシスト……と、いま欲しい装備はひと通り揃うから、やはり誰かを乗せる機会が多い人、自分以外の家族も運転するという人も安心できるだろう。

これだけの内容で価格は325万円だから買い得感は高い。とは言え、デビューエディションはすでに売り切れ。それでも、今夏あたりからの設定となる見込みのカタログモデルだって、相当なバリューを期待して良さそうだ。

フォト=郡 大二郎/D.Kori ルボラン2020年4月号より転載

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嶋田智之
AUTHOR
2020/03/15 12:00

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