マツダの新フラッグシップSUV「CX-80」がついに公道デビュー。今回は徳島〜神戸で試乗会が開催され、高速道路やワインディング路、都市部の市街地など、さまざまなシチュエーションで走行を行なった。国内ラージ商品群の第2 弾となるCX-80 の仕上がりはいかに?
XDは課題が少なくないが潜在能力の高さが明らかだ
CX-80は、FRをベースとするプラットフォームと3.3L直列6気筒ディーゼルターボを新開発したマツダのラージ商品群の第2弾(日本市場)として投入された。このパッケージだけでも、走りに対する期待が高まるというもの。
実際に、48Vマイルドハイブリッドを組み合わせたXDハイブリッドはエンジンの吹け上がり感やサウンドの演出に直列6気筒ならではの洗練度が確かめられる。エンジンに起因する振動を意識することがなく、アクセルを踏み込むと中回転域からサウンドの鼓動感の密度が増し連続感に変わりパワフルさを際立たせてくれる。
発進や中間加速では、アクセルを踏み始めた瞬間にモーターがアシスト。応答性が向上し余計なトルク変動を抑えることで、滑らかな加速に入る。ラージ商品群で先行したCX-60で感じた、低速域の加減速における駆動系のギクシャク感も改善されていた。
気になるのは、プラットフォームを新開発している割にはボディの剛性感が最高レベルには達していないこと。荒れた路面通過時にフロアに振動が残るとかコーナー進入時にフロントに対してリアの追従が遅れるといった、問題があるわけではない。特定はできないが、室内全体に伝わるそれこそ空気感がスッキリしていないのだ。
こうしたスッキリしていない印象は、操縦安定性からも確かめられる。路面の継ぎ目などの少なめな入力に対して、微かながら縦横斜めに揺れる感じがする。高速道路の緩いコーナー通過時には、ステアリングに与える舵角を一定に保ちたくても路面からの入力で微小な修正が必要となることがある。
試乗後に開発スタッフに尋ねたところ、乗り心地の快適さを重視しすぎたことが影響している可能性があるとのこと。なるほど、サスペンションの設定は柔らかめに感じるがダンパーが動き始める瞬間の減衰力の立ち上げ方などに課題がありそうだ。
2.5L直列4気筒にモーターを組み合わせ外部電力による充電が可能なPHEVは、XDよりも走りがスッキリしている。床にバッテリーを敷き詰めていることの効果なのか、剛性感も高いように思える。さらに、低重心化によりバネ上のムダな動きが抑えられていることも好印象に結びつく。
サスペンションの設定もやや引き締まり、中速コーナー通過時にXDで感じた最新のモデルとしては稀なボディのロールも気にならない。それでいて、乗り心地が損なわれた印象とは無縁でいられる。
バッテリーの充電量が十分ならエンジンは脇役に徹し、多くの場面でモーターが主役となる。十分な力強さを発揮し、チャージモードを選択すれば1時間ほど走るだけでエンジンにより実用レベルまで充電量が復帰。急速充電にも対応しており、ロングランでもモーターが活躍する場面は多くなる。
パッケージからして、CX-80の潜在能力が高いことは明らか。継続的な進化を繰り返すマツダは、必ずそれを引き出すはずだ。
【Specification】マツダCX-80 XD ハイブリッド・エクスクルーシブモダン
■車両本体価格(税込)=5,967,500円
■全長×全幅×全高=4990×1890×1710mm
■ホイールベース=3120mm
■トレッド=前:1640、後:1645mm
■車両重量=2090kg
■エンジン型式/種類=T3-VPTS/直6DOHC24V+ディーゼルターボ
■内径×行程=86.0×94.2mm
■総排気量=3283cc
■最高出力=254ps(187kW)/3750rpm
■最大トルク=550Nm(56.1kg-m) /1500ー2400rpm
■モーター形式/種類=MR/永久磁石式同期電動機
■モーター最高出力=16.3ps(12kW)/900rpm
■モーター最大トルク=153Nm(15.6kg-m)/200rpm
■燃料タンク容量=74L(軽油)
■燃費(WLTC)=19.2km/L
■トランスミッション形式=8速AT
■サスペンション形式=前:Wウイッシュボーン/コイル、後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ=前後:235/50R20
問い合わせ先=マツダ TEL0120-386-919
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