エントリーは2月15日にメキシコシティで行われる第3戦から
かつてスーパーバイク世界選手権やロードレース世界選手権(モトGP)を戦った青木拓磨選手が、「ジャガーIペイス eトロフィー」シリーズの「チーム・ヨコハマ・チャレンジ」からドライバーとして参戦する。エントリーは2月15日(現地時刻)にメキシコシティで行なわれる第3戦からの予定だ。青木選手は、車いすレーサーとして初めて電気自動車による国際レースシリーズ参戦を果たし、歴史にその名を刻むことになる。
青木選手は、モトGPの500ccクラスにホンダから参戦して総合5位を獲得した翌年の1998年、事故によって下半身不随となった。しかし、それ以降もモータースポーツに携わり続け、2009年のダカールラリーと2016年のアジアクロスカントリーラリーに専用車両で参戦。4輪の舞台で成功を収めている。
2019年には、ル・マン24時間のサポートパッケージの一部であるロード・トゥ・ル・マン大会でSRT41によるミシュラン・ル・マンカップ-LMP3部門とラ・フィリエール・フレデリック・ソーセットに出場している。
今回の初参戦にあたり、青木選手は専用設計の「ジャガーIペイス eトロフィー」をドライブ。グイドシンプレックス社製のレバーアクチュエーターは、ジャガー・ランドローバーのスペシャルビークルオペレーションズ(SVO)、M-スポーツ社、青木選手のレースエンジニアリングチームによって設計・開発された特注ブラケットと改造により、ステアリングコラムマウントに取り付けられた。
また、電子スロットル制御を活用するためレバーベースのブレーキ作動を変更。スロットルから特注の「プル型」作動の効率を高めるため、ペダルボックスの位置を変更した。既存ペダルのケーブルを利用することで「ジャガーIペイス eトロフィー」専用マシン仕様への変更を容易にした独自設計になっている。
青木拓磨選手は、今回の参戦にあたって以下のようにコメントしている。
「私にとって初の電気自動車レース参戦となる今回、『チーム・ヨコハマ・チャレンジ』のメンバーとして『ジャガーIペイス eトロフィー』シリーズに参加できることを非常に嬉しく思います。人生においては誰もが挑戦者であり、私の人生はこれからだということを改めて証明することができます。たとえ下半身不随であっても、自分の夢に挑戦することができるのです。ジャガーレーシングのエンジニアリングチーム、グイドシンプレックス社、M-スポーツ社が車両を特別な仕様にするために熱心に取り組んでくれたことを心から感謝したいと思います。経験豊富なレーサーとメキシコシティで競い合うのが待ち遠しいです」
チャンピオンシップ・マネージャー、マーク・ターナーはこうコメント。
「青木選手をシリーズに迎えることができ非常に嬉しく思います。これまでのキャリアを通じて、彼は見事な回復と、素晴らしいレースパフォーマンスを見せてきました。電気自動車のレースでも魅了してくれるに違いありません」
一方、マシンのエンジニアリングマネージャーであるアダム・ジョーンズのコメントはこうだ。
「『ジャガーIペイス eトロフィー』を手のみで操縦できる仕様に変更するのは、SVOにとって大変ワクワクするチャレンジでした。青木選手のレースチームやM-スポーツ社と連携し、eトロフィー・レースシリーズで戦えるマシンを開発しました。この素晴らしいコラボレーションによる成果は、『ジャガーIペイス eトロフィー』の先進的かつ革新的なエンジニアリングを体現していると自負しています」
2019年11月にサウジアラビアのディルイーヤで2戦連続でレースが開催され、サイモン・エバンスとセルジオ・ヒメネスが勝利して華々しく幕を開けた「ジャガーIペイス eトロフィー」は、ABB FIAフォーミュラE選手権の公式サポートレースとして、2月15日(土)14:00(現地時間)にメキシコシティで第3戦が開催される。
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