火を噴く白い稲妻、シルビア
1970年代後半、欧州で隆盛を極めたシルエットフォーミュラ。FIAの規定でグループ5に属するこれらは、その名の通りシルエットこそ市販車の形を残していれば後はほぼやり放題という過激なものであった。その人気は日本にも飛び火し、1979年から富士スーパーシルエット・シリーズがスタート。日産は当初、710バイオレットのターボ仕様を引っ張り出してお座なりに参加していたものの、1981年からその動きを本格化。大きなオーバーフェンダーで武装したシルビアとガゼールで参戦したが、翌1982年にはガゼールが消えた代わりにブルーバードとスカイラインが加わって、日産ターボ軍団、あるいはシルエット3兄弟を形成するに至った。
1981年のシルビア/ガゼールは、大きなウィングとフェンダーで武装していてもそのモノコックは市販車のままだったが、1982年からの日産ターボ軍団は、鋼管パイプフレームを組んで基本骨格とする、まさにプロトタイプマシーンのような車両へと進化した。この3台は基本的には同じ構造を有しており、搭載されるエンジンも共通のLZ20Bターボである。排気量2139cc、直列4気筒DOHC 16バルブのこのユニットは最高出力570PSを発揮したと言われており、戦績よりもその迫力ある走りそのものが観客を魅了したのだ。
スカイラインの長谷見昌弘、ブルーバードの柳田春人に対しシルビアは”日本一速い男”星野一義がドライバーを務めた。3台のうち最も活躍したのはスカイラインであったが、星野のシルビアも1984年にかけて何度か優勝を獲得している。また、自身のブランド「インパル」のアルミホイール「インパルD-01」(名称は何度か変更されている)のプロモーション効果も絶大なものがあったようだ。このシルビア・スーパーシルエットは、3代目シルビアであるS110型をベースとしたものだが、そのモデルチェンジに合わせ、1983年後半からはフロント周りのデザインのみを4代目・S12型風にモディファイしている。
さて、ここまでお見せしているのは、このシルビア・スーパーシルエットのアオシマ製1/24スケール・プラモデルを制作したものである。同社からは当時、スカイラインおよびブルーバードのスーパーシルエットも併せてキット化されて、実車同様大人気を博した。現在に至るまでも再販を繰り返しているので、所有している方、組み立てたことのある方も少なくないかもしれない。作例が使用したのは近年デカールをリニューアルしたバージョンだが、フロント周りに手を加えて、エアダムが大きくなった後期タイプへモディファイしている。
プラ材を貼り重ねてエアダムを拡幅
エアダムの拡幅は、次のように行った。まず側面に厚めのプラ帯を貼り、余分を切り落とし、前面と側面を平らに均す。これを何度か繰り返し、丁度良い幅まで持っていく。その後で、上方へとプラ材を積み重ねた。側面に付く風切り板は薄くシャープに再現したいので、不要なエッチングのランナー部分から切り出した。仮留めして前後端の切除部分をマーキングし、形ができたらまた仮留めしてボディ側へマーキング。このラインに合わせてプラ板を貼った。これでできた段差に風切り板を付けるようにする。
フロントカウル上面中央のスリットは後ろ側が閉じたままなので開口した。裏側からモーターツールで削り薄くしたうえでナイフで切り開け、サンドペーパーで整えていく。カウルの中に何もないと寂しいので、シャシーにジャンクパーツを取り付けてエンジンらしくでっち上げた。コクピットにはパイピングを若干追加。メッシュホースはホワイトメタル製の汎用パーツを使用している。
ボディ周りのマーキングは、再現した仕様(1983年GC第2戦・富士グラン250kmと思われる)とキットのデカールとでは位置やデザインが若干異なるのだが、親切なことに仕様変えに対応したデカールが多数付属しており、ほぼ対応可能だった。しかし、どうしても足らないデカールがふたつあったので、キットを2個使用しての制作となっている。黄色い塗り分けはデカールではなく塗装で再現した。Aピラー内側の風切り板もエッチングからの切り出しで追加。実車写真を見るとカウルのキャッチピンが白テープがカバーされていたり、フロントの風切り板も同じく白テープで補強されていたりするので、ハセガワの曲面追従シートでこれを表現している。
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