最良の「初代セルシオ」を2社のボディをつなげて作る! プラモでも源流主義!【モデルカーズ】

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高級車の新たな世界基準を打ち立てた名車

トヨタの高級車ブランドとして今や完全に定着したレクサス。その誕生の背景には、1980年代後半のいわゆる”バブル景気”があったが、この時期は国内メーカー各社とも、性能や品質を驚異的に向上させ、新たな世界標準となるモデルがいくつか生み出された。その代表例とも言えるのが、レクサスの原点であるLS400、日本名トヨタ・セルシオであろう。レクサスは当初北米向けブランドであったため、日本国内ではセルシオというネーミングとなった。レクサスLSを名乗るのは4代目からである。

話を初代セルシオ/LS400に戻すと、その登場は1989年のこと。後になって国産車のヴィンテージ・イヤーと評されるこの年、LS400の登場とともに、レクサス・ブランドもアメリカ市場にて始動している。このセルシオ/LS400は、世界の高級車市場に参入すべく開発されたモデルであるが、新設計のV8 4Lエンジンや4輪ダブルウィッシュボーン式サスペンション(上級モデルにはエアサス)など、その成り立ちはオーソドックスなもので、重厚なボディスタイルがよく表しているように、特に奇をてらった部分はなかった。

しかし、当時のトヨタが力を注いだのは表面的な目を引く部分とは別の側面――仕上げの上質さや燃費といった要素であった。中でも特に、静粛性に注力して開発が進められたという。騒音を完全に排除すべく、対策の強化ではなくその原因を突き止めた上で解決を図るという、トヨタ言うところの徹底した「源流主義」が貫かれた。もちろん、それまでの国産高級車とは段違いな高速安定性なども実現。その仕上がりには並みいる世界の高級車メーカーも舌を巻き、打倒レクサスに邁進することになったのだという。

そんな初代セルシオは1/24スケールのプラモデルでも人気で、タミヤ、フジミ、アオシマ、そしてグンゼ(現GSIクレオス)から発売されている。このうちどれがベストなキットか、ということになるとなかなか難しく、エンジンも再現されたタミヤが目を引くところだが、ボディラインの丸みが少々強調されすぎた感もあるようだ。ここでお目にかけているのは、アオシマ製キットをベースにタミヤのリアエンドを繋げて、最良のセルシオを目指してみた作品である。

アオシマのボディにタミヤのリアエンドを繋げる
アオシマ製キットは、硬質な面の張りを持つ実車のボディラインを割と的確に再現している。ただしボディ後部のラインに少し硬い印象があり、ここはタミヤの丸みと張りのある造形が実車に近いようだ。下の画像は緑のボディがタミヤ、白いボディがアオシマ。という訳で、前述のようにこのふたつを同じ位置(幅が同じ寸法となる箇所)で切断、アオシマのボディにタミヤのリアを接合した。もちろん断面がぴたりと一致する訳はないので、削ったり段差をプラ材で埋めたりしながらすり合わせる。

アオシマのキットは実車デビュー当時のリリースなので当初は前期型だったが、後に後期型へと細部を変更している。作例は前期型とするため、フロントグリルをタミヤのパーツに変更。アオシマのグリルはボディと一体なので、当該部を切り取る。また、ホイールもタミヤのものに変更した(前期15インチに対し後期は16インチ、デザインも異なる)。タミヤとアオシマではホイール取り付け方法が違うが、これはブレーキパーツごと移植することで解決。ボディカラーは「グレイッシュローズマイカメタリックトーニングG」を再現した。

このほか、ダッシュボードのパーツもアオシマは後期用に変更されているので(前期には存在しないエレクトロマルチビジョンがモールドされている)、これもタミヤのパーツに変更した。特に大きな加工は必要なく入れ替えられたとのこと。また作者曰く、ボディカラーは実車カタログの写真1カットのみを参考に調色したため、実際の色にきちんと近づけられたか気になるそうだ。

作例制作=棚瀬和重/フォト=服部佳洋 modelcars vol.275より再構成のうえ転載

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