希少な1BOXワゴンのプラモを商用仕様に変更!「チェリーバネット・バン」を日東製キットから再現【モデルカーズ】

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実家の家業に供されていたバンを制作

今もNV200バネットにその名を残す日産のバネットは、小型ワンボックスのバン/ワゴンとして日本を代表する車種のひとつであった。その初代モデルの登場は1978年のこと、それまでのサニーキャブ/チェリーキャブの後継車種としてデビューした。サニーキャブ/チェリーキャブにも乗用登録のコーチ(日産ではワンボックスのワゴンをこう称した)は存在していたが、この初代バネットではコーチをより乗用車志向、レジャー志向を強めたモデルとし、商品力を強化していったのが特徴である。
ハイルーフ仕様や10人乗りロングボディのラインナップ、サンルーフ仕様の追加、回転対座シートの採用(国産車初と言われる)、そしてワイドボディ/高級志向の派生車種ラルゴなどを加えたのがその現れと言えるだろう。成り立ちとしては従来と変わらずサニーをベースとしたキャブオーバーのFR駆動であり、エンジンはA12とA14であったが、のちに排気量アップが行われ、2リッター・モデルも加わるに至っている。もちろんラインナップはコーチだけでなく、バンとトラックも存在、商用車として街で見かけることの多い存在であった。
日産としては自社生産のバネットはこの初代と2代目(1985-1994年)のみで、以後はマツダ・ボンゴのOEMとなり、そして後継モデルのNV200バネットへとバトンタッチしている。車名は販売店に合わせてサニーバネット/チェリーバネット/ダットサンバネットの3つが存在したが、2代目の途中でバネットに統合された。

前述の通り1BOXの人気車種であった初代バネットはプラモ化にも恵まれ、バンダイと日東の2社から1/24スケールで発売されていたが、いずれも今では貴重な品であり、入手は非常に困難である。日東のバネットにはサニーバネットとチェリーバネットがあったが、ここでご覧頂いているのはサニーバネットをベースにチェリーバネットのバン仕様として制作したもので、ご覧の通りただバンにしただけでなく、具体的な屋号が入っているのは、作者の家業であるクリーニング店で過去に使用していた車両を再現したためである。

前述の通りチェリーバネットのキットも存在するわけだが、今では貴重な製品でもあり、いずれにしろディテールもステッカー類もコーチとバンでは異なっており、作り直しは必須であった。このバネットがお店で使われていた当時の作者はおそらく小学校低学年とのこと、写真も残されていないため、グレードの特定などはかなり記憶に頼ったものとなったということだが、細部までの細かな作り込みによって、そうした事情を微塵も感じさせない作品となっている。

ボディ内外をバン仕様へとダウングレード
実車はバンであってもハイルーフ仕様には変わりないので(クリーニング店らしいチョイスだ)、ボディ形状を大きくいじる必要はなかった。キットはサンルーフ仕様なのでまずこれを接着し、隙間をプラ材と瞬間接着剤で埋める。また、ギミックが影響して側面スライドドアとボディ側クオーターパネルの面が揃わないので、レールの下側を思い切って切断したり、パテやプラ材を駆使してぴったりと合わせた。バンは内張の類が大きく省略されて鉄板がむき出しなので、サイドパネル内側や天井などにプラ材でプレス形状を再現していく。

ヘッドライトグリルは丸2灯となるため形が大きく異なるが、キットパーツをベースに自作。前面を削って平らにし、プラ板とプラ材を使って形を作っていく。大きく円形にくり抜いたらパイプをハメ込んで出来上がりだ。バンパーも地味に形が違っているので、削り込んだりプラ材を貼ったり、溝状のモールドを埋めたりして作っていった。

室内もキットパーツを利用して制作。2列目シートは3列目の部品を使って再現、折り畳んだ状態で固定とし、プラ板で裏面のパネルを自作。ここにセットされる脚とジャッキハンドルは金属線で作っている。1列目シートは裏打ちのうえ削り込んで形状を丸くし、センターのシートバックを取り付けた。ハンドルもキットの部品を元に加工、プラ材で横一線のスポークを付けてから元のスポークを削除した。ハンガーラックはプラ棒と汎用の金属パイプ、アルミ線などを組み合わせて自作している。

なお、デカールの自作に当たってはW氏、荷物の洋服類やカゴ(通称”角バイ”)の制作に当たってはN氏という2人のモデラ―の協力があったとのことで、この点最後にお断りしておこう。

作例制作=Ken-1/フォト=服部佳洋 modelcars vol.264より再構成のうえ転載

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