アルファ ロメオ ジュリアで堪能するドライビングプレジャーの極致
スポーツセダンの筆頭格、アルファ ロメオ ジュリア。今回は、そんなジュリアの真価を改めて浮き彫りにする命を司り、ル・ボラン副編集長の佐藤が1泊2日のロングドライブへと繰り出した。高速道路やワインディング路からだけでなく、市中のドライブからもジュリアの美点を感じ取れ、ドライビングプレジャーの原点を知る旅となった。
【写真38枚】ドライビングプレジャーに溢れたスポーツセダン、アルファ ロメオ ジュリアの詳細を写真で見る
スポーツセダンを謳うモデルはプレミアムブランド各社からリリースされるが、それらはグレードの一部であったり、ステーションワゴンなど他のボディタイプを用意していたりと、選択肢のひとつとしてスポーツセダンが存在する。
しかし、アルファ ロメオ ジュリアはそれらとは真逆の路線を突き進む。エントリーの「Ti」グレードから上位グレードまで、シャシーやハンドリング性能、エンジン特性などスポーツ性を高めた設定となり、ボディタイプもセダン一択となる。
クルマの未来は電動化と自動化が既定路線であるならば、現行ジュリアがドライバーやパッセンジャーにもたらしてくれるのは、内燃機関時代の純粋なドライビングプレジャーなのかもしれない……。そんな想いを抱きながら、8月の終わりに東京都内から長野県白樺高原にある女神湖を目指す1泊2日のドライブの旅をすることとなった。
今回の相棒「ジュリア2.0 ターボ ヴェローチェ」の運転席に収まり、ステアリングを握りながらコクピットドリルを行う。電動化とホスピタリティの充実が昨今インテリアのトレンドと言えるが、ジュリアはシンプルかつ上品で引き算の美学を熟知したデザインと言える。
操作系のスイッチ類はドライバーオリエンテッドな造形や配置となり、それを象徴するのが大型のパドルシフトだ。引いた時のカチカチっとした感触も操る楽しさを演出し、このようなところからもジュリアがドライビング・ファンに力点を置いていることがうかがえる。
現行モデルから新たに搭載された純正ナビゲーション・システムに目的地「女神湖」をセットアップしたところで旅はスタート。まずは、首都高速道路から中央自動車道にアクセスし、諏訪ICまでの約200kmを駆けぬける。
最高出力280ps、最大トルク400Nmを発揮する直列4気筒ガソリン・ターボは、フィアット・パワートレイン・テクノロジー(FPT)が独自開発したマルチエアシステムを採用。もちろん、タウンスピードにおいて過不足を感じることはないが、このエンジンの本領は高速域で発揮される。高回転域で伸びのあるフィーリングは爽快で、組み合わせるトランスミッションとの相性も素晴らしく、実にレスポンシブル。パワートレインが秀逸なクルマほど飛ばさなくても走りの満足度は高い。単調になりがちな高速道路の移動を、スポーツカーに在らずとも、右足の使い方次第でファンなドライビングステージに変えられるのはジュリアの魅力といえるだろう。
また、ハイウェイアシストシステム(HAS)を作動すれば、任意の速度での走行や、車線中央を維持するステアリング支援なども加わり、快適なクルージングも可能となる。
走り出したのは平日の朝だったこともあり、午前中には諏訪湖周辺に到着。見どころや観光スポットのリストアップは、ここでは割愛させていただくが、諏訪大社・上社の前宮と本宮に立ち寄り、境内と御柱を見学。神職の方によれば、夏と秋の週末や祝日は終日混雑するので、駐車場もすぐに満車となるそう。そして、地方といえども市中の観光地の駐車スペースは往々にしてタイトなことは多いが、ジュリアの全長4655mm×全幅1865mmのボディサイズは、駐車時にストレスを感じない寸法であることも改めての気づきであった。
また、諏訪大社を散策するときに周辺市街地を走ったが、回頭性も良好で扱いやすく、取り回しの良さもジュリアの美点であると感じられた。
蛇足だが、今回の旅では昼食として、諏訪湖周辺の名物であるうなぎ屋と蕎麦屋に立ち寄ったが、予約必須の人気店から地元住民で賑わう庶民的な店まで、名店揃いという印象。旅程や時間、予算に合わせて、この2つのグルメを楽しむことを是非オススメしたい。
走る楽しさにダイレクトに訴えかけるクルマ
昼食の後は、女神湖を目指して霧ヶ峰と車山を通る県道40号線(白樺湖小諸線〜ビーナスライン)を駆けぬけるドライブのメインステージへと突入。
エコドライブを心がけてきたので走行モードはN(ナチュラル)を選択していたが、ここからはD(ダイナミック)に切り替え、トルクのリミッターは「OFF」、ステアリングは「スポーツ」、ギアシフトも「スポーツ」と制御がスポーティな仕様へと様変わりする。
序盤からタイトなヘアピンカーブが連続するワインディング路となるが、ジュリアの美点であるクイックなステアリングフィールを堪能するのにはうってつけであった。大型のパドルシフトがステアリングボスに固定されている機構により、シフト操作が定位置で行えるのもレーシングカーよろしくな設定でドライビング・ファンを掻き立ててくれる。
この辺りは積雪地だけに路面環境は決して良いとはいえないが、イヤな振動や突き上げなどの雑味は抑え込まれ、プレミアムセダンとしての役割もきっちりとこなしていた。
そして、コーナリング前でブレーキをつまめば、ギュッと的確な制動力が働きフロントタイヤにしっかりと荷重がかかり、機敏かつイメージ通りにコーナーで頭の向きを変え、適度にロールを許してから、スムーズに立ち上がりコーナーをぬけて行く。これは、秀逸なジョルジョプラットフォームの恩恵によるところも大きいが、例えステアリングやブレーキを乱暴に操作してしまっても、クルマの制御システムが正しく立て直してくれるから、わずかな破綻も生じさせない。
それでいて、自分でクルマをコントロールしている感覚を持たせてくれるから、自ずと走ることに夢中になってしまう。様々なプレミアムブランドのスポーツセダンを駆ってきたが、ジュリアほどダイレクトに走る楽しさやクルマとの一体感を訴えかけるクルマは、そう見られない。
仕事柄、プレミアムクラスの電動化モデルに乗る機会も多いが、クルマの動きに雑味がなくスムーズの極みのような印象を受けることが多い。しかし、エンジン車に慣れ親しんだ身としては、クルマが物語る走りのドラマが恋しくなるのは事実で、やはりジュリアは走って楽しいクルマなのだと、心底思えるのだ。
ワインディング路を駆け上がり、霧ヶ峰スキー場を通過したあたりから壮大な景色はハイライトを迎える。夏は新緑、秋はススキを存分に楽しめる高原道路から白樺湖を通り、目的地の女神湖へと到着。この日、宿泊させてもらう「ホテル コロシアム・イン・蓼科」に停車したジュリアのエクステリアに目を向けてみると、ことさらに先進性を前面に押し出した昨今のデザインとは一線を画すことにも気づく。インテリアと同様、引き算の美学を踏襲しながらも、空力性能といった機能美をフォルムに投影することで、走ることが得意なことを訴えかけるデザインに仕上がっているのだ。
「ホテル コロシアム・イン・蓼科」は、避暑地としてだけではなく、オーナーシェフの安藤孝氏による蓼科のフレンチが楽しめるとあって、まさにこの頃がハイシーズン。8月の週末は毎年訪れる常連客から予約が埋まっていくという。
「10月末から紅葉しますが、この辺りは真っ赤に染まるのでとても見ものですよ。その頃もまた常連さんが多くいらっしゃいます」と、スタッフの方が教えてくれたが、秋の景色と味覚を楽しめる紅葉の頃、再び訪れるも良いかもしれない。
【問い合わせ先】コロシアム・イン・蓼科
〒384-2309 ⻑野県北佐久郡⽴科町芦⽥⼋ケ野410-1
TEL:0267-55-6341
hp:https://resto-ando.jp/
その時の相棒もまた、冬支度の荷物を積み込みながらもエキサイティングなワインディング走行や快適なクルージングに期待するなら、きっとジュリアが適役なのだろう……と、そんな心算が早速も芽生えるのであった。
【SPECIFICATION】ALFA ROMEO GIULIA 2.0 TURBO VELOCE
■全長×全幅×全高:4655×1865×1435mm
■エンジン形式:直列4気筒マルチエア16バルブインタークーラー付きツインスクロールターボ
■総排気量:1995cc
■最高出力:280PS/5250rpm
■最大トルク:400Nm/2250rpm
■変速機:8速A/T
■メーカー希望小売価格(税込):6,460,000円
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「極限」を意味する限定車
英語のEXTREME(エクストリーム)に相当する“極限、極致”を意味するイタリア語“ESTREMA(エストレマ)”の名を冠する限定車が2022年7月に登場している。スポーツ性を際立たせた特別なモデルとして、カーボン基調のさまざまなアイテムを備えており、同社のSUVであるステルヴィオと共に台数限定で販売される(ジュリアが70台、ステルヴィオは80台限定)。
アルファ ロメオ ジュリア エストレマ公式サイト
PROFILE:佐藤 玄
今回は旅のナビゲーターを務めたル・ボラン副編集長。旅行記やロングドライブ企画を得意とし、サーキットでのスポーツ走行より、走る道に合わせてドライブを楽しみたいグランドツーリング派。よってクルマはサルーンやステーションワゴンを愛好する。
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