【ショールームツアー】新コンセプト「リテール・ネクスト」を導入したBMWの最新ショールーム「BMW東京 BMW青山スクエア」

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自動車メーカーの思想や進むべき方向性を如実に示すのが販売の最前線だ。メルセデス・ベンツ、BMW、そしてアウディの最新ショールームを取り上げ、それぞれの個性や魅力を掘り下げながら「いまとこれから」を感じてみたい。ショールームツアー、2店舗目は、BMW編。

日本では第一号店として2023年7月にリニューアル

ここBMW青山スクエアでは「デジタルとフィジカルを融合したサービス」というコンセプトのもと、積極的にデジタルツールを導入している。カタログなど紙の類はほとんど見当たらない。代わりにタブレット端末や大きなディスプレイで、様々な角度からクルマの3Dイメージを見たり、色やパーツを替えることだってできて、知りたい情報がすっと脳に入ってくる。

山田宜良氏(Takayoshi Yamada)・BMW青山スクエア 支店長/BMWに入社して30年、入社時からこれまでずっと東京の街でBMW愛を広めてきた大ベテラン。時代とともにクルマに求められる役割が変化していく中で、真にお客様がBMWに求めるものは何であるのかを探すよういつも心がけている。

「今は検索すれば大抵の情報は自分で調べることができる時代。クルマについてもご自身でいろいろ調べてから来店されるケースがほとんどです。だからこそ、お客様にはここで“実体験”をしていただきたい」
と、同店支店長の山田宜良氏は述べた。情報のデジタル化は既に入店前から始まっている。体験(フィジカル)こそがこのショールームの大きな魅力なのだという。

各コーナーごとに趣の異なる調度品で整えられていて、まるでリビングのよう。

実体験というと試乗のことがすぐに浮かんだが、どうやらそれだけではないようだ。五感すべてでBMWの世界観を体感すること。すなわち「プレミアムラグジャリー」の体感だ。昔からずっと変わらぬ高級感に、付加価値を上乗せしてお客様に届ける。それは決して高級感をより高めるという意味ではなく、むしろ敷居を下げて、「幅広い年代の方に親しみやすいラグジャリーを感じていただくこと」という山田氏の言葉が強く印象に残った。

五感を刺激するエッセンスが、ショールームのあらゆるところに散りばめられている。ホームリビングのようにくつろげる空間。まるでアートのようなグリーンカーテンや、手入れの行き届いた観葉植物が魅せる色は目に優しい。足の裏が毛布に包まれているかのようなラグの感触。ワクワクするような新車の匂い、そこにふと珈琲の香りが鼻をくすぐる。心地良い音楽と、スクリーンから流れるエンジン音の共鳴。モデルカーに触れると、まるで自分がそのクルマのオーナーになったかのような楽しい想像が膨らんでくる。

驚いたのは、この空間を彩る多くのピースが再生可能な素材を利用してつくられていること。卵の殻や籾殻をリユースした壁紙のほか、エアバッグをリサイクルしてつくられるナイロン糸で織られたラグ、サボテンから生まれたヴィーガンレザーの椅子など、挙げたのはほんの一例にすぎない。その根底にあるのは「アップサイクル」という理念だ。今あるものを利用して、付加価値のある別のものに作り替えるという意味だという。BMWというブランドを通して、クルマを単なる移動手段から、ライフスタイルのひとつという存在まで高める。ヒトとクルマの共存が歓びをもたらすものであることを多くの方に感じてもらいたい。その想いが、ショールームのすべてに宿っていることを知った。

欲しい色のイメージや細かな部分の相談をしたり、モニターに映し出されるクルマを観ながら話を聞いていると胸が躍る。

実際にここを訪れる人は年代も背景も様々だそうだ。取材時にはランニング帰りにふらっと立ち寄る男性の姿があった。家族連れで賑わうこともあれば、デートで訪れるカップルもいる。時には20代の若者だってやってくる。
「我々のテーマは“歓び”です。駆けぬける歓びも、所有する歓びも、たくさんの歓びを必ず味わっていただけます」
心躍る体験が、扉の向こうに待っている。

走りで魅せるMパフォーマンスのパーツがディスプレイされているコーナーや、ゴルフ用品を扱うコーナーなど、カーライフの魅力があらゆる角度から伝わってくる。

BMW東京 BMW 青山スクエア

住所:東京都港区北青山2-12-16吉川ビル1・2F
営業時間:平日11:15-19:00、土日祝10:00-19:00
定休日:火曜日・年末年始・夏季
電話:03-5411-8100

フォト=中島仁菜 ル・ボラン2024年2月号より転載

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