丸テールじゃないスカイラインもイイもんだ!フジミ製プラモ「ジャパン4ドアGT」をTIに改造!前編【モデルカーズ】

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欧州車を目標に据えた4気筒モデル

6気筒エンジン搭載のGT系が主流だった、と誰もが当然のように考えてしまう日産スカイラインだが、もともと1.5L 4気筒のS50の鼻先を伸ばし、無理矢理6気筒を詰め込んだ派生車として初代GT(S54)が生まれたことを踏まえると、実はスカイラインの本流=4気筒、という見方もできる。この4気筒スカイラインが、6気筒GT系よりも短いボディをまとっていた最後の世代が、1977年登場の五代目・C210型系、所謂ジャパンである。

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「ハコスカへの回帰」を謳い、走りのイメージを強調したC210では、先代(ケンメリ)までは今ひとつ人気のなかった4気筒車へのテコ入れとして、新たにTI(ツーリング・インターナショナル)なるサブネームが与えられた。スカイライン・ジャパンという愛称とは裏腹に、実車カタログには「ドナウやアルプス・ピレネーを越え国境を忘れて長いツーリングを楽しむヨーロッパ」への憧憬とともに、アルファロメオやプジョーを持ち出してTIという名称の意義が語られている。1980年のマイナーチェンジでフロント周りのデザインが大きく変更されたC210型だが、大きな角形2灯ヘッドライトに変更されたGT系とは対照的に、TIは丸型4灯が継承されて差別感が強調された。

今回1/24スケールのプラモデルで制作した作例は、その後期型TIを再現したもので、しばしば「実車よりもカッコ良い」といわれるフジミのジャパンGTをベースに、ボディを短縮して制作した。ジャパンTIはGTよりもホイールベースが100mm短いが、全長は200mm短く、フロントのオーバーハングがGTよりも短くなっているので、短縮工作には少々複雑な手順が必要になる。その切断&切り詰め・再接着の手順は工程写真のキャプションをご参照いただきたい。

ノーズを詰めて初めてわかるバランスの良さ!
一見ややこしい工程に見えるかもしれないが、切断ラインはほぼ全て元々あるスジ彫りなので、再接着後は余計な継ぎ目が残らない。意外に簡単な作業の割には見た目の変化が大きく、改造工作としての満足度は非常に高い。切り詰めた直後には「なんと寸詰まりでダサい!」と感じたTIのボディだが、完成する頃には「このほうが自然なプロポーションだ!」と感じるようになった。人の感覚とはまったく不思議なものだ。

ちなみに、フジミのキットはGT-E・Lだが、後期型TIではTI・L、TI-E・Lの2グレードで内装がGT-E・Lとほぼ同一になるため、作例は1600TI・Lを想定して制作し、インテリアはメーターパネル以外は無改造で使用した。ただ厳密に言うと1600はトランスミッションがマニュアルのみだが、キットはAT仕様なので、実車とは齟齬が出てしまった。作者痛恨のミスである。また、さらに厳密に言うなら、TIのリアサスペンションは4リンク固定式だが、GTはセミトレーリングアーム独立式なので、切り詰めただけで流用したシャシーも実車とは異なるわけだが、これはまあご勘弁いただきたい。

ともあれ、さながらヨーロッパ製実用セダンのように清々しいルックスのジャパンTI、GTとは全く違う個性の作り分けをぜひお楽しみいただきたい。

作例制作・文章=北澤志朗/フォト=服部佳洋 modelcars vol.249より再構成のうえ転載

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