ちょっと変、だけどカッコいい。オオタキ製「パルサーEXA」!名作キット列伝・第1回【CARSMEETモデルカー倶楽部】

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スタイリッシュ・ボディのFFクーペ

キット制作記事や、歴史をひもとく記事など、様々な内容でお楽しみいただいている当「CARSMEETモデルカー倶楽部」だが、今回から、完成した状態にこだわらずにキット状態のまま、いろいろなカープラモをご紹介していく連載を始めたい。題して「名作キット列伝」である。

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と言っても、今では入手不可能な過去のキットばかりを紹介し、その結果として絶版キットの市場価格に影響を与えてしまう、というようなことは本意ではない。そうした事態もある程度は避けられないかもしれないが、あまり生臭い結果を生まないよう、新旧キットを取り混ぜてご紹介していければよいのではないかと考えている。

という訳で第1回は、オオタキ製1/24スケール・キットの「日産パルサーEXA」を採り上げたい(言ったそばから絶版キットだが……)。同車についてはイマイからも新車当時にキット化されており、この金型はアオシマに引き継がれ、現在も同社「ザ☆モデルカー」シリーズに編入されつつ現役であるが、オオタキのキットは基本的には当時のものしか存在しないため、若干マイナーな存在と言えるだろう。しかし、プラモデルについて説明する前に、実車について若干述べておこう。

パルサーEXAは、1982年4月登場の二代目パルサーに設定された2ドア・クーペである。パルサーの前身であるチェリーの時代から、クーペはちょっと奇妙なスタイルを採用してきたもので、チェリーではミッドシップスポーツ風、チェリーF-Ⅱと初代パルサーではシトロエンSM風という、独特なルックスを特徴としていた。二代目パルサーにおいてこの流れは極まり、ついにEXA(エクサ)というネーミングが与えられたかたちである。

その最大の特徴は、なんといってもリトラクタブルライトを採用(クラス初)したフロントマスクであろう。全体のプロポーションはこれもミッドシップ風と言えばミッドシップ風の、スーパーカー的な雰囲気を持つもので、それを大衆車クラスのボディにまとめ上げたところが見事であった。空力的にも優秀で、Cd値0.37をアピールしていた。

もっともその中身はパルサーと全く同じで、直4エンジンを横向きに搭載するFF車である。パルサーには1.3Lと1.5Lのエンジンが用意されていたが、EXAに組み合わされたのは1.5Lのみ。すなわちキャブ仕様のE15(85ps)とインジェクション仕様のE15E(95ps)であった。サスペンションは前ストラット/後ろフルトレ。グレード構成はシンプルに、E15を搭載するEXAと、E15Eを積むEXA Eの2種類。もちろん後者が上級モデルである。

スタイリッシュなルックスが大いに受け、発売直後はかなりの人気を博したパルサーEXAであったが、その勢いはたちまち失速。ターボ仕様の追加やコンバーチブルの限定発売などがあったものの、いまひとつ地味な存在のままに終わった。1986年には独立車種エクサとしてモデルチェンジしているが、これも一代限りであった。

ステア可能なFF機構を採用、プロポーションもよしのオオタキEXA
さてプラモデルのEXAであるが、オオタキ、イマイともに1982年秋の見本市で発表されており、手元の資料では詳細は不明だが、おそらく同年冬から年明けにかけて発売されたものだろう。カッチリとした堅実なつくりで、若干地味な実車をモデル化したメーカー、という印象のあるオオタキだが、このキット化時点では、EXAは注目のフレッシュなスポーティカーだったわけである。

オオタキの売りは、前述のように堅実なつくり――まとまりのよいボディ・プロポーション――にもあったが、目玉と言えるのはまた別の部分であった。フロントにモーターを置き前輪を駆動するFF方式を採用しながら、ステアリング機構も両立していたのである。もっともこの機構に関しては、これより少し前に日東から発売されたレックスやファミリアでも同様のものが採用されていただけに、目新しさという点ではいまひとつだったかもしれない。

一方、イマイのEXAは、同社らしく「カッチリ」を通り越して「ガッチリ」した作りがなされていたが、オプションパーツが豊富に用意され、プラモならではの楽しさに満ちたものであったのが特徴だ。このあたりは、現在のアオシマ版からも窺い知ることができるだろう。

オオタキのEXAに話を戻すと、のちには実車の変化に即してターボ仕様が追加されたようだが、さほどのバリエーション展開はなかったようだ。最後にはコンバーチブル仕様に改修されたものが、オオタキではなくスズキという会社から発売されているが、この間の事情について確実なところは不明なので、ここで詳しく触れるのはやめておこう。オオタキのEXA、このまま歴史の狭間に消えさせてしまうのは惜しいキットではある。

写真:秦 正史

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