ドイツの車検費用はビックリするほど安い! BMWでさえたったの22300円で済むなんて!【池ノ内ミドリのジャーマン日記】

TÜVの検査場へ自分で持って行けばリーズナブル!

10月の最終日曜日から冬時間に変わったドイツ。一日の大半がどんよりと暗く長い冬の始まりです。この冬時間の期間に特に毎日の生活が変わるワケではありませんが、時計の針が1時間戻る事で微妙な時差ぼけになっています(笑)。
日本の旅番組や広告写真には、とてもキレイな紅葉のドイツの写真が使用される事が多いですが、秋から春までは晴れの日はあまり多くない上に、日照時間がとても少なくなります。なんだかちょっとロマンチックな感じで、晩秋や冬のロンドンを『霧のロンドン』と表現しますが、まさしくドイツも霧や厚い雲に覆われている日々なのですが、決してロマンチックではなく、気分がとても滅入ります。ヨーロッパの中でも特にドイツのカブリオレ/ロードスターの所有者がスバ抜けて多いのは、その反動かも知れませんね。
私も代々の愛車がカブリオレで、免許返納までカブリオレに乗り続けるつもりです。

さて、私の愛車が車検の時期に入り、オンラインで予約を入れるたりと準備をしました。たまに日本の方から、「ドイツって車検はあるんですか?」と聞かれるのですが、日本と同じく新車は3年、それ以降は2年ごとに車検を受ける必要があります。
私の愛車は2018年製ですので、丁度5年目を迎えた二回目の車検となります。車検を受けるには正規ディーラーや自動車販売店、一般の自動車整備工場、日本で言うところのオートバックスのようなショップ、TÜVをはじめとするDEKRAやKÜS等の認証検査機関へ持って行く等、さまざまな方法があります。

TÜVの外観。

ディーラーへ持ち込むと少しだけ高いですがビックリするような価格ではなく、費用的にはどこもほぼ同じです。しかし、ド庶民の私は例え千円でも安い方を選びますのでいつもTÜVの検査場へ自分で持って行きます(笑)。幸いにも私の自宅から3km以内にディーラーも、TÜV等が全て揃っていて全てがご近所さんなので便利です。

ドイツの車検は大きく分けてHU(Hauptuntersuchung 主査)とAU(Abgasuntersuchung排ガス検査)の二つの検査を同時に受けます。

TÜVの受付カウンター。

まずはオンラインで都合の良い日時を選び、当日は予約時間の少し前に行って敷地内の駐車場に愛車を停めて、Zulassungsbescheinigungという日本の自動車検査証に近い物とキーを受付へ預けます。すると、係の方が私のクルマに乗り検査場へ入って行かれ、終了するとまた元へ駐車してキーと車検証をお戻しくださいます。
何も問題がなければ約40分で検査は終了し、受付で検査費用を現金かカードで支払い、検査結果表を頂いて帰宅します。

例えば、ブレーキパッドの消耗等、何らかの問題事項があった場合は、1つの問題箇所ずつ再検査となります。一ヶ月以内に修理・交換をして再検査を受けなければ車検は通りません。

私の愛車のナンバープレート:左の青い部分はEUのドイツで登記されたという意味です。他にイタリアならI、フランスならF、スペインはE、オランダはNLというように、国ごとに分かるようになっています。
Mはミュンヘン市のMを意味しています。オレンジ色のシールの頂点の部分(私のは10)が次の車検の時期を示しており、次の車検の時期は2025年の10月です。このシールは年毎に色ごとに分かれており、2025年はこのオレンジです。リアのナンバープレートに車検のシールは貼られており、車検が通ると係の方によって張り替えて頂きます。
その下の青白マークのステッカーは、バイエルン州で登記された事を示します。BMWのマークと同じバイエルン州の州旗のデザインです。ドイツには16の州があり、州ごとに子のステッカーのデザインが異なりますので、旅行にいらした際などにご覧になってみてくださいね。

以前に所有していた愛車の車検を受けた際に、車検証に記載されているサイズと異なったサイズのタイヤを装着していた事があり、その際に再検査となった経験があります。指定通りのサイズのタイヤを調達して履き替えた上で、手数料を支払い、再検査を受けました。
日本ではインチアップのタイヤは割合と自由に装着できますが、ドイツではそう簡単にはいかないのです。もしもそのような場合は、TÜVへ先に行って問い合わせをする、検査を受けて安全上問題ないのか許可が必要になり手数料がかかります。
同様にドレスアップパーツに関してもそうです。私の愛車はBMW製ですので、BMWのMパフォーマンスのオリジナルパーツを装着したい場合は、全てTÜVの認証を受けていますので問題ありませんが、オンライン等で購入したTÜVの認証マークが入っていないメーカーのパーツを取り付けたり、エンジンのチップチューニングやエキゾーストの交換をしたりする事は非常に難しいのです。
私はそれ以降、タイヤは全て規定通り、チューニングやドレスアップは一切施していませんので、車検の時には全く問題はありません(笑)。

以前よりは若干値上がりはしましたが、主検査が47.56€、エンジンマネジメント検査と排ガス検査で70€、それに税19%が加算されて、合計139.90€(約22300円)。
どうして日本の車検費用はあんなにも高いのでしょうか?
恐らく、日本の方はなんでドイツの車検はそんなに安いの?となるでしょう。そりゃそうですよね。日本の車検の費用をドイツ人に言うと本当にビックリされます。
ドイツには自動車重量税がないのが、安い要因のひとつでもあるでしょう。また、自賠責保険の更新と車検はセットではありませんので、自賠責を含めた全ての保険は保険屋さんの管轄になります。私はADAC(ドイツ自動車連盟)の自動車保険に入っていますので、保険に関しての相談・お支払いの窓口はそちらになります。
余談ですが、日本では自動車税の納付書が郵送で届きますが、ドイツでは自動車の登記をする際には引き落とし口座を必ず用意しなければならず、それがないと登記は出来ないのです。従って、事前通知なしに自動車保険は毎年勝手に毎年引き落としされますが、延滞や滞納、うっかり払い忘れを防ぐ為にもこれは良いシステムだと思います。ものぐさな私にはぴったり!

ある晴れた日のミュンヘン。今年は猛暑続きだったせいか、例年に比べて紅葉はあまり美しくない。

私は春先から秋の間にはかなりの長距離運転をします。特にコトバの通じない国を移動途中に故障や不具合があったら大変な事態になりますので、いつも愛車を買い替える時には自動車メーカーのサービスパッケージを同時に購入してキチンと点検に行くようにしています。正直、ちょっとお高いな、と思いますが、そのお陰で1ヶ月に5000km以上を走る月が何度もありますが、ノートラブルで助かっています。アウトバーンの路肩で停まってエンジンルームを開けている人をよく見掛けますが、自分も移動中にもしもそうなったらどうしようと不安にもなります。特に炎天下やどしゃ降りの日に、路肩で途方に暮れている方をお見掛けすると気の毒になります。明日は我が身!特にヨーロッパの今年の夏はかなりの猛暑でしたので、どこの国でも故障車を特に多く見掛けました。

長距離移動をする上、仕事場であるサーキットの駐車場の大半は未舗装なのでいつも私の愛車は埃まみれ。そして、フロント全面やフロントグラス、サイドミラーには恐ろしい数の虫の死骸がこびりつき、もはや白地のナンバープレートが黒?かと思うような数の虫に覆われていましたが、さすがに検査をしてくださる方には失礼ですので、自宅の地下駐車場(空きがなく、別の場所に借りています)まで持ってきて車内を洗車し、車検所の隣にあるTotalのガソリンスタンドの洗車機に入ってから検査に行きました。久々に愛車本来の色を見た気がします(笑)。クルマ掃除が苦手なので、日本のような良心的な価格で中も外もピカピカにしてくださればよいのですが、一番安い洗車機のメニューでこのTotalでは10€(約1500円)でした。市内の洗車屋さんの料金を見たら、外と中の洗車と掃除の価格は安いところで200€程(約3万円)、平均的に360~550€(約58000円~88000円)と超高額で、全くもってムリな価格帯でビックリしました。嫌々ながらも自力で頑張るしかありませんよね。

私がいつも行くTÜVの車検所の道路を隔てた正面はBMWのMのエンジンの開発基地。私が住むBMW本社近辺のTotalのガソリンスタンドや洗車機はBMWと契約をしていますので、社用車用に給油カードのタッチセンサーや指紋認証の機械が置いてありなかなか興味深いです。また、最新のクルマ、まだ発売されていないクルマ、カモフラージュ模様のクルマも給油や洗車にどんどんやってきますので、車検を待つ間にそれらを見ているのも面白くて、あっという間に時間が過ぎます。
2年後の車検まで無事に乗れますように!

この記事を書いた人

池ノ内 ミドリ

武蔵野音楽大学および、オーストリア国立モーツアルテウム音楽院卒業。フリーランスの演奏家を経て、ドイツ国立ミュンヘン大学へ入学。ミュンヘン大学時代にしていた広告代理店でのアルバイトがきっかけでモータースポーツの世界と出会い、異色の転身へ。DTM、ル・マン/スパ/ニュルブルクリンクの欧州三大24hレースを中心に取材・執筆・撮影を行う。趣味は愛車のオープンカーでヨーロッパのアルプスの峠をひたすら走りまくる事。蚤の市散策。

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