東京都江東区豊洲にあるBBQ施設「WILD MAGIC」で、Jeep 主催のプログラム「Jeep Real Grill」がメディア向けに開催された。低温でじっくりと時間をかけて肉を焼きあげることを意味する 「low’n slow」 をコンセプトとするこのイベントは、本場アメリカンBBQを楽しむプログラムで、ジープの新型ピックアップトラック「グラディエーター」のプレス試乗会とあわせたものだ。ジープとBBQと聞いただけで、何やら楽しそうな組み合わせだが、Jeepは誕生以来、本物の自由と冒険をコンセプトに、米国カルチャーに深く溶け込んでいることから、彼らの生活に根付いた本場アメリカンBBQを体験できるという内容であった。開催場所の「WILD MAGIC」はエアストリームが配置されるなどアメリカナイズされた屋外施設で、特設会場内にはグラディエーター、ラングラー・アンリミテッド、レネゲードが並び、会場内には用意されていたBBQの良い香りが立ち込めていた。
BBQが焼きあがるまでの時間は9時間ということで、BBQマイスターでもある、インドアジア太平洋地域 セールスマーケティングオペレーション 上級副社長のビリー・ヘイズ氏自ら、前日深夜に食材を準備。専門の調理器具を使って骨付き肉や大きな塊肉をグリルし、ジューシーで柔らかい肉を当日のゲストに振る舞った。
ピックアップ市場のない日本にセグメントを作る
ステランティスジャパン 代表取締役社長 兼 CEOのポンタス・ヘグストロム氏によると、今回のイベントは、ジープの象徴的なクルマを試乗するだけでなく、ジープのブランドそのものを感じてもらうために開催したとのこと。日本におけるジープコミュニティは、この10年で7倍にも成長。ブランドを象徴するモデルである現行型ラングラーは4年前に発売されたが、毎年のように販売記録を更新している。ラングラーはクールなクルマだが、グラディエーターはクールの極みと呼べるクルマで、去年11月の受注開始以来、ショールームに一台もクルマがないにも関わらずこれまで、400台超ものオーダーを獲得しているとのこと。全長5.6メートルもの巨大なサイズで、そもそもアメリカのようなピックアップ市場がない日本に、なぜグラディエーターを導入したのかについては、新しいセグメントをイチから作り出そうとしているから。また、ジープコミュニティは、グラディエーターの使いやすさや荷台の可能性を見出してくれると信じているのだそうだ。1941年の誕生以来、常にパイオニアであり、他の人がいけないところにも人を連れて行ってきたjeepは常識を覆すブランドであり、新しい境地を切り開くブランドでもあると語っていた。
ジープが売れる理由はコミュニテイーの増加によるもの
コミュニケーションマネージャーの新海宏樹氏によると、ジープはコロナ禍でも成長し、売上の4割をラングラーが占め売り上げを牽引しているとのこと。しかし、ジープが単に売れているだけでなく、ラングラーやジープを楽しんでいるコミュニティーが増えているからだそうだ。同社はオーナーが集うオフロードのイベント、WEBキャンペーンなど、コミュニティーの強化につながるマーケティング活動を開催。例えば、オーナーのフォトコンテストでは、オーナーの写真を送ってもらいコンテストにするほか、写真をアルバムにしてお届け。最近開催したジープ・アドベンチャー・アカデミーというオフロードイベントでは、40名の実施に200名の応募があったという。今回のイベントのため特別に作ったジープタブロイドマガジンには、BBQレシピの秘密などが記載された古新聞風の凝ったデザインがゲストを楽しませていた。
BBQマイスターでもあるビリー・ヘイズ氏は3代続くJeepラバー
今回のイベントは、アメリカのピックアップの文化に精通し、アメリカに一番根付いているアメリカンBBQカルチャーの達人でもある、ビリー・ヘイズ氏(ステランティス インドアジア太平洋地域 セールスマーケティングオペレーション 上級副社長)がイベントの企画者であり総監督を務めたとのことだが、彼はプライベートでも祖父の代から3代に渡る根っからのJeepラバー。祖父はアメリカ海軍をリタイヤし、その後32年間ジープに乗り続け、彼は小さい頃に乗った祖父のワゴニアSJのタバコの匂いをまだ覚えているそう。また、アメリカ人がピックアップ好きな理由は仕事、遊びのほか、他人に手を差し伸ばすことが究極の自由だと感じているからと語っていた。自分達が計画する趣味や行事のためにピックアップがあるとお互いに助け合うことができるほか、一緒に色々なことが経験できる。ピックアップがあると人生はよりよくなる(Life is a better with pickup)のだそうだ。また、大昔、アメリカ人の多くの人々の夢は単純で、大きな土地を得て農場経営をしたいというものだったそう。ただ、それには多くの労力がかかり、多くの収穫を得たとしても、それを市場に運ぶ道具が必須だったため、ビックアップはアメリカのライフスタイルにはなくてはならないものだったそうだ。
アメフトのもう一つの楽しみ方、テールゲーティングパーティとは?
アメフトの試合当日の早朝から試合が終わった後まで、家族や仲間で楽しむのがテールゲーティングパーティ。ピックアップの荷台にBBQアイテムや飲み物をたくさん積み込んで、試合を観戦しながら一日中BBQを楽しむというものだ。アメリカ人にとって、テールゲーティングができるクルマほど重要ものはないそう。グラディエーターといえば、オフロードカーというイメージがあるが、テールゲートカーとしてもピッタリということである。例えば、カリフォルニアに住むjeepオーナーのショーンが所有する2020グラディエーター・ルビコンは荷台にDIYで燻製器を搭載したスペシャルマシンで「ここ10年間料理を楽しんできたが、周りに何もないアウトドアで料理をすることは素晴らしい!」と語っているという。
ポークリブやチキン、ビーフリブアイフィンガーなど絶品のBBQ!
さて、今回ゲストに振る舞われた料理は、ポークリブ、ブルドポーク、ビーフリブアイフィンガー、チキンといった4種のBBQほか、副菜でマック&チーズと呼ばれる、マカロニ&チーズ、そして下味についた野菜というラインナップ。アメリカンBBQマイスターのビリー・ヘイズ氏は、日本で快適生活研究家として、またアウトドアマンとして有名な田中ケン氏にレシピを伝授(彼は真っ赤なラングラーのルビコンを所有)。アメリカンBBQと日本のBBQの違いについて、日本のBBQは韓国の焼肉に近く、タレに短時間で漬け込みすぐに焼くというものだが、アメリカでは専用の蓋のついたグリルにより低温でじっくりと調理するとのこと。刷り込む調味料やマリネの仕方も異なり、何より温度管理が重要なのだそうだ。さらに、アメリカのBBQグリル市場は64億ドル(約8384億円)という規模で、カンサス、カロライナ、メンフィス、テキサス州で肉の好みが違い、カロライナではブルドポーク、メンフィスはリブ、テキサスではブリスケットとソーセージカンサスは何でもありと、州によって好みが違っていると語っていた。
今回、ビリー・ヘイズ氏は奥様と、新海氏と共にプルドポークを一晩中準備。スモーキングは何と9時間で、肉がうまく解れて、裂けたら完成ということだったが、確かに絶品であった。参加者には今回用意されたタブロイド誌にレシピが掲載されていたが、何より重要なのは愛と情熱だとか。そのほかにも、グラディエーターを実際に使った、アメリカ流のピックアップライフを紹介してくれたビリー・ヘイズ氏。この日はJeepとその世界観に浸れた一日であった。