多彩なプログラムが用意された氷雪上試乗会
メディア向けのタイヤの試乗会は、新製品がリリースされる際に行われるのが一般的だ。しかし今回、横浜ゴムが同社の北海道・旭川にあるテストコース、TTCH(北海道タイヤテストセンター)で開催したのは「ウインタータイヤ勉強試乗会」というもので、単に新製品を試乗するだけではなく、冬用タイヤについて知識を深めるためのプログラムが用意されていた。
こちらは以前に参加した際にも「スタッドレスタイヤのコンパウンドを使ったスリックタイヤ試乗」や「スタッドレスタイヤのトレッドパターンだけつけたサマータイヤの試乗」など、非常に興味深いコンテンツが用意されていたこともあって、今回も楽しみにしていたイベントのひとつだ。
今回の内容としては
・テストコースに増設された新ハンドリング路の試乗
・オールシーズンタイヤとスタッドレスタイヤの比較
・アイスガード6の新品と経年劣化したものの比較
・スポーツカーに低偏平サイズのアイスガード6を装着して試乗
・バス・トラック用スタッドレスタイヤの紹介と同乗試乗
・全日本ラリー選手権に参戦しているラリーカーの同情試乗
といったメニューが用意されていた。
そのうち最も”楽しかった”のが「低扁平サイズのアイスガード6の試乗」だ。こちらはポルシェ718ケイマンに、フロント235/40R19 92Q、リヤ265/40R19 102Qサイズのアイスガード6を装着し、スラロームコースを試乗するもの。ケイマンといえばパワーほどそれほど高くないものの、ミッドシップレイアウトゆえ基本的に雪道は得意とするモデルではないが、それを敢えて走らせるということに意義があるのだろう。
はじめはESCをオンにしてスタート。発進はトラクションコントロールのおかげで、意外にもあっけなく走り出す。スラロームでも適正な速度で通過すれば、ハンドリングも良く気持ちいい走りが味わえた。徐々にオーバースピードにしていくと、若干挙動は乱れるものの修正も容易。雪上でも本来の素直なコーナリング性能を発揮してくれた。ブレーキングも安定していて、想像していた以上にしっかり停止してくれた。
その後、ESCをオフにしてみると、発進からして盛大なホイールスピンを披露。スラロームでは痛快のひと言で、多少腕があるドライバーレベルでも、ステアングとアクセル、ブレーキ操作でテールスライドをさせつつ、自在にコントロールすることができる。もちろん雪上は限界スピード域が低いから、さほど恐怖を感じることがないのも利点で、まさに「スポーツカーで雪遊び」的な走りを楽しむことができた。
一方最も”興味深かった”のが「アイスガード6の新品と経年劣化したものの比較」だ。これは2台のトヨタ・カローラスポーツに、アイスガード6の新品と4年経過後を想定した経年劣化品を装着し、ドーム内の氷盤路で制動距離を比較するもの。驚いたのは経年劣化したアイスガード6でも制動距離にほとんど変化が見られなかったことだ。これは「オレンジオイルS」と呼ばれるオレンジ由来の素材を使用していることの効果であろう。実際に4年経過した際には溝も減っているので、本来の使用状況とは異なる部分もあるが、走行距離が少なく長くスタッドレスを使いたいユーザーにとっては、安心できる結果といえるだろう。
そして最も”体験してみたかった”のは「オールシーズンタイヤとスタッドレスタイヤの比較」である。横浜ゴムでは2019年10月より、オールシーズンタイヤ「ブルーアース4S」の本格的な販売をスタートさせているが、これは欧州でのオールシーズンタイヤの需要増と、日本国内での評判も良好なことから販売に踏み切ったという。また一口にオールシーズンタイヤといっても、サマータイヤ寄りやウインタータイヤ寄りなど特性の違いがあるが、ブルーアース4Sに関しては「雪に強いオールシーズンタイヤ」というキャッチコピーの通り、雪上性能に重点を置いたオールシーズンタイヤとなっており、オールシーズンタイヤ特集でもリポートした通りだ。今回は2台のトヨタ プリウスに「ブルーアース4S」と「アイスガード6」を装着し、スラロームコースでハンドリングの違い、氷盤路で制動性能の違いをテストすることができた。
スラロームでは舵角を大きくしたり小さくしたりしてチェックしてみたが、小舵角であればブルーアース4Sでも十分なグリップがある。そこから大きく舵を当てると、アイスガード6は追従してくれるものの、ブルーアース4Sは若干アンダーステア気味に外に膨らむ傾向があった。とはいえ、一般的なドライバーが雪道を走行する速度レベルであれば、ほとんど差は感じられないであろう。意外だったのはブレーキングで、低速域からではあるものの、フルブレーキして停止するまでの距離は、ブルーアース4Sとアイスガード6はほぼ同じ。このあたりは「雪に強いオールシーズンタイヤ」の面目躍如といったところだろう。
とはいえ氷盤路での性能はやはり違いが出た。20km/h程度からブレーキしたのだが、アイスガード6が7m前後の距離で停止するのに対し、ブルーアース4Sは10mくらいまで伸びてしまう。これはオールシーズンタイヤとしてはある意味当然ともいえる結果だが、非降雪地帯で装着し凍結路面を走行する際には、細心の注意を払ってもらいたい。
その他にもトヨタRAV4での新ハンドリングコース試乗では、大小のコーナーでのグリップやギャップを通過する際の挙動といった、実際にテストドライバーがどんなところをチェックしているのかを知ることができたり、バス・トラック用のスタッドレスタイヤの紹介では、トレーラーヘッドに同乗していつもと違う景色を楽しめたり、ラリーカーの同乗走行では奴田原選手の素晴らしい車両コントロール技術を体験できたりと、盛りだくさんだった今回のウインタータイヤ勉強試乗会。来期はどんなプログラムが用意されることになるのか、いまから楽しみだ。
取材協力
横浜ゴム https://www.y-yokohama.com/product/tire/
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