2023年11月のミュンヘンでのスニークプレビューから約9カ月、遂にアウディQ6 e-tronをスペインで試乗。全方位的に完成度は高く、アウディ快進撃の狼煙が上げられた!
完成度は高く日本への導入も期待が高まる
今回、スペインで試乗したアウディQ6 e-tronは、現在日本市場に導入されているアウディQ4 e-tronとQ8 e-tronの間に位置するモデルで、ベースとなるプラットフォームはVWグループ内で使用されているPPE(プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)である。すなわち先に発売されたBEVポルシェ・マカンと共通である。ゆえにボディサイズもほぼ同等だが、マカンがスポーティなクーペ風のルーフラインを持つ一方、Q6 e-tronは実用的なファミリーユースのSUVを狙っている。よって車高は約6cm高く、また後述するようにリアコンパートメントが広く、十分なラゲッジ容量も確保されている。
またエクステリアデザインは、もちろんアウディが誇るシングルフレームグリルをフロントに構えているが、これまでとは異なりグリル上縁がフォーリングスを擁するプレート状になり、その両側左右に、デイドライビングライト、ヘッドライトが上下に分割されている。そしてブラックアウトされたエアインテークがグリル周辺にレイアウトされている。このようなデザインの方向性は、既にBMW i7やXMで見受けられ、威圧的で個人的には賛同できない。ひょっとすると、これまでのチーフデザイナーであったマーク・リヒテが今年春にアウディを去ったのは、こうした独創性の欠如が原因だったのかも知れない。一方、インテリアはようやく今日のスタンダードに追いついたものでドライバーの正面には11.5インチのOLED、助手席側には10.5インチの専用モニターが用意された。
キャビンは前・後席ともに十分な広さで、特にリア空間は前述したようにスポーティなマカンよりは明らかにルーミーで大人3人が問題なく着座することができる。大人2人子供2~3人のロングドライブはもちろん、引っ越しの手伝いでも役に立つかもしれない。
パワートレインは前後アクスルに搭載された電気モーターがシステム総合出力387ps(285kW)、最大トルクは855Nmを発揮。空車重量2.4トンのボディをスタートから時速100kmまで5.9秒で加速させ、最高速度は210km/hに達する。実際に走り出してもBEV特有の鋭い加速Gが感じられ、アウトピスタへの侵入は容易いどころかおよそ120km/hで走っている前車が迫って来るほどである。新たなキャリブレーションが与えられたアダプティブダンパーはコンフォートからスポーツまでの領域が広がり、クルージング時の快適性が明らかに増すと同時に、カントリーロードでのアクティブなドライブも楽しめるようになった。そしてこれを助けてくれるのがステアリングシステムでアウディ独特のセンター位置からの切り込みも軽く、しかもしっかりとした路面情報をプログレッシブに伝えてくれる。
搭載されるリチウムイオン電池はNCM811と呼ばれるタイプで、ニッケル量を増やしマンガンとコバルトを減らして8:1:1としている。そしてその容量はグロスで100kWh、ネットで94.9kWh、航続可能距離は使用状況によって340~685kmと発表されている。
ドイツではこのQ6 e-tronをここ数年勢いのなかったアウディ復活の良き前兆として歓迎されているが、確かにその出来は良いだけにBEVの勢いが弱い日本市場での動向が気になる。
ドイツ国内でのベースモデルの価格は19%の付加価値税込みで7万4700ユーロ(約1200万円)で8月から受注が開始されている。一方、アウディジャパンによる日本市場に関する発売時期や価格に関する情報は8月中旬の時点ではまだ届いていない。
【SPECIFICATION】アウディ Q6 e-tron
■全長×全幅×全高=4771×1939×1685mm
■ホイールベース=2889mm
■車両重量=2405kg
■モーター形式/種類=ー/交流同期電動機
■モーター最高出力=387ps(285kW)
■モーター最大トルク=855Nm(87.2kg-m)
■バッテリー種類=リチウムイオン電池
■バッテリー容量=100kWh
■サスペンション形式=前後:5リンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前:235/65R18、後:255/60R18
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