フルサイズ四駆の余裕に浸ろう!タミヤ製プラモ「初代グランドチェロキー」を作る・後編【モデルカーズ】

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AMCの直6とクライスラーV8を搭載

ジープの初代グランドチェロキーについて、そのタミヤ製プラモデルと、それを制作した作例については、前編の記事(下の「関連記事」参照)ですでに述べた。ここでは、実車のグランドチェロキーについて、すこし詳しく触れておこう。

【画像27枚】ここまで美しく仕上げるボディおよび細部塗装のコツとは!?

第二次世界大戦における戦場で、連絡や偵察にも使用できる総輪駆動の小型トラックとして生まれたのがジープである。1940年、軍の求めに応じて最初の設計を行ったのはアメリカン・バンタムだが、これを元にウィリス・オーバーランドとフォード・モーターも参加しての試作コンペが行われた。ウィリスによる内容にフォードの考案したフロント・デザインを組み合わせたものが完成形となって制式採用、生産はウィリスとフォードが担当することとなったが、大戦終了までに合計して約64万台が生産されたという。

第二次大戦終了後、ウィリス・オーバーランド社はジープを単純に民間向けへ転換させるだけでなく、そのイメージを盛り込んだニューモデルを市場へ送り出した。そのいち早い例がステーションワゴンであり、それに次ぐ全く新しいタイプの自動車が、2ドア・コンバーチブルのジープスターであった。この他にも、後輪駆動の簡便なトラックとした仕様(配達などの業務に用いられた)のDJ型や、キャブオーバートラックの”フォワードコントロール”など、ジープをベースとしたさまざまな車種が発売されている。

グランドチェロキーはもちろんチェロキーがルーツであり、さらに遡ると、まさにSUVの先駆けともいえるジープ・ワゴニアに辿り着く。もちろんその系譜は、前述のステーションワゴンまで繋がるのだが、それはともかく、1963年型において、乗用車的ボディを持つワゴン型ジープとして登場したのがワゴニアであり、そのスポーティタイプとして、1974年型でリリースされたのが、チェロキーである。

そのチェロキーの二代目モデルは、日本でも大いに人気を博したものだが、1984年型としてデビューした。手頃なボディサイズと価格、また右ハンドル・モデルの存在もあったおかげで、アメリカ車としては異例のヒットモデルとなったのを、ご記憶の方も少なくないだろう。そして、この二代目チェロキーの上級版かつワゴニアの後継モデルとして生まれたのが、グランドチェロキーである。なお、ここに至るまでにジープのブランドは所有権が転々として、この時はクライスラーの下にあった(現在はクライスラーごとステランティス傘下である)。

チェロキー同様のユニボディとセレックトラックを採用
話を戻すと、グランドチェロキーは1992年に、1993年型として登場。チェロキーよりひと回り大きなボディは、そのサイズ的余裕を活かし、より曲面的なスタイリングの持ち主であったが、角型ヘッドライトのフロントマスクなど、チェロキーのイメージは随所に活かされている。ボディは5ドアハッチバックのみ、車体構造はチェロキー同様にユニボディと呼ばれるモノコック式を採用していた。

エンジンは旧AMCの直列6気筒OHV 4L(最高出力190hp)と、クライスラーのV型8気筒OHV 5.2L(225hp)の2種類を搭載。サスペンションは前後とも5リンクのリジッドで、駆動方式は四輪駆動だけでなく後輪駆動も存在した。四輪駆動には、フルタイムの”セレックトラック”と、パートタイムの”コマンドトラック”の、2種類を設定。トランスミッションは4速ATと5速MTがあった。

グレード構成は、まず下位にベースモデルと、SEと呼ばれるモデルが存在。その上には中間グレードとなるラレードが位置しており、さらに最高級モデルのリミテッドがあった。リミテッドの特徴は、本革のパワーシートや木目パネルなどを具える豪華な内装で、外観においてもカラードグリルやカラードバンパー(前後)、専用アロイホイールなどで差別化されている。

1996年型ではマイナーチェンジが行なわれ、内外装のデザインが変更されたが、この時までにラインナップからベースモデルが消滅しており、SEもマイチェンと同時に廃止され、ラレードがベースモデルという扱いとなった。1998年型では5.9L V8(245p)搭載車が加わるなどしたのち、1999年型でモデルチェンジを行い、二代目へと移行している。

作例制作=畔蒜幸雄/フォト=服部佳洋 modelcars vol.232より再構成のうえ転載

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