スマートさが却って好印象の5ナンバー
トヨタの高級車クラウンと言えば、劇的な変化を見せた最新型が話題を呼んでいるが、ではクラウンがクラウンらしかった世代とはどれのことであろう。人によっては、「白いクラウン」で一躍売った三代目・S50型系がそれであろうし、クジラの後に保守的なクラウン像を固めた五代目・S80/90/100型系かもしれないし、あるいは「ゼロクラウン」として現代的クラウン像を固めた十二代目・S180型系かもしれない。
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もちろん、バブル期に絶頂を極めたクラウンとして、八代目S130型系もその候補に挙がることであろう。S130型系は1987年9月にデビュー、ボディ形式は七代目・S120型系と同様に、4ドアのハードトップとセダン、そしてワゴン/バンの3種類があった。車体構造には伝統のペリメーターフレームを採用、サスペンションは前ダブルウィッシュボーンに後セミトレ(上級モデルのみ)と、構造的にも先代から多くを受け継ぐが、大きく異なるのは、3ナンバー車専用にワイドボディが導入されたことである。
このワイドボディはハードトップのみに設定されたが、基本的なデザインは5ナンバー用と共通のものとしつつ、側面パネルに豊かなボリューム感を持たせた造形であった。この3ナンバー・モデルにおいては日産のシーマに一本取られたという側面もあったが、シリーズ全体としてはバブルの好景気に乗って、ハードトップに限ってもカローラ並みの販売台数を記録したという。
搭載されるエンジンは、3L車の7M-GE(6気筒DOHC、190ps)を筆頭に、2Lの1G-GZE(6気筒DOHC+スーパーチャージャー、160ps)、1G-GE(6気筒DOHC)、1G-E(6気筒OHC)などがあった。登場2年後のマイナーチェンジでは、後にデビューするセルシオに先駆けて4L V8の1UZ-FE(260ps)を搭載したモデルも追加、その1年後には2.5L車もラインナップに加えている。
ちょっと大胆な改造も予定しつつ……
八代目クラウンは今でも人気が高く、ミニカーでは最近になっても新たな製品が発売されているほどだが、プラモデルでは、実車デビュー当時にリリースされたキットのみとなっている。アオシマとフジミの二社によるキットがそれだが、前者は様々にバリエーションを展開しながら現在まで現役であり続けており、後者も近年再販がなされているのはありがたいことだ。
アオシマのキットはワイドボディのハードトップをモデル化したもので、実車のマイチェンに合わせて後期型・V8搭載車に改修されており、前期型3L(直6)は今では非常にレアな存在となっている。対照的にフジミが再現したのは5ナンバーの標準ボディで、グレードはスーパーチャージャー搭載のロイヤルサルーンだ。トップグレードがキット化されるというのがある意味常識となっているプラモデルの世界だけに、フジミには感謝したいところである。
という訳で、ここではフジミの5ナンバー・クラウンを制作することとし、その過程を数回に分けてお伝えしていきたい。今回は全体の仮組みを行い、ホイールアーチ形状などに修正を加えてみた。前もってお話ししてしまうと、実はこの作例は、フジミのクラウンをそのまま作ろうというだけでなく、ちょっと大胆な改造も予定している。それについては第2回で述べることとしよう。乞うご期待である。
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