2018年にフルモデルチェンジを果たしたW463A型の現行Gクラスがまもなく大幅刷新を迎える。サイバーセキュリティ法への対応やEQGの登場などの要因も大きいようだが、カスタマーの要望にはぴったりとはまるアップデートとなることは間違いなさそうだ。
伝統や“らしさ”をなくさずニーズにシンデレラフィット
最近は、今年1月に米国ラスベガスで開催されたCES 2024でプロトタイプが公開された、BEVのEQGばかりが話題になっているメルセデス・ベンツGクラスだが、ICEモデルも間もなく進化を果たす。
現行のW463A型は2018年にデビューしてから早くも6年が経つ。Gクラスはそもそもモデルサイクルが長いが、このタイミングで改良、しかもフェイスリフトではなく、“モデルチェンジだ!(by開発メンバー)”という大改良を実施する背景には、EQGの登場や、インフォテインメントやコネクティビティのアップデート、サイバーセキュリティ法への対応など、様々な理由があったという。
新しい直6エンジンとマイルドハイブリッド化により、燃費も10%以上改善。ガソリン、ディーゼルともに、高速燃費で10km/Lは超えそうだ。オフロードにおける応答性も向上。
今回は、開発最終段階にあるプロトタイプで、北極圏のノルウェー・ボーデから国境を超えてスウェーデン・ラップランド地方のアリエプローグまで、約300kmを試乗する機会に恵まれた。
今回試乗したのは、ガソリン車がG500、ディーゼル車がG450dの2台。どちらもカモフラージュが施されているが、そのルックスは一見してGクラスそのもの。だが中身は大きく進化しており、開発コードも「W465」となっている。
2台に共通する変更点は、まず電動化だ。どちらも15kW(20ps)41と200Nmを発揮するISGを搭載した、48Vオンボード電源システムを備えたマイルドハイブリッドとなっている。
そしてエアロダイナミクスも向上した。Aピラーの雨どいを排してドアミラー付近に小さなフィンを装着したほか、フロントウインドー上部の雨どい後部に平滑化するスポイラーリップを装着。これらによりCd値は、従来の0.53から0.48に改善している。
今回北欧で試乗したGクラスのプロトタイプは、ガソリン/ディーゼルの48Vマイルドハイブリッド。その走りは従来にも増して快適&軽快で、とても現代的なクルマに仕上がっていた。
そして最新のMBUXの搭載である。今回は発表前ということもあって、インパネをお見せすることは出来ないが、黒い布で覆われた写真から想像してほしい。ARナビゲーションも搭載するが、ヘッドアップディスプレイは、ダッシュボードにスペースがないため設定されないという。またADASも、他のメルセデス各モデルと同等のレベルに進化した。
これらに加えてG500は、およそ330kW(448ps)と560Nmを発揮する、完全新開発の3L直6ターボを搭載。G450dは、完全新開発ではないが、様々な改良により一層の高効率化を実現した、約270kW(367ps)/750Nmの3L直6ディーセルターボを搭載。つまり新型Gクラスは、AMGモデル以外にV8は搭載されないというわけだ。
雪や氷が残る道でも、乗り心地は快適そのもの。可変ダンパーは、コンフォートモードではより快適に、スポーツモードではよりスポーティに制御を見直している。静粛性も格段に向上した。
気になる走りの方はというと、G500もG450dも、従来モデルより格段に軽快感が増している。可変サスペンションが標準の足回りは、とてもしなやかで、これまでのようなゴツゴツ感が大幅に軽減されている。また電動パワーステアリングは、従来より操舵力が明確に軽く、操舵フィールもスッキリ。とはいえインフォメーションは豊富で、Gクラスらしさは失っていない、絶妙なチューニングである。
マイルドハイブリッド化のお陰で、加速も軽快感が増している。とくにG400dは、直6ディーゼルターボの太いトルクもあって、とても力強い加速を披露する。
個性を継承しながら現代のクルマに生まれ変わった新型Gクラスは、今回も世界中のファンのハートを鷲掴みすることになりそうだ。