プレミアム感とスポーティさを兼ね備えたワゴンモデルのBMW3シリーズ・ツーリングと5シリーズ・ツーリング。ここでは、広い荷室と快適な走行性能で、ファミリーにもビジネスにも最適なBMWツーリングを徹底検証する。
5シリーズ・ツーリングはBMWツーリングの最高峰
もともとBMWのツーリングは、“マルニ”の名で親しまれている02シリーズに、1970年代初めに設定された3ドアハッチバックに与えられた名前だった。現在のようにステーションワゴンを意味するようになったのは、1987年、E30型と呼ばれる2代目3シリーズにワゴンボディが追加されたときからで、さらに、1991年にはE34型の3代目5シリーズにもツーリングが加わり、その伝統がいまに受け継がれているというわけだ。
そんなツーリングの最新モデルが、2024年夏に日本に上陸したBMW5シリーズ・ツーリングである。8代目5シリーズに設定されるG61型の5シリーズ・ツーリングは、アッパーミドルセグメントにふさわしい余裕あるサイズのボディに、最先端のドライバーアシスタンスシステムや、最新のパワートレインを搭載する、まさにBMWツーリングの最高峰だ。
モデルチェンジにともない全長は先代に比べて85mm伸ばされ、ついに5m超えの5060mmに達し、大きなキドニーグリルとあいまって、その見た目には圧倒されるばかりである。
新型の見どころはいくつもあるが、なかでも注目したいのが、エンジン車に加えて、BEV(電気自動車)版のi5ツーリングが用意されることだ。ここ日本でも2種類の仕様が設定され、後輪駆動のeDrive40と4WDのM60xDriveを選ぶことができる。一方、エンジン車としてはクリーンディーゼルエンジンに48Vマイルドハイブリッドシステムを組み合わせた523d xDriveを用意。
これらの中から今回は、i5ツーリングM60xDriveと523dツーリングxDriveMスポーツをテストの舞台に引っ張り出すことにした。
荷室の広さが自慢のツーリングということで、さっそく523dツーリングのテールゲートを開けて中を覗き込むと、5mを超える全長の持ち主だけに、後席を畳まない状態でも広々とした空間が広がる。奥行きは106㎝に及び、3分割式の後席を倒せば2m近くまで拡大される頼もしさだ。
驚いたのはi5ツーリングのラゲッジルームで、523dツーリングと同じスペースが確保されているのだ。前後アクスル間の床下にバッテリーを収納することで、エンジン車同様、広いスペースが活用できるのはうれしい。
それと引き換えに、i5ツーリングの後席に座ると、少しフロアが高く、そのぶん座面までが低いことに気づくが、もともと足元には広いスペースが確保されているだけに、目くじらを立てるほどではない。
2台の走りは、いずれも余裕あるパワーと、このサイズにもかかわらず軽快さが感じられる走りにより、5シリーズ・ツーリングの楽しさを印象づける。523dツーリングの2.ディーゼルは、400Nmの最大トルクに、マイルドハイブリッドによるモーターアシストが加わることで力強い加速が味わえるし、最大トルク795Nmのi5 M60ツーリングは異次元の速さと、高い静粛性のおかげで、新しい時代の駆けぬける歓びが楽しめる。それだけに、EVを受け入れるのに抵抗がない人には、迷わずi5ツーリングを勧めたい。
3シリーズ・ツーリングは効率的なパッケージング
3シリーズ・ツーリングの全長は4720mmで、5シリーズ・ツーリングに対して340mm短い。しかし、その差から想像するほどラゲッジルームは狭くない。実際、3シリーズ・ツーリングの場合、荷室の奥行きは100㎝で、5シリーズ・ツーリングより6㎝短いだけなのだ。
一方、荷室の幅は、5シリーズ・ツーリングがタイヤハウスの張り出しがないのに対して、3シリーズ・ツーリングでは出っ張りがあるぶん狭いのも事実。後席は、ヘッドルーム、ニールームともに5シリーズ・ツーリングのほうが広いが、3シリーズ・ツーリングでも十分に余裕があり、効率的なパッケージングを実現しているのは見事だ。
今回試乗した320d xDriveツーリングにも2.ディーゼルが搭載され、523dツーリングとほぼ同じスペックを誇る。523dツーリングのほうが静粛性が高く、また、マイルドハイブリッドのモーターアシストのおかげで低回転でのピックアップに優れるが、加速の力強さには遜色がない。コンパクトな320dツーリングだけに、走りはよりスポーティで、それを重視する人にとっては魅力的な選択肢だろう。
最大のライバルと比較検証! アッパーミドルワゴンの最良な選択は?
さらに新型5シリーズ・ツーリングの実力を検証するべく、メルセデス・ベンツEクラス・ステーションワゴンとの比較試乗も敢行。果たして永遠のライバルとの直接比較はいかに!?
常にライバル関係にあるメルセデスのEクラス
5シリーズ・ツーリングと並んで、魅力的なアッパーミドルセグメントのワゴンとして常にライバル関係にあるのが、メルセデス・ベンツのEクラス・ステーションワゴンだ。その歴史は5シリーズ・ツーリングよりも古く、Eクラスの前身である123シリーズの時代にS123と呼ばれるステーションワゴンが登場。モデルサイクルの途中でEクラスに改称した124シリーズのS124は、デビューから40年近く経ったいまでも色あせない魅力を放つ。
最新の214シリーズはEクラスとしては6代目にあたり、セダンのW214とともに、ステーションワゴンのS214が登場。導入当初は2.直列4気筒ガソリンターボを積むE200ステーションワゴン・アバンギャルドと、2.ディーゼルターボのE220dステーションワゴン・アバンギャルドの2グレードだったが、その後、クロスオーバーのE220d4マチック・オールテレインと、E300ステーションワゴン・エクスクルーシブが追加された。
今回、5シリーズ・ツーリングと比較するのはE300ステーションワゴン・エクスクルーシブで、エンジンは排気量こそE200と同じ2Lだが、最高出力258ps、最大トルク400Nmとより高性能な仕様にアップグレードされる。さらに、連続可変ダンピングシステムとエアサスペンションを組み合わせたAIRMATICサスペンションを標準装着するなど、Eクラス・ステーションワゴンの上級グレードにふさわしい装備を手に入れている。そのうえ、Eクラス・ステーションワゴンのなかでは唯一、ボンネットにスリーポインテッドスターのマスコットを備えるスタイルを採用するのも特徴のひとつで、これを理由にエクスクルーシブを選ぶという人は案外多いのではないだろうか。
さて、Eクラス・ステーションワゴンの全長は4960mmで、5シリーズ・ツーリングに比べて100mm短い。そのぶん、ラゲッジルームが狭いと思いきや実はその逆で、5シリーズ・ツーリングの荷室容量がVDA値で570〜1710Lであるのに対して、Eクラス・ステーションワゴンは615〜1830Lとそれを上回るのだ。実際に荷室の寸法を計測してみても、後席を畳まない状態の奥行きは5シリーズ・ツーリングの106㎝に対して、Eクラス・ステーションワゴンは113㎝とより長い。一方、後席のスペースはヘッドルーム、ニールームともにほぼ互角の広さで、アッパーミドルセグメントにふさわしい余裕を誇っており、Eクラス・ステーションワゴンの巧妙なパッケージングには驚くばかりだ。
コクピットは、それぞれのブランドの最新スタイルを反映。5シリーズ・ツーリングが2つの大型ディスプレイを並べたBMWカーブド・ディスプレイを採用する一方、Eクラス・ステーションワゴンにはガラスでダッシュボード全体が覆われるMBUXスーパースクリーンのオプションが選択されている。見た目のインパクトはMBUXスーパースクリーンに軍配が上がるが、ドライバーオリエンテッドなデザインにより適度にタイトな5シリーズ・ツーリングのスタイルも捨てがたい。
523dツーリングは軽快なハンドリングを発揮
エンジンは、523dツーリングが2Lディーゼルターボ、E300ステーションワゴンが2Lガソリンターボで、そもそも性格が異なるが、ともに最大トルクは400Nmと強力であり、いずれもマイルドハイブリッドのモーターアシストにより低回転から優れたレスポンスを示すのが、運転のしやすさにつながっている。エンジンを回して楽しいのはE300ステーションワゴンで、一方、523dツーリングは低回転のトルクの太さにより、ゆったりと運転を楽しみたい人向けといえる。
走りの印象は、AIRMATICサスペンションを標準装着するE300ステーションワゴンが落ち着きのある動きと、快適な乗り心地を両立。Eクラス・ステーションワゴンのなかではベストといえる仕上がりだ。一方、オプションのアダプティブ・サスペンションが装着される523dツーリングも乗り心地、安定感ともにE300ステーションワゴンと甲乙付けがたい出来で、そのうえ523dツーリングはやはりオプションの4輪操舵のおかげもあり、コーナリング時には高い接地感と軽快なハンドリングを発揮。より運転が楽しいのがBMWらしいところで、ドライブ=ツーリング好きにはたまらない性格の持ち主なのだ。
全モデルのパッケージング比較/リアシート&ラゲッジルームのサイズ一覧表
BMW 3SERIES TOURING(全長×全幅×全高=4720×1825×1455mm)
BMW 5SERIES TOURING(全長×全幅×全高=5060×1900×1515mm)
BMW i5 TOURING(全長×全幅×全高=5060×1900×1505mm)
MERCEDES-BENZ E-CLASS STATIONWAGON(全長×全幅×全高=4960×1880×1480mm)
【DEBUT!】BMW M5 TOURING/727psのハイパフォーマンスワゴンが登場!
新型M5セダンに続き、パフォーマンスと実用性を融合させた高性能スポーツワゴン「M5ツーリング(G99)」が登場。全長5096mm、全幅1970mm、全高1516mmのボディは、全長と全幅はM5セダンと同じだが、全高が6mmだけ高い。 4.4L・V8ツインターボエンジン+モーターを搭載し、システム合計で最高出力727ps、最大トルクは1000Nmを発揮。0→100km/h加速は3.6秒をマーク。ラゲッジルームは5シリーズ・ツーリングよりも若干少なく500〜1630Lを確保。11月から各市場に導入予定だ。
【SPECIFICATION】BMW 523d xDrive TOURING M SPORT
■車両本体価格(税込)=9,600,000円
■全長×全幅×全高=5060×1900×1515mm
■ホイールベース=2995mm
■車両重量=1940kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ディーゼルターボ/1995cc
■最高出力=197ps(145kW)/4000rpm
■最大トルク=400Nm(40.8kg-m)/1500-2750rpm
■モーター最高出力=5ps(7kW)/6000rpm
■モーター最大トルク=25Nm(2.5kg-m)/500rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション=前:Wウイッシュボーン、後:マルチリンク
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤサイズ=前:245/45R19、後:245/45R20
【SPECIFICATION】BMW i5 M60 xDrive TOURING
■車両本体価格(税込)=16,000,000円
■全長×全幅×全高=5060×1900×1505mm
■ホイールベース=2995mm
■車両重量=2410kg
■モーター最高出力=前:261ps(192kW)/8000rpm、後:340ps(250kW)/8000rpm
■モーター最大トルク=前:365Nm(37.2kg-m)/0-5000rpm、後:430Nm(43.8kg-m)/0-5000rpm
■総電力量=83.9kWh
■航続距離(WLTC)=500km
■サスペンション=前:Wウイッシュボーン、後:マルチリンク
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤサイズ=前:245/40R20、後:275/35R20
【SPECIFICATION】BMW 320d xDrive TOURING M SPORT
■車両本体価格(税込)=7,640,000円
■全長×全幅×全高=4720×1825×1455mm
■ホイールベース=2850mm
■車両重量=1740kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ディーゼルターボ/1995cc
■最高出力=190ps(140kW)/4000rpm
■最大トルク=400Nm(40.8kg-m)/1500-2750rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション=前:ストラット、後:マルチリンク
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤサイズ=前後:255/40R18
問い合わせ先=BMWジャパン 0120-269-437
【SPECIFICATION】MERCEDES-BENZ E300 STATIONWAGON EXCLUSIVE
■車両本体価格(税込)=11,390,000円
■全長×全幅×全高=4960×1880×1480mm
■ホイールベース=2960mm
■車両重量=1950kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ターボ/1997cc
■最高出力=258ps(190kW)/5800rpm
■最大トルク=400Nm(40.8kg-m)/2000-3200rpm
■モーター最高出力=23ps(17kW)/1500-3000rpm
■モーター最大トルク=205Nm(20.9kg-m)/0-750rpm
■トランスミッション=9速AT
■サスペンション=前:4リンク、後:マルチリンク
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤサイズ=前後:225/55R18
問い合わせ先=メルセデス・ベンツ日本 TEL0120-190-610
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