【国内試乗】手に入れたのは圧倒的なドライビングファン「マクラーレン・アルトゥーラ・スパイダー」

先月、国際試乗会でのリポートをお届けしたマクラーレン・アルトゥーラ・スパイダーを日本の公道で試乗。最新世代のMCLAプラットフォームがもたらす走りは実に秀逸で、オンロードからサーキットまで“走りたい欲”が抑えられない一台だ!

PHEVにしてライトウェイト

6月中旬にポルトガルで国際試乗会が開催されてから1カ月半、早々に日本の公道に現れたマクラーレン・アルトゥーラ・スパイダー。スーパースポーツにピュアさやアンダーステイトメントを求める、ある種の本物思考の方はマクラーレンに辿り着く。この導入のスピード感こそ、日本のファンが着実に増えていることの証明と言えるかもしれない。

ミッドシップにマウントした3L・V6エンジンとEモーターによるシステム総合出力は700ps/750Nmを発揮。0→100km/h加速は3.0秒を記録。

スパイダーは、2021年にリリースされたクーペとの重量差は+62kgに留まり、競合モデルのクーペ/スパイダー差よりも格段に少ない。プラットフォームは2025年モデル(MY25)のアルトゥーラ・クーペと同じく、最新仕様のマクラーレン・カーボン・ライトウェイト・アーキテクチャー(MCLA)を採用。得意のカーボンファイバー製モノコックやアルミニウム製の衝撃吸収ストラクチャーで構成されるが、スパイダーの開発に合わせてMCLAに組み込まれるE/Eアーキテクチャーにも最新のイーサネットが採用され、ケーブル類が25%減少したことにより大体の重量も削減されている。

7月下旬、岩手県安比高原周辺の一般道、ワインディング、高速道路でステアリングを握ったが、どのシーンでもその乗り味には驚かされることとなった。

ドライバーディスプレイやスイッチ類はチルト&テレスコピックと一緒に動くドライバーオリエンテッドな仕様。

「Eモード(電気のみ)」で滑らかに走り出すのは想定内であったが、中速域でワイディングを走ると強く感じたのが一体感の高さ。うねりやポットホールなど降雪地帯ゆえ路面コンディションは良いとは言えなく、またスーパースポーツの職分からセッティングされたであろう、締め上げられた足回りを想定すると振動やブレは覚悟していたが、見事にいなされている。ゼロとは言わないが、路面からの雑味がドライビングファンを削ぐことはない。タイトなコーナーでもロードホールディング性は素晴らしく、安定感が常に得られるので、自分がマシンをコントロールできているという自信を持たせてくれる。もちろん、ブレイクするしきい値は存在するので、多くのマクラーレンオーナーがサーキット走行に導かれていく理由がこれなのかと合点が行く。

試乗車は標準シートにランバーサポート機能をオプション装備していた。

また、スーパースポーツのPHEV化は昨今のトレンドであり疑いのない最適解である。ただし、車重への影響はどうしても避けられない。1700kgを超えるスーパースポーツもある中で、スパイダーでも1500kg以下に抑えられたアルトゥーラは、大パワーとフルブレーキを使いこなすサーキットでは、頭ひとつ抜けたドライビングファンが味わえることも想像できるだろう。

試乗車の足元はグロスブラック仕様の「キャリバー10スポーク・スーパーライトウェイト」ホイールをオプション装備。

試乗の後半は、高速道路で各走行モードをテストしたが、「コンフォート」で中速域のクルージングならば加速時以外はモーターのみで走行が可能であった(電力残量は半分以上ある状態)。「スポーツ」を選べば、電力はレスポンスやダッシュ力に配分され、エンジンとモーターの駆動連携は実に滑らかに行なわれた。「トラック」の方がその鋭さは低回転域から発揮されるので、サーキット向きであることが伺えた。

リトラクタブルハードトップはボタン操作でガラス濃度や色調を変えられるエレクトロクロミックガラスパネルの選択も可能。

あいにくの雨天であったことから、オープントップでの走行時間は限られていたが、50km/h以下の速度であれば走行中の開閉も可能。スパイダーとMY25クーペから強化されたエンジンサウンドは、M360型3LV6エンジンの粗野さよりも、ハツラツとした軽快さが印象的であった。これならば、理想の主戦場はサーキットであっても、穏健なグランドツーリングも十分に楽しめるはずだ。

今回はMY25クーペも試乗を行なえたが、スパイダーとの違いよりも共用するMCLAプラットフォームやソフトウェアアップデートによる乗り味の向上が印象的だった。今回の進化は、実に大きい。

ARTURA COUPE (MY25)/ボルケーノイエローのMY25クーペにも試乗。’21年の登場から3年目にしてプラットフォームの改良、ソフトウエアや車内通信環境のアップデートが行なわれ、パフォーマンスや乗り味が大幅に向上。スパイダー同様、圧倒的なドライビングファンを手に入れた。

【Specification】マクラーレン・アルトゥーラ・スパイダー
■車両本体価格=36,500,000円(税込)
■全長×全幅×全高=4539×1976×1193mm
■ホイールベース2=640mm
■トレッド=前:1650、後:1613mm
■車両重量=1457kg
■エンジン型式/種類=M630/V6DOHC24V+ツインターボ
■総排気量=2993cc
■最高出力=605ps(445kW)/7500rpm
■最大トルク=585Nm(59.7kg-m)/2250-7000rpm
■モーター形式/種類=ー/交流同期電動機
■モーター最高出力=95ps(70kW)
■モーター最大トルク=225Nm(22.9kg-m)
■バッテリー種類=リチウムイオン電池
■燃料タンク容量=65L(プレミアム)
■トランスミッション形式=8速DCT
■サスペンション形式=前:Wウイッシュボーン/コイル、後:Wウイッシュボーン/エア
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前:235/35ZR19、後:295/35ZR20

問い合わせ先=マクラーレン東京 TEL03-6438-1963 マクラーレン麻布 TEL03-3446-0555 マクラーレン横浜 TEL045-306-9707 マクラーレン名古屋 TEL052-528-5855 マクラーレン大阪 TEL06-6121-8821 マクラーレン福岡 TEL092-611-8899 マクラーレン広島 TEL082-942-0217

フォト=マクラーレン・オートモーティブ ル・ボラン2024年10月号より転載

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2024/09/01 17:30

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