現行型が登場してから早20年が経つハイエース
今年は20周年なので、何かが変わるのか? コンちゃんのベース車である、トヨタ「ハイエース」の現行200系が誕生したのは、いまから20年前の2004年のこと。そのひとつ前の世代、100系から15年間を経てフルモデルチェンジしている。
そんなハイエース200系の今後についてはこれまで、ネットや自動車雑誌など様々な憶測記事が出てきた。キモは、「日本市場の特殊性を考慮した、次のステップ」である。この連載でも過去に、キャンピングカーの視点で200系の今後について触れた。
日本のキャンピングカー市場においては、「バンコン」カテゴリーで圧倒的なシェアを誇るハイエース。旅館や幼稚園などの送迎車や、テレビ収録などのロケバスとして欠かせない存在だ。そして、いわゆる「ひとり親方」の相棒として全国で毎日活躍している。日本を代表する商用車として、ハイエースの今後について各方面から注目が集まるのは当然だと言える。
では、現時点で考えられるハイエースの進化はどんな感じに進むと考えられるか? 東南アジアなどではすでに300系が存在し、日本では「グローバルハイエース」といった名称で呼ばれることがある。
2023年初開催となったジャパンモビリティショーでは、トヨタ車体のブースにグローバルハイエースの電気自動車(BEV)がコンセプトモデルとして展示されていた。同社関係者によると、「現状の市場動向を見れば、日本での300系早期導入はやはり難しい」として上でで「ただし、 BEVとしての需要が確実にある中で、300系をBEV専用として日本市場に導入する可能性を探るため、今回の展示となった」とハイエース戦略の一部を明らかにした。
ランクルとの関係で見えてくること
日本でのハイエースの未来を占う上で、別の視点で注目されるのが「ランクル」の存在だ。最近、「ランクル250(ニーゴーマル)」を筆頭に、各種ランドクルーザーと触れ合う機会がちょくちょくあり、そんなふうに思う。よく考えてみれば、それは当然のことだと言える。ハイエースもランクルも、製品企画・設計・製造においてトヨタ車体の存在が大きいからだ。
改めてだが、トヨタ車体はトヨタグループの中核企業で、ハイエース、ランクルのほか、アルファード/ヴェルファイアやノア/ヴォクシーを担当している。また、トヨタは現在、モデルのカテゴリーや仕向地に応じたカンパニー制を敷いているが、そのうちCV(コマーシャルヴィークル:商用車)カンパニーの一部事業をトヨタからトヨタ車体に移管する動きが進んだ。これは市場のニーズに応じて、製品開発のリードタイムを短くすることが目的だ。
そうした中、ランクルは直近で、ランクル史上最大級の変革があった。「プラド(150系)」のフルモデルチェンジのタイミングで、単なる新型プラドという発想ではなく、「ランドクルーザー群」というランクルブランドの再構築を図ったのだ。
具体的には、70系をヘビィデューティーをアップデートして日本市場では再々販モデルとして登場。ステーションワゴンである300系は当然ながら継続した。そして最大の話題は「250」だ。トヨタは「ライトデューティーという考え方はなくした」とし、250によってランクルを原点回帰するとまで言い切る。
その250が搭載するパワーユニットは、グローバルで合計5パターンあり、日本市場向けには2.8Lディーゼル(8AT)と2.7Lガソリンを採用。これらは、プラド(150系)から継承したほか、北米タンドラで機能性を検証した1モーターシステムを積む2.4Lターボハイブリッドを追って導入することが決まっている。また、70では新たに2.8Lディーゼル(6AT)を採用した。
この250と70用の2.8Lディーゼル「1GD」は、コンちゃんにも採用されているエンジンだ。当然、250や70とはクルマとしての使用条件は異なるため、エンジン制御のセッティングにも違いがある。いずれにしても、250と70(日本での再々販)は当面存続するため、そして各種ランクルのモデルライフがとても長いこともあり、「1GD」の製造は維持されることになる。
だからといって、ハイエース200系そのものが、当面維持されるとは言い切れない。また、ランクル用の各種ハイブリッドをハイエース200系に移植するのは、ユーザー層から考えて難しいだろう。ランクル250の開発がひと段落したこのタイミングで、トヨタ車体がハイエース200系に対する「次の一手」に着手しても不思議ではない。
それは、再びの一部改良なのか、200系の20周年記念モデルなのか、それとも……。ハイエースの生まれ故郷、岐阜県各務原市で「なんらの動き」があるかもしれない。