NASCARの王道、リチャード“キング”ペティのリーガルを作る!サルビノスJR製プラモ「1981ビュイック」【モデルカーズ】

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7回目のデイトナ500優勝を飾ったペティのリーガル

リチャード・ペティ――“キング”の愛称で知られる、伝説的なレーシングドライバーだ。NASCARでのドライバーチャンピオンは7度、通算200勝を挙げるなど、その偉業は今も語り継がれている。1937年生まれのペティだがNASCARでのキャリアは1958-1992年、このリーガルをドライブしたのは1981年シーズンのこと。ドライバーとしては黄金期を過ぎた頃合いであったが、一方NASCAR自体はこの時期、大きな問題に見舞われていた。それは、ベース車がいずれもダウンサイジングを行い、ホイールベースが短くなってきたことだ。短いシャシーでは安定性が低下し危険度が増すということで、数年前のモデルでの出場がしばらく許可されていた。しかしこれも1980年シーズンまでで、1981年からは、ホイールベースの規定がそれまでより5インチ(127mm)短い110インチ(2794mm)へと変更。ドライバーたちは戦々恐々としたということだ。それだけでなく、当時のデザイントレンドである直立したリアウィンドウが空力性能を低下させていたことも問題だったらしい。

この年のペティは当初、アイアコッカ会長の強い要望でクライスラー車を採用することになっていたが、ダッジ・ミラーダによるテストは非常に思わしくなく、ビュイック・リーガルでの参戦となった。すでに最盛期は過ぎたペティだったが、この年はデイトナ500を含め3勝を挙げ、特にデイトナ500では7回目(そして最後)の勝利を刻み、彼の偉業のひとつを形成することとなった。

リーガルはビュイックの中でもインターミディエイトに属するモデルで、シボレー・モンテカルロなどの兄弟車として1973年に登場、1981年型は2代目となる。その登場は1978年型からだったが、この年式からは傾斜の強いフロントマスクにリデザインされ、NASCARレースで威力を発揮した。その活躍にちなんで、リーガル・グランナショナルなる高性能モデルがラインナップに加わったことでも知られる(こちら参照)。

モノグラムの旧キットをベースに新規デカールなどをプラス
さて、ここでご覧頂いているのは、2018年登場の新興メーカー、サルビノスJRモデル製1/24スケール・プラモデルのリーガルを組み立てた作品である。これまで出ていなかった1970-1980年代NASCARのラインナップを充実させると宣言した同メーカーによる、キング・ペティのモデルだ。キット自体はモノグラム製1982年型ビュイック・リーガル(No.2204、2205 1983年製)を流用、これにパワースライド製デカールを付属させたもの。これは2020年の製品だが、同社はペティものを含め着々とリリースを続けている。

以下制作について述べていくが、まず仮組みしてみるとウィンドウがボディとフィットしないので、ボディ側をシアノンで修正してパーツと合うようにした。透明パーツ一式はモノグラムとは違う金型で成型されており、リア・クウォーターウィンドウが新たに追加されている。モノグラムのリーガルは発売当初から3バリエーションあり、その後も何度か再販されているようで、金型が傷んだのか改修された可能性もある。また、シャシーの一部やシート取り付け部もディテールが違っていて、シートの収まりが悪い。ここはシート側を修正した。組み立てにあたっては、ロールケージの一部が半円でモールドされていて、インストでは塗装した後に貼り合わせるようになっている。この継ぎ目はさすがに不自然なので、作例では塗装前にメインのロールケージを組み立て、継ぎ目の修正後に塗装した。従って、シャシー組み付けの際はロールケージの内部のパーツを先に取り付けて、ダッシュ関係は最後に取り付ける。足周りは、パーツ構成の関係でタイヤが4点接地しにくい。平らな板の上(できれば定盤)で、まずフロントサスをそのまま組んでから、リアアクスルの取り付けを確定する。そのため、コイルスプリングのピンを受けるシャシー側の穴を先に貫通させておき、組み立てたリアサスペンションをルーズな状態に取り付け車高を決め、4点接地を確認してからコイルスプリングを固定する。その後、ショックを付けてリアサスペンションを完全に固めると良い。ッキパーツはこのメーカーの特徴の本格的なクロームメッキ仕上げで、その下には銅メッキが施されている。漂白剤は全く通用せず剥離できないので、再メッキも不可能だろう。切り離しではデリケートなニッパーは刃を傷める場合があるので注意、ゲート等の処理にもしっかりした金属ヤスリが必要だ。ホイールは本来白く塗られているが、メッキの質感が余りにも良かったので塗装を躊躇した。ミュージアムのレストア車やエキジビションレースではメッキホイールを着けていることがあるので、そのイメージで仕上げた。

ボディカラーはGRAVITY COLORSのペティ・ブルーを参考にアクセルSで調色。オレンジは朱赤との中間のイメージで、蛍光色は使っていない。2色の塗り分けはデカールをコピーした物を切り抜き、両面テープで貼ってラインをトレースした。パワースライド製デカールは以前はカルトグラフだったが、付属デカールにカルトのクレジットは入っていない。たぶんアメリカ製で、印刷の感じはカルトに酷似するが別物のようだ。実際、糊が流れて気泡が入りやすく、強いソフターを使うと溶けやすいので注意が必要。

シャシープレートやロールケージ、サブフレームは全てペティ・ブルー。シートにはシートベルトを追加した。ベルトはシンプソンの古いタイプで、エッチングが現在入手困難だ。金具はジャンクがあったが、バックルは自作した。インカーカメラはパーツが横向きなので、カメラ部分を一度切り離し前向きにセッティングし直した。レンズ部分を開口し、UV透明レジンを流し込んでいる。エンジン部分はプラグコードを追加、その他は手を加えていないが「たぶんこうだったろう」という感じで色注ししてみた。

作例制作=畔蒜幸雄/フォト=服部佳洋 modelcars vol.289より再構成のうえ転載

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