500箱ぶんもの未公開映像をもとに構成
スティーヴ・マックィーンが、事実上、製作/脚本/監督/主演の4役を自身でこなして生涯の夢を実現させたカーレース映画『栄光のル・マン』。1971年に公開されたその大作の制作過程を丹念に描いたドキュメンタリー映画『スティーヴ・マックィーン その男とル・マン』が公開中だ。
90台のパナビジョン・カメラを持ち込み、30台近くのレースカーと10人以上の有名プロレーサーが参加して撮影されたレースシーンは凄まじいまでの迫力と臨場感で、いまなおカーレース映画の最高峰のひとつに数えられている。しかし、商業的には惨敗を喫してしまったのはご存じの通り。日本では、その年の洋画配給収入第3位を記録する大ヒットとなり、数年後にはリバイバル公開が行なわれるほどの人気を博したが、最終的にはマックィーン自身の制作プロダクションが解散へと追い込まれてしまったほどのダメージを負った作品でもある。
プライベートでもレースに参戦するほどの熱狂的なレース好きだったマックィーンがドキュメンタリーに近い描写を目指すあまり、ドラマ要素を嫌ってジョン・スタージェス監督と対立し、リー・H・カッツィン監督への交代劇を招いてしまい、さらには大幅な予算超過、制作の遅れからプロデュース権を剥奪されるなど、過剰なまでの思い入れからトラブルが多発したという『栄光の・ルマン』。この超大作の背景と顛末を、マックィーン自身のボイスレコーディングが入った500箱ぶんもの未使用映像、そして当時の関係者の証言をもとに描き出したのが本作だ。
『スティーヴ・マックィーン その男とル・マン』は新宿シネマカリテにて6月上旬まで、また、全国でも順次公開される予定。マックィーンがすべてを賭して完成させた『栄光のル・マン』の知られざる真実を、ぜひお見逃しなく。
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