築35年以上が経過した鉄骨造ビル。リノベーション後にシャッターを開けると、そこには別世界が広がっていた……!
東京都の下町に建築された、タイル張りの4階建て鉄骨造のビルが今回のリノベーション・ガレージだ。「文化シヤッター」製電動シャッターを開けると、なんとも雰囲気のあるガレージが現われた。ビルの外観からは想像もつかないアンティークスタイルのガレージは、Sさんが長年思い描いていた理想のガレージだという。リノベを担当したのは、店舗の改装から戸建てのガレージハウスまでを手掛ける、「Root’s-Factory」。代表の根本さんが旧車が大好きで、施主のSさんと10数年前から親交があり、今回の仕事を請け負うことになったのだという。
【写真17枚】施主の持ち物、趣味やその時代背景に合わせたこのディティーリング!
Sさんも絶版バイク、1981年式ホンダ6気筒のCBX1000やKAWASAKI Z1、ハーレー・ダビッドソン・ロードグライドスペシャルを所有するバイクを愛する趣味人で、根本さんとは10年来の友人でもある。根本さんが会社の横に建築したガレージを見て、いつかは自分でもガレージを所有したい、と考えていたそうだ。そして築35年以上は経過するがS造(鉄骨造)のビルをまるごと借りて、会社機能を持たせることに。大家さんに手を入れていい許可を得たことから、リノベーション計画がスタート。ビルの1階はガレージ、2階に事務所、3階に個室、4階に会議室というリノベーション計画は22年7月のことだった。
最初は見積もりサイトで依頼したものの、引き渡しの時間とデザインがSさんの希望に合わず、友人である根本さんに電話をしてリノベーションを相談。アンティークなルート66の看板や、ガレージに飾りたいライトなどを見せながらガレージを注文したところ、上がってきたスケッチを見て即決。予算とすり合わせたうえで、工事はスタートがしたという。
「Root’s-Factory」のガレージは、施主の思考や持ち物、その時代背景に合わせたディティーリングの細かさに特徴がある。壁面に張られた杉材やブリックレンガ、床に施工した塗料など手を加えることで、経年変化を受けたように施工しているのがわかるだろう。この施工は現場で施主のSさんと現物を見ながら手を加えたもので、施主と一緒に”作品”を作り上げるのが基本だという。この技術は経験によるものが大きく、施主のSさんも気に入っているポイントでもある。
8月に引き渡しになった物件は、外観は昔のままであるがシャッターの中はまるで別世界。工事中に、近所からショップができると思われていたぐらいだ。施主のSさんは仕事を引退したらここでカフェをやりたい、と考えるに至ったそうだ。ガレージの施工費はおよそ350万円、時間にして1か月で引き渡しとなっている。新築ではなくリノベーションで手に入れたガレージも、実に味わい深いものとなった。
◆Planning Data
施 主:Sさん
所在地:東京都
構 造:鉄骨造
外装/内装:タイル/杉材、ブリックタイル
車 両:1981年式ホンダ・CBX1000
2020年式ロードグライドスペシャルFLTRXS
設 計:Root’s design office建築設計事務所
施 工:Root’s-Factory株式会社
◆Comment from an Architect
今回のプロジェクトは、時間が決まっていたためできる限りのことを打ち合わせして現場で合わせながら施工させていただきました。だいたい、われわれが手掛けるリノベーション案件は、現場で施主様と確認しながら進めるのでいっしょに作り上げるイメージが最大の売りだと考えています。クルマ、バイク好きの方に喜んでもらえるのが最大の強みですね。
Root’s-factory Co.,Ltd:千葉県大網白里市大網40-5 Phone 0475-77-7114