新型M5ツーリングは、レースで培った性能とワゴンならではの高いユーティリティを兼ね備えるモデル。過去には、E61型にM5ツーリングが存在したが、しばらくその系譜は途絶えていた。
高性能ワゴン好きにはとても嬉しいニュース
8月15日、BMWは米国カリフォルニア州モンテレーで開催されたモンテレー・カー・ウィーク2024において、新型M5ツーリングをワールドプレミアした。
7月にグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでお披露目されたセダンに続いて登場したツーリング・バージョンは、2005年7月.2010年9月に生産されたE61のM5ツーリング以来、約14年ぶりの復活となる。高性能ステーションワゴン好きにとっては、とても嬉しいニュースだ。
「G91」の開発コードを持つ新型は、M5ツーリングとしては3代目。全長5096mm、全幅1970mm、全高1516mmのボディは、全長と全幅は新型M 5セダンと同じだが、全高が6mmだけ高い。3006mmのホイールベースと前1684mm/後1660mmのトレッドは共通だ。
エクステリアは、大きなエアインテークグリルを備えたフロントバンパーや、特徴的なMキドニーグリル、大胆に広げられたワイドフェンダー、力強いショルダーライン、ソリッドブラックのルーフ、特徴的なルーフスポイラー、左右2本出しのツインテールパイプ、ディフューザー形状のリアバンパーなどが、トップパフォーマンスモデルに相応しい獰猛でダイナミックなイメージを際立たせている。
パワーユニットは、先に発表されたM5セダンと同じく、585ps/750Nmを絞り出す4.4L・V8ツインターボに、ドライブロジックを備えた8速Mステップトロニックと197ps/280Nmを発揮する電気モーターを組み合わせた「Mハイブリッドシステム」を搭載。M5ツーリングは、システム合計で最高出力が727ps、最大トルクは1000Nmという超高性能を実現した、ハイパフォーマンスPHEVだ。
インパネにはMレザーステアリングホイールや、メリノレザーのMマルチファンクションシート、M専用表示のBMWカーブドディスプレイ、BMWヘッドアップディスプレイなどを装備。「M5」ロゴ入りサイドシルプレートも装着。
そのパフォーマンスは、0→100km/h加速が3.6秒、最高速度は250km/hでリミッターが作動するが、オプションのMドライバーズパッケージを選択すれば305km/hに引き上げられる。車両重量が2475kgと、セダンよりさらに40kg重いため、加速性能はセダン(0→100km/h加速3.5秒)に若干負けるが、猛烈に速いことに違いはない。リチウムイオンバッテリーはグロスで22.1kWh、ネットで18.6kWhの容量を持ち、WLTPモードで最大67km、最高140km/hのEV走行も可能だ。
シャシーにはセダンと同様に、電子制御4WDのM xDriveやアクティブMディファレンシャル、アダプティブMサスペンション、4輪操舵システムのインテグラル・アクティブ・ステアリングなど、最先端のメカニズムが惜しげもなく組み込まれている。
新型M5セダンのプロトタイプや新型i5ツーリングなどを試乗した筆者としては、新型M5ツーリングは抜群のGT性能を備えた快速ワゴンに仕上がっていると想像する。11月から各市場に導入される予定だが、日本上陸は年明けとなる予定。