1985年に登場した2代目マツダ・サバンナ RX-7(FC3S型)は、先代SA22Cの時代から、FRでリトラクタブル・ヘッドライトを備えたスポーツカーということもあり人気を博した。走り屋に重宝されすでに30年以上が経過しているクルマだけに、近年中古では修復歴ありの個体も多く、程度のよいものは300万円以上で流通しているようだ。当時は、イメージが近似したポルシェ924/944を引き合いにプアマンズ・ポルシェと称されることも多かったが、他に類を見ないロータリー・ターボのシームレスな加速と軽いボディはときには本家ポルシェをも凌駕。アフターマーケットパーツも充実しボルトオンキットで簡単にパワーアップでき、エクステリアも自分流にカスタムできるのも魅力のひとつであろう。
“実車脳”基づいて制作
さて、このRX-7(FC3S型)の模型ではタミヤとフジミがいち早く模型化、のちにアオシマも加わって、各バリエーションを含めると夥しい数のキットが存在する。ここでは改造プラモデル専門誌「モデルカーズ・チューニング」の中から、外装、内装、さらにはメカニカルパートにいたるまでトータルで作りこまれているという意味で、間違いなく”一賞”といえるRX-7を紹介する。制作スキルもさることながら、その制作アプローチが、実車がより速く筑波を走るためにはどうすべきかという”実車脳”基づいている点がユニーク。イメージは「筑波1分切りを標榜するタイムアタック仕様」である。筑波サーキットのコース2000は一分切りが速さの指標とされている。ビルダーの若尾さんのレポートによれば、ロールケージとガゼットの合わせ技にしたのはFCの車体の剛性の低さを補うためで、安全タンクやコレクタータンクを装備したのは横Gへの耐性を向上させるため。さらに自作したホイールにいたっては「バネ下重量を意識して」とのこと。たかがプラモデルではあるが、ロジカルに”妄想”して作りこむことも楽しみ方のひとつであることを教えてくれる。
なんとホイールはプラ棒で製作!
アオシマのキットをベースに、RE雨宮のFULL COWL-PROをイメージしたバンパーをスクラッチして固定式の丸目4灯を組み込んだ他、ロケットバニー風のオーバーフェンダーやフロントのディフューザー類、GTウィングもすべてプラ板で自作。インテリアも自作のガゼット付きロールケージ、ディテーリングされたコックピットまわり、各トリムが外されたドンガラ内装も実車の雰囲気を再現。エンジンも補器類を自作した他、V配置のインタークーラー&ラジエターなど実車のトレンドに則って仕上げている。一番の圧巻は、何とプラ棒を駆使してフルスクラッチしたというBBSのRI-Dホイール。これだけ手が入っているにもかかわらず、ゴチャついたイメージもなく、清潔感が溢れていることに驚かさる。驚きの各部ディテールは、ギャラリー写真から是非ご覧いただきたい。
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