「最善か無か」の時代を象徴する高級セダン
メルセデス・ベンツの二代目Sクラス、いわゆるW126型系は、1979年にデビューした。
「Sクラス」という名称は同社製乗用車のトップクラス、つまりフラッグシップモデルに、先代のW116型系から与えられたものである。マイバッハという別ブランドが登場してからは幾分その位置づけにも変動はあったが、現在も変わらずに、Sクラスはメルセデスのトップモデルであり続けている。W126こそ、世界最高の性能と安全性を持つ高級車メルセデス・ベンツ、その象徴であるSクラス、というイメージを確立した存在であったと言えるだろう。
前述の通り1979年にデビューしたW126型系だが、当初はセダンのみのラインナップであった。ボディスタイルは先代W116のイメージを大きく引き継いだもので、凹凸を持たせた灯火類、グリップ式のドアハンドルといった、この頃のメルセデスならではのディテールももちろん盛り込まれているが、空力的には大きくリファインされている。ホイールベースは標準のもの(SEとディーゼルモデルのSD)とロングタイプ(SELとディーゼルモデルのSDL。正確にはV126と呼ばれる)があり、その差は140mmに及ぶ。運転席のステアリングホイールには世界初となるエアバッグを設定、さらにABSが装備されるなど、安全性を重視していたのはもはや説明の必要もないだろう。
1981年にはクーペ(SEC)を追加。1985年にはマイナーチェンジを行いボディサイド下部のパネル(サッコ・プレート)を凹凸の少ない形状へと変更したほか、エンジンの排気量アップも行われている。1991年にはモデルチェンジを行い、3代目SクラスW140型へとバトンタッチをした。
SECを2台つないでロング化!
W126型系はクーペ(C126)のみプラモデル化されている。タミヤ1/24の500SECと、レベル1/24の560SECである。しかしやはり、当時のSクラスは4ドア・セダンが多かった。時あたかも日本ではバブル景気の絶頂期、いわゆるバブル紳士と呼ばれるような人々までこぞって500SELや560SELに乗っていたものである。この作例はそんな当時を懐かしみつつ、タミヤのSECを用いてSELへと改造したものだ。キットをふたつ用意し、位置をずらして切断、長いもの同士をつなげてホイールベース3070mm(の1/24)に合わせる。Aピラー根元とルーフ前側に切り込みを入れて曲げることでフロントウィンドウを立たせた。リアウィンドウ周りはマイクロエースの450SLC(旧オオタキ金型)から移植。
フロントグリルはクーペのものを元に自作、これにあわせてボンネット中央の盛り上がりも幅を変えるなどした。窓枠やドアサッシはプラ棒を貼り込んで自作、シャシーもボディ同様に長めに切ったもの同士をつなげて合わせている。
「『セダンとクーペは全く別のデザイン』と言われるW126系だが、確かにそのまま同じ部分はないものの、骨格は共通な訳だし、前後フェンダーの基本のプレス形状などは同じではないだろうか? とりあえずそう自分に言い聞かせて作業を始めたのだが、SELとは形の違う部分が、SECの実車のデザインのためか、あるいはタミヤのデフォルメのためなのか、なかなか判然とせず苦労した。タミヤのキットは実際よりもコークボトルラインが強調された印象で、また、キャビン側面もかなり内側に倒れ込んだ形となっている。しかしこのあたりは突き詰めると完成がおぼつかないので、あまり手をつけずに完成させた」と作者は語っている。シートやヘッドライトレンズ、エンブレムはタミヤの600SEL(V140)から流用しており、かなり贅沢なモデリングとなってしまったようだ。
クーペよりも少し長めなテールレンズは、やはりパーツを2台分切り繋げたもの。ホイールはマイクロエースのSLCのものを使う予定であったが、パーツの形状があまり良好とは言えないものだったので、エッシーのSLCをさらに用意し、流用したということだ。「500SEL」のロゴは「500SEC」の「C」の上部を削り落として「L」としている。
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