潜入! 極上の空冷VWや、ダックスやモンキーなど小さなお宝たちがズラリと並ぶ、長閑なベルギーの田舎町に佇むVWカークラブの秘蔵ガレージ。【ガレージライフ】

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Flatline Lowridersのクラブハウスへようこそ。パッと見普通のビルトインガレージの奥には大空間が広がり、空冷VW仲間の笑い声がこだまする。

「シェアリング・イズ・ケアリング」の考えの下、同じ志を持った人々が集い、思いやモノ、場所を共有するのは有意義なこと。ネットを介す形態はもちろん、リアルで繋がる個人と個人、グループやチーム、クラブ、コミュニティというのも、時代遅れなようでいて、実は人としての生き方の真理なのでははないだろうか。こと趣味の世界となると人との交流は視野や知識を深めるきっかけも生み、マニアックな仲間ともなればなおさら原動力になる。

【写真13枚】、空冷VWとEMPIの殿堂に仲間の笑い声がこだまするガレージ 

さて、今回訪れたのは個人のガレージでありながら、仲間に解放しているクラブハウス的な空間。週末には示し合わせることもなく誰かがふらりとやってきて、クルマをいじったりおしゃべりを楽しむのだという。そんなVWマニアが作り上げた夢のようなガレージが存在するのは、ベルギーの首都・ブリュッセルから北西に30km、人口1万人ちょっとの田舎町オプウェイクだ。

ここは1997年に設立された水冷VWとポルシェ愛好家のカークラブ「フラットライン・ローライダーズ」の創設者の一人、カート・ヴァン・ピエール氏所有のガレージで、彼が長年かけて蒐集した愛車とVWパーツコレクションが陳列されている。ちょうど取材に訪れたタイミングは、ベルギーで2年に1度行われる空冷VWの祭典「ヨーロピアン・バグイン」の前日。ガレージは通常クローズドな場所だが、世界中からVW好きが集まる一大イベントに合わせて友人に公開していて、いつも以上の賑わいを見せていた。

脇道こそが趣味の道! 屋根裏はロマンの収納場所だ。
この場所を秘密のガレージたらしめているのはその外観にもあり、通りから見るとクルマ一台を収めることができるであろう半地下ガレージにしか見えないが、実際はその奥には続きが。屋根裏付きの広いギャラリースペースや整備用のスペースがあり、さらに進めば裏庭が広がっている。意外性のある佇まいは、さながらナントカ戦隊の本部基地、もしくは秘密結社を彷彿とさせ、なんとも男心をくすぐってくる。

建物自体は1950年台に建てられたもので、延床面積約500平米。最初からガレージではなく、もとは造花を作る工場だったがゆえに、普通のガレージ建築では考えられない間取りとなっている。カート氏が2007年にこの”城”を手を入れてからは、愛車を保管することはもちろん、車両整備スペースを作ったり、仲間が集る場所にアレンジし、コレクションを魅力的に展示できる空間を作るなどのアップデートを行ってきたという。

カート氏は筋金が”何本も”入ったVWマニアであり、ベルギーを拠点とする老舗カスタムパーツメーカー「EMPI」のコレクター。パーツ、アクセサリー、資料など、30年ほどかけて集められた品々は個人コレクションとは思えない物量で、私設博物館よろしく、それらが所狭しと飾られている。

ガレージの奥に進むと、吹き抜け空間と屋根裏に通じる階段がお目見え。階段は工場時代からの名残で、巨大な看板を脇に見ながら上に上がると、採光のとれた空間があった。このフロアの半分はタイプ2用のデッドストックパーツ倉庫。そしてもう一方は、毛色が変わってホンダのミニバイクのミュージアム的スペースだ。

特に充実しているのはモンキーやゴリラでなく、ダックス。海外輸出が盛んに行われたモデルなだけあり、アメリカモデル、オランダモデル、ベルギーモデルなど各国で少しずつパーツの仕様が異なるというのもコレクションしたくなる理由だという。また、ほとんどはオリジナルの塗装だというのも素晴らしく、シャイニーな輝きは空冷VWとは違う色っぽさがある。

そしてクルマ趣味と同様、見て楽しむだけでなく乗って楽しむというのが彼らの流儀。足回りや駆動部のレストアも行い、定期的にエンジンをかけてあげる。その信念を貫くため、屋根裏に置いていてもすぐに持ち出せるようにエレベーターも増設したという。なんともうらやましい秘密基地だ。

◆PLANNING DATA
 所在地:ベルギー/フラームス・ブラバント州
 施 主:カート・ヴァン・ピエール氏
 竣 工:1950年代
 延床面積:約500平米
 愛 車:’51年式 VW ラグトップ スプリットウィンドウ
     ’53年式 VW Zwitter コンバーチブル
     ’57年式 VW TYPE 2 23 ウィンドウ
     ’67年式 VW スタンダードラグトップ
     ’67年式 VW1500 スポーツスペシャル
     ’67年式 VW ダブルキャブ
     ’73年式 スーパービートル(1303) コンバーチブル
     ’74年式 EMPI GTV ビートル
     ウェストファリアトレイラー、ホンダ・ダックス  ほか

◆OWNER’S CHECK
・一番気にいっているところは?
 私たちの誇りはEMPI のパーツコレクション。収納棚もメンバーと苦労して取り付けました。
・ちょっと失敗したところは?
 特になし。ガレージの入口は確かに小さいかもしれませんが、その不思議さがいいんです。
・次の夢はなんですか?
 数台のレストア計画が進行中なので、それを完成させてこのガレージで飾りたいです。
・読者へのアドバイスを!
 このガレージは夢を持ち続けた末に作れました。皆さんも自分の夢を信じ続けましょう!

『GarageLife Vol.94』掲載

秘密の花園の入り口は半地下。’66年式のタイプ2バス21ウィンドウの脇を通り抜けていくと、裏手の中庭まで通じる広いガレージスペースが登場する。

Photo&Text/Junpei-SUZUKI (鈴木純平)

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2023/07/01 17:55

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