V6ターボ+PHEVのフェラーリ296GTBを日本公道試乗! フェラーリが提案する新時代のスーパースポーツの実力は――?

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フェラーリが提案する新時代のスーパースポーツ

フェラーリのロードカーとして初の6気筒エンジンを搭載したモデルが登場。その名は296GTB。同モデルは、シリンダーバンク角が120度のV6ターボエンジンに、電気モーターを組み合わせプラグインハイブリッド。一体どんな走りの世界をみせてくれるのか興味は尽きない。

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V型6気筒とは思えぬスムーズな出力特性

初のV型6気筒エンジンを搭載するフェラーリとして、大きな話題をさらった「296GTB」が、ついに日本上陸を果たした。残念ながらその試乗は雨の中でとなってしまったが、だからこそ垣間見えたその精緻さに、筆者はこれが間違いなく次世代を走るフェラーリだという印象を得た。

その核となるのは、なんといってもパワーユニットの出来映えだ。当然これが「V6」と聞くだけで、興ざめする方もいるだろう。さらにはモーターとリチウムイオンバッテリーを搭載する「プラグインハイブリッド」であることに、ネガティブな印象を持つ向きもあるはずだ。しかしこのパワーユニットは、これまでのフェラーリを否定するどころか、ポジティブにその方向性を示している。

まず296GTBを走らせて驚かされるのは、この「F163」ユニットが、いわゆるV型6気筒とは思えぬほどスムーズな出力特性を得ていることだ。その理由は、まず120度のバンク角にある。これによって向かい合うピストンの爆発が等間隔で起こり、かつ排気干渉を防ぐことができるのだ。

もちろんそれゆえエンジンの幅は、広くなる。だから一般的な乗用車ではこのバンク角を採用できないわけだが、296GTBは余裕ある全幅がそれを可能とした。なおかつそのバンク内に2機のタービンを配置することで、吸気効率を上げながらエンジンそのもののコンパクト化も図られている。

ご存じの通りそのパワーは、663psという呆れた数値である。そして電動ブーストを加えたシステム出力は、830ps/720Nm(!)を叩き出すという。

しかし実際に走らせた印象は、ひたすらに力強く、扱いやすい。さらにハイブリッドモードを試すと、知らず知らずの内に張り詰ていた緊張が、一気に和らいだ。それまで低く唸っていたエンジンが”ストン!”と落ちて、信号待ちからスタートまでモーターだけでこれをこなしたのである。

慣れ親しんだはずのEVモードによる静粛性も、フェラーリで体験すると恐ろしく新鮮だ。そしてこれなら、周りに気取られることもなく早朝に愛車をガレージから引っ張り出し、真夜中に帰ってくることもできると連想した。純粋なEV走行可能距離は25km、実際はさらに少ない距離となるだろうが、今はそれでいい。現代でこのエンジンを楽しむためのアシストとして、このモーター駆動が得られれば、それでよいのだと感じた。

体が幾分慣れたところで、高速エリアまで足を伸ばした。マネッティーノは「RACE」まで。eマネッティーノの解放も控えるコンディションだったが、高回転まで回したF163ユニットの滑らかさ、そのパワー感は素晴らしかった。電子制御やトラコンが入ったままでも、296GTBはインジケーターひとつ光らせることなく安定してコーナーを駆けぬけた。

V6搭載で短縮されたホイールベース、これがもたらすステア応答性はクイック過ぎずナチュラルで、運転に没頭するほどクルマとの一体感が増して行く。まさに路上のF1を、エンターテイメントとして楽しむことができる。

ひとしきり運転を楽しみ、ガレージに戻して充電口にプラグを差し込む。その全てがまるでゲームのようでありながら、五感には確かな感触が残っていた。心地良い疲れが、とても贅沢だと感じた。

【Specification】フェラーリ296GTB
■全長×全幅×全高=4565×1958×1187mm
■ホイールベース=2600mm
■トレッド=1665/1632mm
■車両重量=1470kg
■エンジン種類/排気量=V6DOHC24Vツインターボ+モーター/2992cc
■最高出力=663ps(488kW)/8000rpm
■最大トルク=740Nm(75.5kg-m)/6250rpm
■モーター最高出力=167ps(122kW)
■モーター最大トルク=315ps(32.1kg-m)
■燃料タンク容量=65L(プレミアム)
■トランスミッション=8速DCT
■サスペンション(F:R)=Wウィッシュボーン:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=245/35ZR20:305/35R20
■車両本体価格(税込)=36,780,000円

フェラーリ公式サイト

フォト=郡 大二郎/D.Kori ルボラン2022年11月号より転載

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