バンパー埋め込みテールがアメリカンなハードトップ
国産車の世界において、現在ではジャンルごとその存在がなくなってしまった”ハイオーナーカー”。往年の名車たちを振り返る際に、無視することのできないカテゴリーだが、その原点とも言えるのが日産ローレルである。ブルーバードとセドリックの間を埋める新車種としてローレルがデビューしたのは、1968年のこと。この頃のセドリックはまだまだ後席に乗る需要の方がメインであったから、オーナーカーとしてはブルーバードのその上、という意味で、ハイオーナーカーという言葉ができたのであろう。
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同じように、コロナとクラウンの間を埋める存在として、トヨタのコロナ・マークⅡも同時期に生まれているが、ローレルの方が半年ほど登場が早かった。この初代ローレルは、技術的な面では510ブルーバードとの共通点が多かったが、先行して開発の進んでいたプリンス系のローレルからその内容を流用し、先にブルーバードが発売されたのだという。そのためか、この2車はスタイリングの上でも共通性が高かった。初代ローレルは当初4ドア・セダンのみであったが、1970年には2ドア・ハードトップを加えている。
この初代ローレルがフルモデルチェンジを行い、2代目・C130型系へと進化したのは、1972年。先代同様に4ドア・セダンと2ドア・ハードトップのみを設定、営業用モデルがラインナップから排除されていたのも初代と同じだ。そのボディラインは当時の日産車の流れを汲む、小型化したセドリック/グロリアとでも言うべきもの。ウェストラインがカーブを描く、所謂コークボトルラインが特徴だが、さらに2ドアは、当時のアメリカ車のようにテールランプをリアバンパーに埋め込んでいたのが独特だった。
シャシー周りについては、数ヶ月遅れて登場したC110系スカイラインと基本コンポーネンツを共用していたが、ホイールベースは2670mmと、スカイライン(GT系)より60mm長い。サスペンションはフロントがストラット、リアがセミトレ(2ドア)/リーフ(4ドア)。エンジンは1.8L 直4のG18、2L 直4のG20、そして2L 直6のL20を用意。トップグレードのSGXにはツインキャブ仕様のL20が搭載されていた。さらにデビュー翌年には2.6LのL26搭載車を追加、のちにG18はL型4気筒のL18に変更されている。
1977年にはモデルチェンジで3代目・C230型系へと生まれ変わったが、C130の人気は、むしろ型遅れとなってから高まったと言ってよい。その迫力あるスタイリングから、族車として異常なほどの人気の高さを獲得したのである。これは、前述のように兄弟的存在であるスカイラインと比べると、サーフィンラインという邪魔な存在がない分、太いタイヤを履かせるのが容易だったという理由もあったようだ。
マルイ製キットをベースにアオシマのパーツも使用
そんなC130型ローレル、その人気の高さから、新車当時だけでなく1980年代になってもプラモデル化されることがあった。現在でも入手可能なアオシマ製1/24スケールモデルなどはその代表的な存在であるが、同時期にリリースされ、その出来の良さから高評価されつつも、もはや貴重な絶版キットとなってしまっているのが、東京マルイ製1/24である。このマルイ製キットを丁寧にノーマル状態として仕上げたのが、ここでお目にかけている作例だ。
マルイのローレルは実車のイメージを的確に捉えたボディが特徴で、基本的にはノーマルにも組めるキットなのだが、ホイールは社外アルミしか付属しない。そこで、作例ではアオシマのローレルからノーマルホイールを流用。旧車らしい風情を醸し出す細身のタイヤは、日東製フェアレディSR311にセットされているミシュランを使用している。
それ以外にも、作例はキットの持ち味を殺さない範囲で各部にディテールアップを施している。外観のみならずステアリングホイールの径にもこだわるあたり、参考にして頂きたい。なお、すでに述べたようにボディ形状はとても良好なのだが、実はホイールベースが2、3mm短いようだ。あるいはこのあたりを勘繰ってみると、シャシーを共用した何か別の製品の予定があったのかもしれない。