2030年のF1のカーボンニュートラル実現に向けての目標が合致
ホンダは、2026年からFIAフォーミュラ・ワン世界選手権(以下、F1)に参戦し、Aston Martin Aramco Cognizant Formula One® Team (アストンマーティン・アラムコ・コグニザント・フォーミュラ・ワン・チーム)と2026年から施行される新レギュレーションに基づくパワーユニットを供給するワークス契約を結ぶことで合意したと発表した。
F1は、2030年のカーボンニュートラル実現を目標として掲げており、2026年以降は、100%カーボンニュートラル燃料の使用が義務付けられるとともに、最高出力の50%をエンジン、50%を電動モーターで賄う形となり、現在と比べて出力に占める電気エネルギーの比率が大幅に高められることになる。
具体的には、2026年からエンジンの出力を抑える一方で、走行するマシンから減速時などにエネルギーを回収して電気エネルギーに変換する、エネルギー回生システム(ERS)の出力を現在の3倍に引き上げ、エンジンとモーターの最高出力が同等となるシステムとなる。
このレギュレーション変更は、ホンダのカーボンニュートラルの方向性に合致し、その実現に向けた将来技術の開発に大きな意義を持つことから、新たに参戦を決定したという。
2022年からホンダのモータースポーツ活動の全てを担う、株式会社ホンダ・レーシング(HRC)が、F1パワーユニットの開発とレース参戦・運営を行うことになる。
■本田技研工業株式会社取締役 代表執行役社長 三部 敏宏のコメント
F1が、ホンダの目指すカーボンニュートラルの方向性と合致する、サステナブルな存在となり、私たちの電動化技術を促進するプラットフォームになること。これが、ホンダとして再びF1にチャレンジする大きな理由の一つとなりました。
ホンダは世界のレースに挑戦し、勝利することで成長してきた企業です。2026年からの新レギュレーションでは、小型・軽量・高出力のモーターや、大電力を扱える高性能バッテリーとそのマネジメント技術が勝利への鍵となりますが、ここから得られる技術やノウハウは、電動フラッグシップスポーツを始め、これからの量産電動車の競争力に直結する可能性を秘めています。さらに、現在究開発を進めているeVTOLなど、さまざまな分野にも生かすことができると考えます。
新たなパートナーとなる Aston Martin Aramco Cognizant Formula One Team とは、勝利への真摯な姿勢と情熱で大いに共感し、Aston Martin Aramco Honda として、2026年からともにチャンピオンを目指すことになりました。
地球環境の保全とレース活動が共存できるよう、チャレンジングな新レギュレーション導入の英断を下されたFIA、また、F1のブランド価値を高め、発展させてきた Formula One Groupには大きな敬意を表します。
■Aston Martin Aramnco Cogrizant Formula One® Team 会長ローレンス・ストロール氏のコメント
Aston Martin Aramnco Cognizant Formula One® TeamはHonda と HRCを歓迎します。私たちは、レースでの勝利に向けた熱意と決心、そして飽くなき野心を互いに共有しています。ホンダは世界的な企業であり、長年にわたるモータースポーツにおける成功は、信じられないほど素晴らしいものです。2026年からともにエキサイティングな未来に乗り出すにあたり、三部氏、渡辺氏、そしてHRCのチーム全員に感謝したいと思います。
■株式会社ホンダ・レーシング代表取締役社長 渡辺 康治のコメント
カーボンニュートラル社会への移行という大きな環境変化を迎える中、将来にわたってモータースポーツが Hondaの強みであり続けるために最適な体制を考え抜いた答えが、HRCです。持続的なレース体制を構築し、世界中のモータースポーツファンへ夢と感動をお届けしていきます。
■Aston Martin Performance Technologies Group CEO マーティン・ウィットマーシュ氏のコメント
私は、キャリアの中で長年 Honda と仕事をする機会に恵まれてきました。2026年から HRCとAston Martin Aramco Cognizant Formula One Teamがパートナーを組むことを大変嬉しく思います。Aston MartinのF1における野心的な計画にとって、Honda とのワークスパートナーシップはジグソーパズルの最後のピースの1つです。2026年のF1 パワーユニットに関する新しいレギュレーションは、非常に大きく重要な変化ですが、私たちはともに乗り越え、成功することができると確信しています。戦路的パートナーである Aramcoも含め、共通の目標に向かってオープンなコラボレーションができることを楽しみにしています。最後に、今後数シーズンにわたって提携を続ける現在のパワーユニットサプライヤーに敬意を表したいと思います。