「アルファ・ロメオ・ティーポ33/2ストラダーレ」はコンペティツィオーネに最も近いストラダーレ【世界の傑作車スケルトン図解】#15-2

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あくまでレースを意識したストラダーレ(ロードカー)

アルファ・ロメオの最新スポーツカー「4C」のモチーフとなったことでも知られる「ティーポ33/2ストラダーレ」は、ストラダーレ=ロードカーを名乗りつつも、その内容は限りなく純粋なコンペティツィオーネ=レーシングカーに近いものだった。この時代のスポーツカー耐久レースにおいてタイトルの対象となると見込まれていたFIA「グループ5」規約が要求する25台の生産条件を満たすべく企画されたモデルである。

フランコ・スカリオーネがデザインを手がけ、マラッツィが架装したボディは、今なお自動車史上最も美しいスポーツカーのひとつと称される。写真は、開発段階に試作されたプロトタイプ。

シャシーは、すでにFIAグループ6プロトタイプ規約のもと耐久レースで大活躍していた「33/2デイトナ」用フレームを100mm延長して転用。燃料タンク一体式の軽合金製メインフレームに、マグネシウム合金製のサブフレームを組み合わせた極めて特異な構造も、そのままに残されていた。

ボディの低さで乗降性に支障をきたさないよう、ドアはルーフ側にもヒンジを持つシザーズタイプとされた。

一方、総アルミ製のボディは、かつてアルファ・ロメオ・ジュリエッタスプリントやSSを手掛けた鬼才フランコ・スカリオーネがデザインを担当。カロッツェリア・マラッツィ社が架装したグラマラスかつスタイリッシュなボディは、上方がルーフまで回り込んだシザーズタイプのドアが最大の特徴と言える。

リアフェンダーのエアアウトレットは、生産型ではワンピース型となった。

エンジンは、アルファ・ロメオのレーシングチーム「アウトデルタ」主宰のカルロ・キティ博士が設計した33/2レースモデル用の1995cc V8をディチューン。スピカ社製インジェクションとともに230psを発生し、ヴァレリオ・コロッティ製6速MTとの組み合わせで、最高速度260km/hというレーシングカーさながらの高性能を発揮することになった。

前後カウルを開くと、その中身がレーシングモデルの33/2に近いことが良く分かる。ストラダーレを名乗りつつ、実はレースを意識した作りだったのだ。

1967年秋のトリノ・ショーにて 発表され、翌年から少量市販に移された33/2ストラダーレは、先行試作されたプロトティーポに比べて、4灯のヘッドライトが2灯に変更されるなどのモディファイを受けていた。

33/2ストラダーレのベースとなった33/2デイトナ。その愛称は、1968年のデイトナ24時間レースにて総合5-6-7位およびクラス優勝を獲得したことに由来する。

また、当初アルファ・ロメオ側では、安全ガラス製ウインドシールドを装着するほか、同じくガラス製の昇降式サイドウインドー、若干豪華な内装が与えられたツーリング版の「バージョンA」と、レース参戦を期した「バージョンB」の2本立てを予定としており、その展開は生産型でも残されたが、外見上の違いはボディサイドのモールの有無、あるいはサイドウインドー程度のものだった。 いずれにせよ、バージョンAでさえ33/2ストラダーレは同時代のレーシングプロトタイプに近いモンスターで、一般の顧客には少々スパルタンに過ぎたようだ。そのため製作台数は当時のFIAグループ5が求める最低生産台数25台どころか、20台にも満たない(諸説あるが18台説が濃厚)、ごく少数に終わってしまったのである。

 

解説:武田公実

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