重厚なルックスで排ガス規制に対応
この記事の公開日は2023年10月25日。今から49年前の今日――すなわち1974年10月25日に発表された名車をご存じであろうか? トヨタ・クラウンの五代目モデル、S80/90型系である。
この五代目クラウンへのモデルチェンジは、先代登場から約3年半後と、すこし早めに行われた。これは先代のS60/70型系クラウンが、あまりに前衛的すぎるスタイリングが災いし販売的に振るわなかったことから、世代交代を急いだという面が大きいとも言われる。その反省もあり、五代目クラウンは重厚で保守的なスタイリングを特徴とした。また、翌年に予定されていた五十年排出ガス規制への準備として、エンジンルームの拡大やフロアの構造変更、冷却性能の向上などが図られていたのもポイントだ。このあたりは、モデルチェンジとともに適合を果たした日産セドリック/グロリア(1975年6月)と対照的である。
ボディ形式は従来の4ドア・セダン、2ドア・ハードトップ、カスタム(ワゴン)/バンに加え、新たに4ドア・ハードトップを設定。これについてはライバルのセドリック/グロリアに先を越されたのがかなり痛かったようだが、クラウンは安全性を重視してピラードハードトップ形式を採用、ピラーレスのセドグロとは違うところを見せていた。特に、Bピラー周りの形状は当時のキャデラックなどを思い起こさせるものである。
スタイリングはオーソドックスなもので、やはりライバルである230セドリック/グロリアを意識した部分が少なくないようだ。特に中央部を盛り上げたボンネットはグロリアのそれを思い起こさせるが、その一方で、2ドア・ハードトップはリアピラーにオペラウィンドウを設けているあたりに、アメリカ車の最新トレンドを取り込んでいるのが見て取れる。セダンでは前後で行き違いZ字型となるウェストラインを、ハードトップではクラシカルなフェンダーを思わせるプレスをそれぞれ採用しているが、それもその表れであろう。
車体構造は先代、先々代同様に、ペリメーターフレームを採用。レイアウトは無論FR、サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リアが車軸コイル式(4リンク)でこれも先代同様だ。エンジンは直列6気筒のM系がメインで、2.6Lシングルキャブの4M(最高出力140ps)、2L EFIのM-E(135ps)、同シングルキャブのM-C(115ps)の3種類、さらに営業車用にはM-CのLPG仕様もあった。
デビュー当初はこのようにM系エンジンのみであったので型式もMSのみ、数字の部分はセダンが80/85、カスタムが82/83、バンが87、ハードトップが90/95となる。
大幅に整理されたラインナップ
グレード構成は、まず2Lにおいては下からデラックス、スーパーデラックス、スーパーサルーンという基本構成がセダン、ハードトップともに共通。エンジンはいずれもM-Cだが、スーパーサルーン(2ドアのみスーパーデラックスも)にはM-E搭載車が設定されていた。また、セダンのみ廉価モデルとしてスタンダードおよびデラックスAというグレードが存在、こちらもエンジンはM-Cである。
2.6Lには、3種のボディともにスーパーサルーンが設定され、その下のグレードはないが、セダンのみその上に、最高グレードとしてロイヤルサルーンが置かれた。このロイヤルサルーンには4輪ディスクブレーキやOKモニター(6種類の警告灯付き)、後席パワーベンチシート、4チャンネル8トラックステレオ、カレンダー付三針水晶時計などが装備される。なお、ブレーキはスタンダードを除く全車でフロントがディスクであるが、ハードトップのスーパーサルーン(フロアシフト車のみ)にはベンチレーテッドディスクが装着された。
ワゴンであるカスタムとバンについても見ていくと、まずカスタムにも2.6Lと2Lを用意、グレードはいずれもデラックスのみ。2L車はM-C搭載車だけで、EFI仕様は用意されなかった。バンは2L車のみでデラックスとスタンダードを設定、こちらもエンジンはM-Cのみである。
トランスミッションは、ATは3速のみ、MTは3速/4速/5速の3種類あり、5速MTがフロアシフトのみとなる以外はコラムとフロアそれぞれがあったが、すべての組み合わせが全グレードで用意されていた訳ではない。例えば、セダンには5速MT以外のシフトが大半のグレードに設定され、デラックスAにのみ5速フロアが存在した。一方で、スタンダードはコラム3速MT 1種のみの組み合せとなる。
ハードトップには5速MTの設定が多く4ドアの2000スーパーデラックス以外に存在、ただしM-E搭載車があるグレードにはそちらのみに組み合わされている。4ドアのスーパーサルーンとデラックスではすべてのシフトが選べた一方、2ドアにはコラムシフト車の設定はなかった。
当時の価格について述べておくと、まずセダン2600ロイヤルサルーン(3速コラムAT)は230万円、2000スーパーサルーン(3速フロアAT)は174.5万円、2000デラックス(4速フロアMT)は137万円、2000スタンダード(LPG仕様)は106.5万円。4ドア・ハードトップ2600スーパーサルーン(3速フロアAT)は204.5万円、同2000デラックス(3速コラムMT)で132万円。2ドア・ハードトップ2600スーパーサルーン(3速フロアAT)は202万円、カスタム2000デラックス(4速フロアMT)は145万円であった(いずれも東京地域)。なお、セダンのみが発表と同時の10月25日に発売、その他のモデルはひと月ほど遅れて販売が開始された。
■関連記事
- 鬼クラ登場!は2年後の後期型だけど…「S110クラウン」発売!【44年前の今日、こんなことが…】
- クリスタルピラーがトレードマークの、ハイソカーの親玉!「S120クラウン」発売!【40年前の今日、こんなことが…】
関連記事
時代とともに変容するラグジュアリーカーのカタチ、国産ラグジュアリーの到達点「トヨタ・センチュリー」
トヨタ
2024.11.21
【スクープ】トヨタ「ハイラックス」が9年ぶりフルモデルチェンジへ! ライバルとされる三菱「トライトン」はどうなる?
スクープ
2024.11.19
【スクープ】トヨタ「スプリンターカリブ」の名が復活!? カローラTREKよりもパワフルで、SUVテイストに
スクープ
2024.11.01
長年のイメージを打破した「クラウンスポーツ」が展示!「bZ4X」にも試乗ができます トヨタ出展情報【EV:LIFE 神戸2024】
EV:LIFE KOBE2024
2024.10.29
愛車の売却、なんとなく下取りにしてませんか?
複数社を比較して、最高値で売却しよう!
車を乗り換える際、今乗っている愛車はどうしていますか? 販売店に言われるがまま下取りに出してしまったらもったいないかも。 1 社だけに査定を依頼せず、複数社に査定してもらい最高値での売却を目 指しましょう。
手間は少なく!売値は高く!楽に最高値で愛車を売却しましょう!
一括査定でよくある最も嫌なものが「何社もの買取店からの一斉営業電話」。 MOTA 車買取は、この営業不特定多数の業者からの大量電話をなくした画期的なサービスです。 最大20 社の査定額がネット上でわかるうえに、高値の3 社だけと交渉で きるので、過剰な営業電話はありません!
【無料】 MOTA車買取の査定依頼はこちら >>