スプリンター&カンパニーの遺伝子はいまだ息づく! 「メルセデス・ベンツ」博物館収蔵「1899年製 ダイムラー社製商用車」

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メルセデス・ベンツ博物館所蔵のこの車両は当時の最高性能技術を誇っていた

メルセデス・ベンツ博物館に収められたこのシリーズは、その名前がすべてを物語っている。それぞれ驚きや興奮、舞台裏のストーリーを持つこのシリーズでは、自動車、展示品、建築やデザインの要素に焦点を当て、その舞台裏を紹介している。今回は、ダイムラーのガソリンエンジン商用車にスポットを当ててみよう。

No.8/2022:ダイムラー社製電動営業車
パワーアップした「1899年型 ダイムラー商用車」の前面にある穴の空いた円形の部品は、何のためにあるのだろうか。ふるい板の後ろにある吸気口は、モビリティのパイオニア、ヴィルヘルム・マイバッハが発明した筒型ラジエーターのエアダクトである。この発明により、マイバッハはエンジンの冷却を大幅に改善し、ダイムラー製自動車の性能を向上させた。筒型ラジエーターは125年前のフェニックス型に初めて採用され、1897年12月24日に実用新案登録された。同年12月には、「ダイムラー・モトーレン・ゲゼルシャフト (DMG)」社製の自動車型事業用車両が導入された。

【写真12枚】ガソリン自動車史の先駆けは、”馬車の遺伝子”を引き継ぐ! 

進化するDMGはバン・モデルの改良を続けた。メルセデス・ベンツ博物館のレジェンドルーム1「先駆者たち-自動車の発明」の展示は、このモデルファミリーの初公開から2年後の1899年に作られたものである。この電動ビジネスビークルは、500キログラムの積載量を想定して設計された。排気量1,527立方センチメートルの4.1kW(5.6馬力)2気筒エンジンを搭載し、最高速度は16km/hであった。ちなみに1900年の販売リストには、積載量800〜3,200kg、出力は2気筒エンジンが2.9kW(4馬力)〜5.9kW(8馬力)、4気筒エンジンが4.4kW(6馬力)〜8.8kW(12馬力)のビジネスカーが記載されている。

馬車の遺伝子を受け継ぐ革新的なプラットフォーム
最初の販売広告のイラストと比べると、この車はすぐに変更がなされてしまった。1897年当時はまだ、エンジンが座席の下にあり、ステアリングコラムが独立している配達用のバンだった。1899年にメルセデス・ベンツ博物館に展示された車両は、エンジンが前車軸の上にあり、高いボンネットで保護されている。

エンジンの真下には筒状のラジエーターがあり、その中央には始動用のクランクがあり、運転手は風雨から守られないオープンベンチに座っていた。それはまるで、馬車で荷物を運ぶ馬車のようなものだ。運転席の前には縦長のステアリング・コラムと木製のステアリング・ホイールがある。前方には縦長のステアリング・コラムと木製のハンドル、右側にはシフト・ゲートを開けてギア・レバーを操作する。大きなホーンは交通渋滞の中で注意を引く。

動力伝達とゴム車輪
エンジンの動力は、2つのチェーンホイールと2つのローラーチェーンによって後輪に伝達される。この点が、1896年以降に製造されたピニオン駆動のDMGトラックと異なる点である。スポーク付きの木製ホイールは、フロントよりもリアの方がかなり大きく、ソリッドラバータイヤが全周に装着されている。19世紀末の商用車では、配達用トラックやローリーがスチールタイヤの木製の車輪で走ることが多かったので、これは本当に快適な装備であった。ダイムラーは1897年、このソリッドラバーホイールに350~400マルクの追加料金を課している。DMGは、積載量が1,200キログラムを超える車両には、ゴム車輪を使用しないよう勧告している。DMGの販売リストには、「これらの大型ワゴンには、ゴムタイヤは推奨されません」と書かれている。

5人の受賞者
商用車は、柔軟なロジスティクスを実現するエキスパートであった。この強みは、今日でもメルセデス・ベンツのバンを特徴づけている。「ダイムラーの商用車は、自動車の中でも特別な存在です」と、DMGは1897年に広告を出した。この販売広告は、配達用バンの多用途性を強調していた。荷台は箱型ボディ、プラットフォーム、ベンチシート(遠足や旅客輸送用)としても使用可能であった。カーンシュタットに本社を置く同社は、この電動ビジネスビークルを5種類のバージョンで提供した。積載量は500〜2,000キログラムだった。当初は2.2kW(3馬力)〜7.4kW(10馬力)のエンジンを搭載していた。

ミニからマキシへ。
全長(3,400〜4,600mm)、全幅(1,700〜1,800mm)、重量(1,000〜2,500kg)は、積載量に応じて変化するビジネス用電動車両。このことは、ごく最近導入されたこの車両コンセプトの多様性を強調している。そのわずか1年前、ベンツ&シーがマンハイムで同様の車両を発表し、「デリバリー・バン」によってこの分野を確立した。バンづくりの伝統 メルセデス・ベンツの小型商用車のサクセスストーリーは、1896年と1897年の最初のバンから、スプリンター、ヴィトー、シタンに至るまで、幅広く展開されている。その前身は、19世紀末に内燃機関によって柔軟で迅速なロジスティクスに革命をもたらした人々だ。

今日、メルセデス・ベンツ・バンは、貨物輸送、手作業、配送サービスなどにおいて、持続可能で排出ガスのないモビリティの新時代を象徴する存在となっており、メルセデス・ベンツ・ミュージアムには、この長いサクセスストーリーを代表する車両が展示されている。

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