M専用開発のハイパーPHEV、すべてに規格外。さらなる弩級モデルもすでにスタンバイ!?

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果たしてMはいま何を考え、どこへ向かおうとしているのか――。他社のSUV成功事例を踏まえ、満を持してリリースされた一台とは。

BMW M社が50周年を節目に、独自に企画開発したモデルは「M2」だけにとどまらない。2019年に発表したヴィジョンMネクスト、すなわち「M1」の後継モデルとして、誰もが新世代スーパースポーツの登場に胸を躍らせていたのだが、意外にもその正体は高性能クロスオーバーだった。

「もはや2シーターボディが、スポーツカーに求められる絶対的な形態だった時代は終わりました。ポルシェもランボルギーニもアストン・マーティンもSUVで成功し、その流れはフェラーリ・プロサングエの登場で決定的になったともいえます。そこで、我々もクロスオーバーボディに、当社が持ち得るダイナミックパフォーマンスを与えることにしたのです」

冒頭での疑問に、M社のXMプロジェクトリーダー、スヴェン・リッター氏は単刀直入にこう答えてみせた。では早速、M専用開発となる高性能クロスオーバーSUVの詳細を見ていくことにしよう。

【写真11枚】十分以上のゆとりと上質な素材のリアコンパートメント「Mラウンジ」に驚き! 

ボディサイズは全長が5,110mm、全幅が2,005mm、全高が1,755mmで、ホイールベースは3,105mmと堂々たるもの。フレキシブルなアーキテクチャー、CLARをベースとしていることは間違いなく、全体的なサイズとシルエットはすでに市販されているiXのそれに近い。ただし、ゴールドに輝く8角形の大型キドニーグリルはダミーではなく、あくまでV8エンジンに冷却気を送るためのもの。フレームは最新のBMWモデルと同様、LED式に発光する。

そのグリルからボンネットにかけてはパワードームが形成され、M社のプロダクトであることを主張する。また、ライトユニットには、フェイスリフトを機にX7で導入されたフォーアイズデザインを採用。ボンネット先端に薄いデイドライビングライトを、そしてその下にはLEDヘッドライトがレイアウトされる。

サイドに回ると、M専用デザインのドアミラー、そしてキドニーグリルと同じゴールドのウインドーフレームがグリーンハウスを取り囲んでいるが、これはリアウインドー上部左右のBMWエンブレムと同様に、かつてのM1へのオマージュ。ここ以外のリアエンドは比較的穏やかな表情で、iXのそれに近いデザインが与えられる。

パワーユニットはまさにM社の真骨頂といえ、あえてBEVではなく、最高出力489ps、最大トルク650Nmの4.4L V8(S68)に、197psと280Nmの電気モーターを組み合わせたハイフォーマンスPHEVを採用する。システム最高出力は653ps、同最大トルクは800Nmに達し、8速ATを介しての0↓100km/h加速は4.3秒、最高速度は270km/hというハイパフォーマンスを発揮してみせる。なお、床下に搭載される容量25.7kWhのリチウムイオン電池により、最大82〜88km、最高速度140km/hのEV走行が可能という。

インテリアはiXのそれに準ずるが、驚きはリアコンパートメントで、十分以上のゆとりと上質な素材でパッセンジャーを迎え入れてくれる。「Mラウンジ」と名付けられたこの空間は、XMを象徴するもうひとつの顔といえるだろう。

XMの生産は北米のスパータンバーグ工場で今年末から始まり、2023年4月から世界市場に向けて出荷される予定。価格はまだ発表されていないが、おそらく約17万ユーロ(約2500万円)と予想される。ところで、M社のサプライズはこれで終わらない。フランク・ファン・メール社長は「レッドラベル」と命名するトップモデルの存在をすでに明らかにしているのだ。最高出力は748ps、最大トルクは1,000Nm。次の50年へ向けて、M社のパワフルな未来はもうスタートを切っているのだ!

リポート=キムラ・オフィス フォト=BMW M GmbH  report : Kimura Office photo : M GmbH

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